pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

ウクライナ、カホフカ水力発電所のダム決壊、爆発と破壊と決壊はどのように起きたのか? 構造物から検証してみた。

20230611085348

ウクライナのドニプロ川の下流にある、ロシアが不法に占拠しているカホフカ水力発電所のダムが決壊し、ダム湖の水が下流へと流れて大きな被害をもたらしています。

ニュースでも詳しくとりあげられています。

このブログ記事では、それらニュースでとくに話題になる「誰が?何のために?」では無く、画像や映像、水力発電所とダムの構造、動画と画像たくさんをもとにして「なにが起こったのか?」を少し書いてみたい。(6月11日(日)午前時点)

 

カホフカ水力発電所のダムは2023年6月6日の未明、午前2時台に決壊した。

記事冒頭の画像と次の画像の2枚が、第一報が報じられた直後にネットSNSで公開されたもので、これによってデマやフェイクではないことが分かった。

20230611085525

 

簡単に、カホフカ水力発電所(Каховська ГЕС)とそのダムについて書いておこう。カホフカ(Каховська)はカホウカとも表記される)

カホフカ水力発電所のダムは、旧ソ連に設計され実施されたドニプロ川での水力発電カスケードのひとつとして、1950年代に建設された。竣工から70年でも、旧ソ連の大型インフラはとかく頑丈に作られている。水力発電タービン6基により357MWの発電出力をもつ水力発電施設と、28基の放水路ゲートがある鉄筋コンクリート製ダムだった(過去形)。

 

次の画像の中央右側にある白色の建物は水力発電タービン6基のタービン建屋で、外壁の屋根に近いところに青い丸印が描かれている。青い丸印は下流側の外壁に6つ(上流側は7つ)描かれていて、今回の事件での建物の壊れ方を見るときに参考になります(便宜上、よく使われる下流側の映像・画像をもとに、建物正面(画像右側)から放水路側(同左側)へ”青い丸印”1番から6番と書きます)

画像の左半分は長さ480メートルの放水路ダムで、破壊された様子としてニュースでよく使われる施設です。

20230611085520(wikipediaより)

カホフカ水力発電所のダムの堤頂長3,273メートルには、これら鉄筋コンクリ製の放水路ダムや水力発電施設だけでなく周辺地域の堤防も含んでいる。他の場所のダムで決壊箇所があるという情報は見かけていない。(便宜上、”カホフカダム”と書く場合には、このコンクリ製放水路ダムと水力発電施設を示します)

 

2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻により、カホフカダムはロシア軍が占拠した。同年の夏のウクライナ側の反撃によって、カホフカ水力発電所とダム湖がある地域、下流域ではドニプロ川の右岸(北側)をウクライナが取り戻し、水力発電施設の建物がある左岸(南側)をロシア側が占領している。

ドニプロ川の右岸側(北側)ではウクライナが、カホフカダムの決壊と洪水によって被災した住民らを救助や支援している。ドニプロ川の左岸(南側)では、占領しているロシア側による救助や支援はほとんど行われていないとも伝えられている。

 

20230611103739

カホフカ水力発電所のダムの破壊と決壊で「なにが起こったのか?」、これまでに公表された情報(記事公開時点)をまとめてみると、蓋然性が高いのは次の順番だろう。(後の方で、画像付きで詳しく説明します)

  • カホフカ水力発電所のダムの破壊と決壊につながった爆発は2回あった。
  • 最初に、鉄筋コンクリート製の放水路ダムの南半分が決壊した。午前2時20分頃の爆発。
  • 次に、水力発電施設の中央部分が壊れた。午前2時54分の爆発。
    中央部分の建物(外壁の青い丸印3番・4番の建物)が壊れ、水面下の構造物ごと流されていった。
    水力発電タービン室の地下で大爆発があったと推測されている。
  • 壊れた水力発電施設の建物の下のダムも決壊して、流路は広くなっていく。
    しかし、外壁の青い丸印5番・6番の建物は壊れていても流されていない。水力発電タービン設備の土台までの構造物がしっかり残っているのだろう。
  • 水力発電施設の建物よりもさらに左岸(南側)の側のダムも決壊をしていき、船舶航行のための水路と閘門施設までの土地が流されてしまった。
  • 6月7日の衛星画像から、次のカホフカダムの被害とその後がわかる。
     水力発電施設の水面上の建物は、中央部分以外は壊れていても流されずに残っている。
    ○    放水路ダムで決壊しているのは最初に壊れた半分だけ。残りの半分(川の右岸(北側))は流されずに残っている。こちら側では連鎖的な決壊は起きていない。
    ○    川の左岸(南側)では連鎖的に決壊がすすんだ。船舶航行のための水路の構造物のところで、カホフカ水力発電所のダムの侵食と決壊は食い止められている。

