中国海警局に所属する艦船のうち、これまで機関砲を搭載していなかった3000トン級に30mm機関砲が搭載されたようだ。画像が微博で公開された。
外見から30mm機関砲、中国海警で導入実績があるNORINCOのH/PJ17型单管30mm速射砲かもしれない。
#南海维权巡航专项# 海警大势所趋,又... 来自海洋装备与公务船资讯 - 微博
舷側の船名・番号は「海警3302」。中国海警局が正式に発足する前の、国家海洋局 中国海監総隊の海洋監視船建造計画で建造された3000トン級(以下、”海監型”3000トン級)10隻のうちの1隻で、南シナ海を管轄する南海総隊に所属する(前の船名・番号は「海警3307」)。
2018年7月に中央軍事委員会の指揮を受ける人民武装警察部隊の海警総隊(中国海警局)となってからは、南シナ海の北部海域を主に管轄する直属第3局(広東省広州市)に所属している。
今年(2022年)2月に行われた中国海警局の艦船による海上防災訓練の時には、機関砲は載っていなかった。
海警3302舰编队,056首次出镜: 来自撒手锏_ - 微博 (2022-02-14)
この”海監型”3000トン級10隻のうち数隻が、沖縄県石垣市の尖閣諸島の接続水域や領海で確認されているが、機関砲を搭載した艦はいまのところ確認されていない。
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(海監83)
この”海監型”3000トン級は、中国海監総隊の旗船「海監83(当時)」「海監50(当時)」をモデルシップとし、多くの設計変更をして建造された。
この「海監83(当時)」「海監50(当時)」は設計段階では、ブリッジ前の上甲板に機関砲2基を搭載できるようになっていた。しかしその後、機関砲を搭載できるような改修も行われることなく、中国海警局が人民武装警察に隷属する頃までに海洋調査船として配置替えされ船名も変わっている(海監83→海警3383→海測3301、海監50→海警2350→向陽紅19)。
その一方で”海監型”3000トン級10隻は、進水時からブリッジ前の上甲板に機関砲の砲座2つが設置されていた。さらに上甲板の中央の塔の上に正体未確認の装備が追加された。FCSかもしれない。
それでも、2013年に中国海警局が正式に成立してから後、ずっと機関砲が搭載されることはなかった。
中国海警局は、2013年に正式発足してからもうじき10年となる。
発足当時は国家海洋局と中国海警局という2つの側面を持っていたが、2018年7月に中央軍事委員会の指揮を受ける人民武装警察部隊の海警総隊として再編されたことで、国務院との二重管理体制から脱した。
その後、所属する大型海警船で機関砲を搭載する動きが続いている。南シナ海を管轄するところで特に武装化が進んでいるようだ。
5000トン級「海警2501」に76mm機関砲が搭載されたのは中国海警の公式SNSで画像が公開された。
同型4隻のうち「海警3502」(もと海警3501)も装備したらしい(微博の画像による)。残り2隻の「海警2502」と「海警6501」(もと海警1501)は装備していないと思うがちょっと情報不足。
【中国海警局】5000トン級「海警2501」、76mm機関砲を新たに装備 - pelicanmemo (2021-01-23)
4000トン級では、「海警3401」と思われる1隻が76mm機関砲を装備したようだ。
同型4隻のうち、尖閣諸島の沖で確認されている「海警2401」は機関砲は搭載していない。「海警6402」(もと海警1401)と「海警3402」もちょっと情報不足。
【中国海警局】 4000トン級海警船に76mm機関砲を搭載か - pelicanmemo (2021-10-21)
中国は、海洋の領域では”サラミ・スライス戦術”や”キャベツ戦術”など多層構造の”グレイゾーン”を作り出している。
単純化したイメージをもとに短絡的な対処をしてしまうと、中共の思惑にまんまとひっかかることになりそうで、かなり心配に感じる。
【中国海警局】 中国海軍の056型コルベット、約20隻が海警局に移管か - pelicanmemo (2021-12-25)