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【中国海警局】人民武装警察部隊・海警総隊の中型航空機「MA-60 MSA」(新舟60)

20210412210643(微博より)

中国SNSで先週、中国海警局のエンブレムとマークがついた中型飛行機「MA-60 MSA」型機を撮影した画像が公開された。内陸の民間空港で撮影されたもので、全身がはっきり映っている写真が公になるのははじめてだろう。

 

ざっくりと書くと「MA-60 MSA」型機は、海上保安庁の「ボンバル300」型と全長・全幅など大きさがほぼ同じ双発ターボプロップ機。同クラスの洋上監視・海難捜索機だ。
各種レーダーや光電子センサーによる上空からの洋上監視、哨戒任務が重視されていると感じられる。

20210414062442 海上保安庁「ボンバル300」型第十一管区海上保安本部より)

 

2017年、中国海警局(武警)に統合再編される前の組織の一つである国家海洋局南海分局 南海航空支隊(当時)に、同じMA-60型「B-5002 」機がはじめて正式配備された。外見からは大きな違いは見られない。同じ機体かどうかは不明。

今回公開された写真の機体には、機体番号だろう数字「21701」が書かれている。

中国海監 南海航空支隊に、中型航空機「MA-60(新舟60)」型、正式配備 - pelicanmemo (2017-06-24)

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20170620054104(国家海洋局南海分局(2017年当時))

「MA-60 MSA(Maritime Surveillance Aircraft) (新舟60)」型機は、西安飛機工業公司(西安飞机工业(集团)有限责任公司)が、「運-7(运-7, Y-7)」型(*)を改良して設計・製造した中国国産の双発ターボプロップ中型航空機。(*)「Antonov-24」「Antonov-26」をベースとして設計・製造した中型輸送機(コピーともライセンス生産とも言われる)。

全長24.7m、全幅29.2m、全高8.85m。自重13,700kg。最大飛行高度7620m、最大巡航速度514km/h。(「MA-60(新舟60)」機のカタログデータ (Wikipedia))

最大航続距離は2450kmだが、「MA-60 MSA」機にはパイロンがあり増設燃料タンク(増槽)を装備し投棄も可能だ。珠海航空ショーで報道されていた航続距離3000kmも可能だろう。

 

 

機首レドームには気象レーダー、その下に赤外線監視採証装置がついている。

20210412210701

機体中央のふくらみは「ボンバル300」と同じく全周捜索レーダーで、その後ろにある左右のふくらみは合成開口レーダー(*2)だろう。その他にも旅客機型にはないふくらみが複数ありレーダーやセンサーが装備されていると考えられる。航空機の専門家の見解を待ちたい。 

20210412210657

操縦席のすぐ後ろに、海保の「ファルコン2000型」「同900型」と同じような大きな四角い観測窓がある。後部にもバブルウィンドウ型+小さめの四角い観測窓(見張り窓)がある。

機体下部にブイなどSAR機材の投下口があるかもしれないがちょっと分かりにくい。「ボンバル300」にあるようなゴムボートなど大型機材を投下するための貨物ハッチは無いようだ。 

新規導入したばかりでもあり、各種レーダーや光電子センサーによる上空からの海上監視、哨戒任務が重視されていると感じられる。

 

 

中国海警局の航空機(固定翼機)には、中国海監航空支隊で運用されていたY-12Ⅳ(运-12IV)型とその後継機Y-12F(运-12F)型機がある。

20170513061201(国家海洋局东海分局より)(哈爾浜飛機製造公司にて) (2017年)

「Y-12」型は、ざっくりと書くと海上保安庁の「ビート350」型より大きく「サーブ340」型より小さい双発プロペラ機。レーダーやセンサー類は多くはなかった。

それでも最大航続距離は2000kmあり、2012年12月から翌年1月にかけて尖閣諸島の領空侵犯をしている。中国海警局「MA-60 MSA」機によって哨戒飛行可能な範囲はおおきく拡がり、その任務も海域に合わせて多様に、より専門的となるだろう。

 

「MA-60 MSA」機1~2機だけで終わるわけはなく、同型機やさらにジェット機も導入されると考えられる。

中国海監総隊の頃の報道によると、研究開発がすすんでいた中国国産の水陸両用機「AG-600」(鲲龙-600(蛟龙-600とも))型機の導入が検討されていたという。「AG-600」型機は昨年(2020年)、海上での試験飛行に成功した。

これは武警・海警総隊(中国海警局)となっても生き残っているだろう。南シナ海や東シナ海での”グレイゾーン”の支援任務や捜索救助活動に適している。

 

中国海警局では、海上保安庁が導入を検討している「シー・ガーディアン」のように大型無人機の導入も検討しているだろう。

武警部隊(人民武装警察部隊)ではクアッドコプターや小型固定翼機だけでなく、大型無人機を災害支援で運用している。また中国気象局が昨年8月、大型無人機「翼竜-10(翼龙-10)」による台風への接近観測試験を成功させるなど、高度な運用能力をもつ。そして、中国の”軍民融合”体制では組織間の技術移転のハードルは高くはない。

 

”中国海警局”が行政組織の枠からはずれ、中央軍事委員会直属の人民武装警察部隊に隷属したことで以前にも増して情報が表に出てきにくくなった。

党の巡軍事組織である中国海警局は、”中国の特色ある”沿岸警備組織(海上法執行組織)として独特の成長を続けている。

 

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#航空摄影# 大漠深处 - 微博 

中国海监新机震慑日本:MA60将安装合成孔径雷达 (2013年03月10日)(*2)

中国海监西飞新舟60飞机在我国南海巡航执法作业 – 中国民用航空网

海保、尖閣航空要員を大型補強 60人増で交代クルー制、新型機配備 - 産経ニュース (2018.4.13)

航空機|海上保安庁

船艇・航空機一覧 - 第十一管区海上保安本部

MA60 (航空機) - Wikipedia

新舟600 - 维基百科,自由的百科全书

新舟600_百度百科

デ・ハビランド・カナダ DHC-8 - Wikipedia

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