これと合わせて、ツイッターで話題になっていて陰謀論の温床になりそうな「アースダムだから越水して自然決壊」説と、「カホフカ水力発電所・ダムは竣工から70年」「攻撃が続いて、決壊直前には道路が崩落?」、「外部からの攻撃ではこれほど壊れない」について少し書いてみたい。

20230611103136

 

Ads by Google

 


 

カホフカ水力発電所のダムの決壊と破壊の様子が、夜間にドローンからナイトモードで撮影した映像が公開されだした。破壊から最初の数分間に、ロシア側が撮影したもののようだ。

まず、放水路がある鉄筋コンクリート製ダムの半分が決壊した。水力発電所の主建造物には、壁の亀裂や壁のズレといった大きな損傷は見られない。

20230611103739

画像の中央に写っている送電用鉄塔は、放水路ダムが決壊した直後はまだ残っていることがわかる。

もしかすると最初の爆破では、放水路ダムの半分だけを破壊するつもりだったのかもしれない。🤔

20230611114723

Telegram: @grey_zone

 

 

別の暗視撮影動画では、水力発電所の建物が壊れかけているところが写っている。

20230611103746 (放水路ダムの決壊した部分)
20230611103743(水力発電所のタービン建屋。一部、壊れかけているよう)

壊れた建物の中央部分(外壁の青い丸印3番・4番)は、空が明るくなるまでには崩壊して流されていった。放水路ダム側の青い丸印5番の建物は天井が抜け落ちているが、青い丸印6番の方は比較的によく残っている。

もし放水路ダムの決壊によってこの建物も流されたなら、決壊した側の建物から流されていくだろう。真ん中だけが壊れて流されている説明が必要となる。

20230611085525

もっと明るくなるころには青い丸印6番の建物も水没していった。送電用鉄塔も無くなった。

さらに時間がたってから左岸(南側)の上流の岸辺から撮影された画像からも、水力発電所の建物の壊れ具合が分かりやすい。(複数の撮影画像を結合した)
(注意:上流側の外壁にある青い丸印は下流側より1つ多い。青いガントリークレーンのところにある青い丸印(0番)を含めた7つが描かれている)。

 

20230611113507

上流側から撮影した、カホフカ水力発電所のタービン建屋の様子。

地上の建物は比較的に外観を保っているので、空から攻撃があったとは思えない。水力発電施設の地下で大きな爆発があって、基礎構造物が破壊されたことで地上の建物が流されていったと考えられる。

20230611114424

 

水力発電所の白色の建物(ここでは”タービン建屋”と呼ぶ)は、内部を仕切る内壁が無い大きな空間となっている。水力発電タービンの一番上の赤い部分が水の上に出ているのが見える。ちなみに黄色いドアがある壁は下流側。

20230611105649

右岸側(南側)の建物(青い丸印1番・2番)の内部が水に浸かっているので、一番最初に公開されたダム決壊の画像よりもずっと後に撮影されたものだろう。

 

ーー

ベリングキャット(Bellingcat)のEliot Higgins氏のツイートによると、6月6日未明のダム破壊と決壊につながる爆発は最低2回あった(時間は現地時間)。

 

  1. 午前2時20分頃に地域住民が爆発音を聞いた。
  2. 午前2時46分のタイムスタンプの映像では、すでに放水路ダムは決壊している。水力発電のタービン建屋は壊れていない。
  3. 午前2時54分の大きな爆発の振動を、ノルウェーの地震研究機関NORSARの地震計が地振動を記録していた。カホフカダムの破壊に関連すると推測されている。

この線で考えをすすめてみたい。

 

--(追記:6/18)--------------------

ニューヨーク・タイムズ紙の6月16日付記事によると、ダムの決壊につながったと考えられる爆発は午前2時35分と午前2時54分の2回あった。

The seismic signals were picked up on two sensors, one in Romania and one in Ukraine, and occurred at 2:35 a.m. and 2:54 a.m. Ukraine time, said Ben Dando, a seismologist at Norsar, a Norwegian organization that specializes in seismology and seismic monitoring. The signals were both consistent with an explosion, Dr. Dando said — and not, say, the collapse of the dam on its own.

