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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

中国、習近平主席が「天安門弾圧を称賛」「党と国家の生死存亡がかかる闘争」と発言?・・・共同通信の"超訳"記事か?

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中国の習近平国家主席が、昨年(2021年)11月11日の演説で、天安門事件について「共産党と国家を守るための歴史的な英断だったと称賛していた」「党は断固とした措置で、党と国家の生死存亡がかかる闘争に打ち勝った」と述べた、と共同通信が報じた。

【北京共同】中国で1989年に民主化運動が武力弾圧された天安門事件について、習近平国家主席が昨年11月の演説で、共産党と国家を守るための歴史的な英断だったと称賛していたことが分かった。米国と戦った朝鮮戦争と並ぶ国家的危機を切り抜けたと位置付けた。党の政治理論誌「求是」が1日伝えた。

 演説は昨年11月に党が40年ぶりに「歴史決議」を採択した際に行った。習氏は80年代末から東欧や旧ソ連で社会主義体制が崩壊し「中国でも89年に深刻な政治風波(騒ぎ)が発生した」と天安門事件に言及。「党は断固とした措置で、党と国家の生死存亡がかかる闘争に打ち勝った」と述べた。

習氏、天安門弾圧を称賛 昨年「国家守った英断」と演説 | 共同通信 (2022/1/2 )

習氏、天安門弾圧を称賛 「国家守った英断」と演説 - 産経ニュース (2022/1/2)

 

中国共産党のこれまでの公式発表では、天安門事件は「政治的な騒乱」であり西側諸国が言うほど大きな事件ではないと公言をしている。矮小化と歴史改変をしようとしている。

もし、習近平主席が天安門事件を「党と国家の生死存亡がかかる闘争」と言及したのなら、それは中国国内の政治的にも外交的にも極めて重大な転換点となるだろう。

しかし、その中国共産党の政治理論誌「求是」の公式ウェブサイトで該当する記事を調べてみると、天安門事件について直接に言っているわけではないようだ。

共同通信(北京)による、端折りすぎな”超訳”記事かもしれない。

 

その「求是」の2022年1月1日付けの記事とはこれだろう。著者は習近平国家主席。

以史为鉴、开创未来 埋头苦干、勇毅前行 - 求是网

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20220102212018求是网より)

該当する部分はここだろう。

後ろに該当部分を引用した。特に赤色文字として、さらに下付き文字とした。

 

その章では前文で、1950年代の朝鮮半島について、世界最大の経済大国であり軍事力も最大の米国に対して毛沢東元主席の判断により、中国(新中国)の安全保障を守ったと始まる。

次に文が変わって、1980年代から90年代にかけて起こったソ連崩壊と社会主義国家の政治的混乱に合わせて、中国で1989年の春から夏にかけて重大な政治的な混乱が発生したと述べている。天安門事件のことだ。

我国也发生了1989年春夏之交的严重政治风波

そこで文が変わって、中国共産党は国民のために、確固たる意志と歴史的責任も持って断固たる対応をし、「党と国家の生死存亡がかかる闘争」に勝ち、西側諸国におけるいわゆる「制裁」の圧力に耐え、”中国の特色ある社会主義”の正しい道筋と改革と発展の正しい方向性を確保した、と述べている。

その後は、わざわざ鄧小平元主席の言葉を使って、この”闘争”に負けた場合をイメージさせている。

我们党紧紧依靠人民,以坚定意志和历史担当,采取果断措施,打赢了这场关系党和国家生死存亡的斗争,并顶住了西方国家所谓“制裁”的压力,保证了中国特色社会主义正确航向和改革发展的正确方向。

 

天安門事件は中国共産党の”闘争”の歴史のひとつとして触れているだけで、「党と国家の生死存亡がかかる闘争」はその後の西側諸国による制裁を示していると解釈をした。さらに現在の香港やウイグルの人権問題等に関連した米国と西側諸国による中共中国に対する制裁措置とすり合わせるように国民にイメージさせようとしているのではないだろうか。

 

共同通信(北京)の配信記事(および国内メディアの転載記事)は、文脈を解説したのではない、単語を拾った、端折りすぎな”超訳”記事になっていると感じられる。

風か吹いても桶屋が儲かるとは限らない。

 

その章の最後の段落では、次のように続けている。

中国共産党は、闘争に拠り歴史を作り、更に未来を作るために闘争を拠りどころとしている。新たな旅路では、我々が直面する試練はさらに複雑となり想像を絶する嵐に遭遇するだろう。

我们党依靠斗争创造历史,更要依靠斗争赢得未来。新的征程上,我们面临的风险考验只会越来越复杂,甚至会遇到难以想象的惊涛骇浪。

短期ではない長期的な”闘争”に直面し勝利を勝ち取ると、国内向けにアジっている。

 