Why the Evidence Suggests Russia Blew Up the Kakhovka Dam - The New York Times (June 16, 2023)

ノルウェーの地震研究機関NORSARの地震学者による分析。

このうち2時54分の爆発は、震源の場所をNORSARが絞り込めたので公式発表したようだ。

He said that the network could determine the time of an explosion to within a couple of seconds, but that the location of the blasts was less certain. For example, Norsar could locate the 2:54 a.m. signal to have originated within a zone 20 or 30 kilometers across that included the dam.

--(追記ここまで)------------------

 

(1)午前2時20分頃、放水路ダムを破壊する爆発が起きた。地域住民が爆発音を聞いた。この爆発で放水路ダムの半分が決壊したのだろう。

タイムスタンプが午前2時46分(UTC+3)の映像では、その時間に放水路ダムは決壊していた。水力発電所のタービン棟と鉄塔は残っている。(ウクライナは3月26日〜10月24日が夏時間(UTC+3))

20230611124330 

20230611124326

 

(2)午前2時54分、カホフカ水力発電所の水力発電タービン施設の地下(おそらくタービン3番か4番あたり)で大きな爆発が起きただろう。

ウクライナの水力発電事業者ウクルハイドロエネルゴのトップ、イホル・シロタ氏は、カホフカダムの破壊される前にも、ロシア軍が水力発電所の地下施設に爆薬を設置していると話していた。

ノルウェーの地震研究機関NORSARの、ルーマニア北部にあるBURAR 観測ステーションで記録した地震動の波形。横軸はノルウェー時間、01時55分48秒に発生。ウクライナ時間の午前2時54分(*)に発生した。ルーマニアで観測された揺れは震度1~2程度とされている。

20230611092814

(*)ノルウェー時間は、ウクライナ時間から1時間遅れ。
BURAR 測定ステーションは、カホフカ水力発電所ダムから500~600km離れている。地殻内部ではP波は約5km/s、S波は約3km/sの速度で伝わるので、記録された時間から100~120秒前に爆発が発生した。

Norske eksperter om ukrainsk demning: – Kan se en klar eksplosjon - VG

ダム決壊時に爆発の振動=地震研究機関―米偵察衛星は熱検知 - 海外経済ニュース - 時事エクイティ

 

この2回目の爆発によって、カホフカ水力発電所の中央部分では基礎構造物が壊れ、その箇所でも決壊して建物は流されていったと考えられる。

その一方で、まわりが決壊していても、両側の部分は流されていない。土台スラブに設置した基礎構造物がほとんど壊れていないため水面上の建物も残っているのだろう。

カホフカ水力発電所の発電設備は、次の概念図のようにタービン建屋の下から土台のスラブまでを鉄筋コンクリートで作られている。頑丈です。

20230611121317

 

20230611121313(旧ソ連の)水力発電の開発 第 5 次 5 か年計画 (1951-1955)より

РАЗВИТИЕ ГИДРОЭНЕРГЕТИКИ - ГИДРОЭНЕРГЕТИКА - ПЯТЫЙ ПЯТИЛЕТНИЙ ПЛАН (1951—1955 ГГ.)

 

20230611124611(水力発電タービン設備の基礎構造物(建設中))

 

 

カホフカ水力発電所とダムは、旧ソビエト連邦時代の1952年3月から1956年10月にかけて建設された。工事には1万2000人、車両1100台、掘削機30代、クローラーやガントリークラー75台、ブルドーザー100台、機関車14台、浚渫船7台が従事した。

記録写真と記録映像からのスナップショット画像を少しのせておきたい。
(スターリン体制下の旧ソ連で、権威が採算性や効率化よりも重視されていた頃の設計と計画から、どれほど巨大で頑丈につくられていたかイメージできると思います。)

20230611123645(カホフカダム(建設中)の全景)

20230611123648(放水路ダムの構造物と基礎(建設中))

20230611123653

20230611124615(水力発電施設の放水路(右側)と放水路ダム(左側)(建設中))

 

20230611124620(完成式典での建設労働者たち)

 

これが、果たしてHIMARSミサイルが数発打ち込まれたくらいで壊れるような構造に見えるだろうか?🤔

 

第二次世界大戦のときに、ナチス・ドイツの侵攻を恐れたソ連のスターリン政権が、ドニプロ川(ドニエプル川)の中流にあるドニプロ水力発電所を破壊し自ら決壊させて洪水を起こしたことがあった。この時に使われた爆薬は20トン。現在のHIMARSが発射できるミサイル400発以上に相当する。しかもこの時は、ドニプロ水力発電所の鉄筋コンクリート製のダムの構造物を内部から破壊している。

 

ーー

カホフカ水力発電所・ダムの工事が完了してから70年以上も経っている。このため経年劣化に加えて、ロシア侵攻後のダム設備への攻撃によって構造的に弱くなっているのではないか?という見方もある。

 

さらには、越水するまでダム湖の水位が上がったためカホフカダムは自然崩壊をしたという説もあった。

たぶん、wikipedia日本語版で「アースダム」と記載されているのを読んだからだろうか。この説は、河川の堤防のような土と岩を固めて作られたダムで起こる決壊と鉄砲水ならともかく、カホフカ水力発電所と放水路の鉄筋コンクリート製のダムには当てはまらない。

カホフカ水力発電所のダムでは5月後半から水位16mをこえて、放水路のコンクリ構造物から、放水路ゲートを越えて流れている(越水している)。

そもそも、そういった非常用洪水吐の設計になっています。

20230611092312

カホフカ水力発電所の放水路のコンクリ構造物の上には、両岸をつなぐ道路や、放水制御のための放水路ゲートを上下させる青いガントリークレーンとその移動用レールなど附属施設がある。越水が起きてもこれら上部設備に大きな影響は無い。

 

カホフカダムの越水によって、ダム決壊の直前に道路が崩壊したという推測も見かけたけれども・・・、それは単に、被害を受けた道路の橋梁が崩落しただけでしょ。

もしも”越水”によって、上に乗ってる道路が崩れるほどの影響が発生するようなら、ガントリークレーンを移動させて、放水路ゲートの扉を開いて緊急放水することが出来なくなってしまいますよ(苦笑) 本末転倒😅

20230611093206

ちなみに、この画像↑の道路が「ダム決壊の直前に崩れ落ちていた」道路です。そもそも、この道路を支えているのはダムではないただの支柱で、構造的にもダムとは別個のものなんですよね。
奥に見えているのが放水路のゲートで、扉は閉じている。ダムの上にある青色の設備が、放水路ゲートの扉を上下させて開閉するガントリークレーン。上げると開く。

 

「洪水吐」というとよくダム湖に穴が空いたように水が吸いこまれるタイプのエモい洪水吐の画像が紹介されますが、次のダムでは「洪水吐」から試験的な越水(試験湛水)が行われています。

20230611085530
宮ヶ瀬ダムの非常用洪水吐(国土交通省関東地方整備局より)

非常用洪水吐 | 相模川水系広域ダム管理事務所 | 国土交通省 関東地方整備局

洪水吐き拾弐景《第壱景》 宮ヶ瀬ダムの洪水吐き - ダム便覧

 

ダムを越水するほど水位が上がったため、ダム湖の水圧が増して、ロシア侵攻後にあったダム設備への攻撃により構造的に弱くなっていたダムが自然崩壊した、という設も見かけた。

カホフカダムはダム湖の水位が低い(最大で17m)低圧・中圧ダムであり、(日本語界隈でイメージされる山間部のアーチダムとは違って)直線構造なのでダムの一部に特に水圧がかかりやすい構造ではありません。

もしも、ダム設備への攻撃が続いたことでダムが構造的に弱くなっていたと仮定したとしても・・・、最も弱くなっていたのは、過去最大の爆発があったドニプロ川右岸(北側)の放水路ゲートのあたりで、破損している放水路ゲートの扉だろう。しかし、決壊したのはまったく反対側、放水路ダムの左岸(南側)側の半分だった。

 

 

ーー

ロシア侵攻後にあったダム設備への攻撃によって、放水路ダムが構造的に弱くなっていたのだろうか?