第三,坚定担当责任,不断增强进行伟大斗争的意志和本领。“志不强者智不达,言不信者行不果。”我们党在内忧外患中诞生、在历经磨难中成长、在攻坚克难中壮大,锤炼了不畏强敌、不惧风险、敢于斗争、敢于胜利的风骨和品质。为了肩负历史重任,为了党和人民事业,无论敌人如何强大、道路如何艰险、挑战如何严峻,党总是绝不畏惧、绝不退缩,不怕牺牲、百折不挠。

  革命战争年代,党勇敢担负起争取民族独立、人民解放的历史任务,同国内外强敌进行艰苦卓绝的斗争。从高举反帝反封建旗帜、掀起大革命高潮,到在血腥屠杀中站起、开始武装斗争、开展土地革命;从为了民族大义、推动建立抗日民族统一战线共御外敌,到反对国民党反动派发动内战、打败国民党800万军队,党领导人民经过28年浴血奋斗,付出了最大牺牲。新中国成立后,面对党内和党外、国内和国际、人类社会和自然界的多种复杂严峻的考验挑战,我们党都以强烈担当和巨大勇气作出历史抉择、开展坚决斗争,领导人民迎难而上、坚决斗争、从容应对,不断取得胜利,使中华民族迎来了从站起来、富起来到强起来的伟大飞跃。

  当年,面对世界上经济实力最雄厚、军事力量最强大的美帝国主义的武装威胁和挑衅,是否出兵入朝作战,毛泽东同志说,这是他一生中最难作出的决策之一。党中央和毛泽东同志以“打得一拳开,免得百拳来”的战略远见,以“不惜国内打烂了重新建设”的决心和气魄,作出抗美援朝、保家卫国的历史性决策,避免了侵略者陈兵国门的危局,捍卫了新中国安全。上个世纪80年代末90年代初,东欧剧变、苏共垮台、苏联解体,世界社会主义遭受严重曲折,我国也发生了1989年春夏之交的严重政治风波。我们党紧紧依靠人民,以坚定意志和历史担当,采取果断措施,打赢了这场关系党和国家生死存亡的斗争,并顶住了西方国家所谓“制裁”的压力,保证了中国特色社会主义正确航向和改革发展的正确方向。邓小平同志说:“只要中国社会主义不倒,社会主义在世界将始终站得住。”我也说过,如果中国共产党领导和我国社会主义制度也在那场多米诺骨牌式的变化中倒塌了,或者因为其他原因失败了,那社会主义实践就可能又要长期在黑暗中徘徊了,中华民族伟大复兴的进程也必然会被打断。

  历史发展是连续性和阶段性的统一,一个时期有一个时期的历史使命和任务,一代人有一代人的历史担当和责任。党的十八大以来,我们清醒认识到,新时代坚持和发展中国特色社会主义是一场艰巨而伟大的社会革命,各种敌对势力绝不会让我们顺顺利利实现中华民族伟大复兴。基于此,我向全党反复强调,必须进行具有许多新的历史特点的伟大斗争,必须准备付出更为艰巨、更为艰苦的努力,必须高度重视和切实防范化解各种重大风险。这几年,我们掌握应对风险挑战的战略主动,对危及党的执政地位、国家政权稳定,危害国家核心利益,危害人民根本利益,有可能迟滞甚至打断中华民族复兴进程的重大风险挑战,果断出手、坚决斗争,解决了许多长期想解决而没有解决的难题,办成了许多过去想办而没有办成的大事。对这个历程,我们大家都有亲身经历,这次全会《决议》作了充分概括。

  我们党依靠斗争创造历史,更要依靠斗争赢得未来。新的征程上,我们面临的风险考验只会越来越复杂,甚至会遇到难以想象的惊涛骇浪。我们面临的各种斗争不是短期的而是长期的,将伴随实现第二个百年奋斗目标全过程。在重大风险、强大对手面前,总想过太平日子、不想斗争是不切实际的,得“软骨病”、患“恐惧症”是无济于事的。“善战者,立于不败之地,而不失敌之败也。”唯有主动迎战、坚决斗争才有生路出路,才能赢得尊严、求得发展,逃避退缩、妥协退让只会招致失败和屈辱,只能是死路一条。我们必须把握新的伟大斗争的历史特点,发扬斗争精神,把握斗争方向,把握斗争主动权,坚定斗争意志,掌握斗争规律,增强斗争本领,有效应对重大挑战、抵御重大风险、克服重大阻力、解决重大矛盾,战胜前进道路上的一切艰难险阻,不断夺取新时代伟大斗争的新胜利。

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