 

昨年(2022年)11月12日の未明に、カホフカダムの放水路ダムの右岸側(北側)で複数回の大爆発が起こった。この攻撃は、ロシア側によるものともウクライナ側によるものとも言われている。

20230611132610

 

この攻撃によって、放水路ダムのいちばん右岸(北側)に近い放水路ゲート26番〜28番の上にある橋梁部分が破壊された。ダムの上を通っていた道路と、放水路ゲートの扉を上下させるガントリークレーンはこの箇所の移動レーンが使えなくなった。

これほどの大爆発があった攻撃にも関わらず、ダムは破壊されていないし、放水路ゲートも全壊していない。放水路ゲートの扉が少し歪むなどして26番と28番の扉にすき間が開いたようだ。若干、下流へと水が流れているのが見える。ここは今年6月に越水した後になっても、ゲートの扉は全壊してはいない(他の放水路ゲートよりも越水の量は多い)。

攻撃によって衛星写真では分からないような損傷があったとしても、水位がピークとなったときに最初に壊れるのはこの部分と考える方が自然だろう。

20230611132606

 

今年3月上旬には、放水路ゲート1番(右岸側(南側)の水力発電施設に近い方)の扉が破損している画像が公開され、歪んだ扉のすき間から下流へと水が流れていることが分かった。昨年11月の攻撃と大爆発による、放水路ゲートの扉の被害はこの程度の損傷だったようだ。ダムの鉄筋コンクリに大きな損傷は見られない。

20230611134641

 

 

結局、6月6日未明のカホフカダムの決壊までに、ダム湖の水位が上がっているにも関わらず、ダムを占拠していたロシア側は、放水路ゲート5番〜7番しか開いていなかった。

 

20230611085344

 

昨年11月から今年2月にかけてダム湖の水位が下がった後、2月から水位は上がり付けている。

春になって暖かくなってくると雪解け水が流れ込んで、ドニプロ川の上流側の5つの水力発電所でもダム湖の水位が上がっていく。もちろん、そのままにしておくとそれぞれのダム湖の湖岸でも冠水して洪水被害が出てしまうため、それぞれのダムでは水位が高くなりすぎず下がりすぎないよう放水制御をしなければならない。

その一方で、ロシア軍は、昨年(2022年)12月から後、放水路ゲート5番から7番を開いた以外に、カホフカダムの放水路ゲートの開閉操作をしていないのではないだろうか?

次の画像は2022年11月の衛星写真。15から20番あたりのゲートが1~3枚開いて放水している。

20230611144841(2022年11月の衛星写真)

 

カホフカダムを不法に占拠したロシア軍には、その意図がなかったのか? 能力がなかったのか? あるいは放水路ゲートの扉を開閉するためのガントリー・クレーンの故障や運用に問題が出たのか?何故なのか分からないが、昨年(2022年)12月から後は放水路ゲートの開閉操作をしていないかもしれない。

12月の衛星写真から後は、放水路ゲート5番から7番が開いたまま、青いガントリー・クレーン2つはゲート4とゲート8の上にあり、ダム決壊直前までまったく動いていないようだった。(もちろんその期間の全ての衛星写真をチェックしたわけではありません)

20230611144923

 

 

砲撃やミサイル攻撃など外からの攻撃によって、放水路ダムの半分を破壊するだけの被害を与えるのは無理だろう。

WW2のときにドニプロ水力発電所のダムを爆破して決壊させたように、カホフカ水力発電所の放水路の鉄筋コンクリ製のダムに穴を開けるなどして内部で爆発させたと考えられる。

WW2当時から爆薬の性能も爆破技術も進歩しているので、20トンもの爆薬を使わなくても1度目の放水路ダムの爆破と決壊を引き起こせたのではないだろうか。

2度目の爆破は、ロシア軍が地下の水力発電タービン室に設置した爆薬に誘爆したのかもしれない。

信頼できる各所からの続報を待ちたい。🤔

 

ウクライナ側から、ロシア軍による爆破であり、カホフカダム水力発電所の地下のタービン室に設置されていた大量の爆薬を爆発させたものだと発表された。

ロシア側からは、ノヴァ・カホフカ市長による「ダム決壊は起きていない」「ダム決壊があった(発言を撤回)」「ウクライナ軍の多連装ロケット砲による攻撃によりダム決壊した」など紆余曲折しつつ、クレムリンもウクライナ側による攻撃と主張している。いまのところロシア側から、具体的にどのような攻撃でダムを決壊させたのか?、説得力がある説明は見かけていない。

 

 

 

(3)放水路ダムが決壊した翌日には、水力発電施設の建物よりもさらに左岸(南側)の側のダムも決壊をした。水路と閘門施設(ドニプロ川の上流〜下流の船舶航行用)までの土地が流されてしまった。

6月4日撮影(ダム決壊前)

20230611103128

6月6日撮影(ダム決壊後)

20230611103132

 

 

ありし日の、ウクライナのカホフカ水力発電所・ダム。

上流側からドローン撮影。動画からスナップショット画像を取得。

20230611114428

20230611114432  20230611114420

 

 

--(追記:6/18)--------------------

水力発電所と放水路のダムの構造と、決壊と爆発などダム破壊に関する検証。

スレッド。

--(追記ここまで)------------------

 

 

この他、参考にした記事や資料のリンクは、整理していないまま大量にあるため、あとで整理して追記するつもりです。😅

 

追記しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

https://www.ussdams.org/wp-content/uploads/2023/06/USSDPressRelease-060823_KakhovkaDamFailureR2_DBH.pdf

(Google翻訳)

2023年6月8日私たちの心からの思いは、カホフカダムの壊滅的な決壊によって影響を受けた人々に捧げられます。
米国ダム協会 (USSD) は専門組織として、すべてのダムが安全であり、ダムがサービスを提供する地域社会から評価される世界を提唱しています。 私たちは、カホフカダムの崩壊と、このダムがもたらした人命、環境へのダメージ、その他多くの資源の損失の可能性を深く悲しんでいます。
現時点では、カホフカダムが失敗した理由について仮説を立てたりコメントしたりするのに十分な情報がありません。 ダムはさまざまな理由で失敗する可能性があり、その構造、どのように設計され運用されたのか、生じた損害が自然原因によるものか人為的原因によるものなのかをよりよく理解していなければ、私たちが提供する意見は単なる推測にすぎません。
USSD は、より大きな国際機関である国際大規模ダム委員会 (ICOLD) のメンバーとして米国を代表しています。 USSD は組織として ICOLD と協力し、平和と、ダムは建設された意図された目的にのみ使用されるべきであるという信念を支持します。 すべての人類に安全に奉仕するために。 (「ダムは平和と発展の手段であり続けなければならない」、
2022年10月、2022-03-10 ICOLD_Press Release-Ukraine[97].pdf (icold-cigb.org))


 ディナ・バウリア・ハント

米国ダム協会会長

USSD理事会を代表して送信

 

 

ーー

カホフカ水力発電所 - Wikipedia

カホフカ貯水池 - Wikipedia

Каховская ГЭС — Википедия

Плотина — Википедия

Hydroelectric Power Plants in Ukraine - Arquivo.pt

 

ウクルハイドロエネルゴ

ВНОЧІ 6 ЧЕРВНЯ РОСІЙСЬКИМИ ОКУПАЦІЙНИМИ ВІЙСЬКАМИ ЗДІЙСНЕНО ПІДРИВ КАХОВСЬКОЇ ГЕС (6月6日夜、ロシア占領軍はカホフスカヤ火力発電所を爆破した。)(2023-06-06)(第一報)

ЗАЯВА НАГЛЯДОВОЇ РАДИ УКРГІДРОЕНЕРГО(ウクルハイドロエネルゴの監査委員会の声明)

ГЕНЕРАЛЬНИЙ ДИРЕКТОР УКРГІДРОЕНЕРГО ІГОР СИРОТА ВЗЯВ УЧАСТЬ У ЕКСТРЕННОМУ ЗАСІДАННІ РНБО ПІД ГОЛОВУВАННЯМ ПРЕЗИДЕНТА УКРАЇНИ ВОЛОДИМИРА ЗЕЛЕНСЬКОГО ЩОДО СИТУАЦІЇ НА КАХОВСЬКІЙ ГЕС(ウクルヒドロエネルギーのイホル・シロタ事務局長は、カホフスカヤ原子力発電所の状況に関する、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が議長を務めるNSDCの緊急会議に参加した。)

ЧЕРЕЗ ПІДРИВ КАХОВСЬКОЇ ГЕС Є ЗАГРОЗА ПІДТОПЛЕННЯ ЕНЕРГООБ’ЄКТІВ, ПРОТЕ ЕНЕРГОСИСТЕМА ПРАЦЮЄ СТАБІЛЬНО(カホフスカヤ発電所の爆発により、発電設備が浸水する恐れがあるが、電力系統は安定して稼働)

 

КАХОВСЬКА ГЕС НЕ МОГЛА ЗРУЙНУВАТИСЯ ВІД УДАРУ, НАНЕСЕНОГО ЗЗОВНІ(カホフカ火力発電所は外部からの衝撃では崩壊しなかった)(2023-06-08)

UKRGYDROPROEKT プロジェクトの副技術ディレクター兼チーフエンジニアの Mykola Kalinin 氏が、カホフスカヤ発電所の掘削について語ります。
占領以来、カホフダムの放水路ダムの 3 スパンが破壊され、ゲートが部分的に損傷し、部分的に水が通過しました。カホフスカヤ火力発電所は核の衝撃に耐えるように設計、建設されているため、破壊の原因が外部からの衝撃であったという可能性は完全に排除されます。

 

Что такое Каховская ГЭС (カホフスカヤHPPとは - コメルサント)(06.06.2023)

Каховская ГЭС. История строительства, значение и характеристики (カホフスカヤHPP。建設の歴史と意味・特徴 - タス)(06.06.2023)

 

Новое измерение войны (戦争の新たな次元)(06.06.2023)

У Каховской ГЭС после удара ВСУ 26 сентября поврежден один из затворов - РИА Новости, 09.11.2022

Чим загрожує Херсонщині Каховське водопілля – Нова Каховка.City(2023-05-14)

У Новій Каховці затопило окопи і бліндажі окупантів – Нова Каховка.City (2023-05-15)

Война в Украине - Каховская ГЭС: что будет в случае подрыва дамбы — УНИАН (21.10.22)

Угроза подрыва Каховской ГЭС: Жданов шокировал заявлением - прогноз — УНИАН (21.10.22)

Оккупанты ждут скорого освобождения Херсонщины и готовят серию терактов - разведка — УНИАН (21.10.22)

 

РАЗВИТИЕ ГИДРОЭНЕРГЕТИКИ - ГИДРОЭНЕРГЕТИКА - ПЯТЫЙ ПЯТИЛЕТНИЙ ПЛАН (1951—1955 ГГ.)(水力発電開発 - 水力発電 - 第 5 次 5 か年計画 (1951 ~ 1955 年))

ГИДРОЭНЕРГЕТИКА СССР - НИЗКО- И СРЕДНЕНАПОРНЫЕ ГИДРОУЗЛЫ(ソ連の水力発電 - 低圧および中圧水力発電所)

ГИДРОЭНЕРГЕТИКА СССР - НИЗКО- И СРЕДНЕНАПОРНЫЕ ГЭС - ЗДАНИЯ(ソ連の水力発電 - 低圧および中圧HPP - 建物)

4.1. Основные типы ГЭС и состав сооружений - Энергетика: история, настоящее и будущее(4.1. 水力発電所の主な種類と構造物の構成)

http://hydrosteelproject.com/files/prospect-ru.pdf

 

http://www.cawater-info.net/bk/dam-safety/files/gavrilov-kabanova-proskuryakov.pdf

http://www.cawater-info.net/bk/dam-safety/files/gavrilov.pdf

https://www.tavrida.com/ter/media/neporozhniy.pdf

Грузоподъемное оборудование

Сводка за 6–7 июня 2023 года (до 08:30) — Teletype

ИСТОРИЯ СПКТБ «ЗАПОРОЖГИДРОСТАЛЬ»

ПЛОСКИЕ СКОЛЬЗЯЩИЕ ЗАТВОРЫ

Каховская ГЭС

 

Как строилась жигулевская гэс. Принцип работы гидроэлектростанции Сколько вырабатывает гэс

建設工事中の画像や映像。

Каховская гидроэлектростанция » Мой город — Херсон

Шукач | Каховская ГЭС

Каховская ГЭС: для чего строили в СССР — последствия и жертвы украинцев — историк — Новости Украины / NV

ЛЕГЕНДАРНАЯ КАХОВКА: Каховская ГЭС. История в фотографиях.

20 сентября 1950 года было принято постановление о строительстве Каховской ГЭС » Любимый Херсон | Новости

1954г. Каховская ГЭС. Херсонская обл. Украина - YouTube

 

1955г. Каховская ГЭС. затопление котлована - YouTube

 

 

Новая Каховка, Каховская ГЭС. С высоты... - YouTube (2020/12/13)

 

ーーーーーー

「誰が?」「何のために?」のあたりの報道。

 

ウクライナ保安局は9日、南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムをロシアの「破壊工作グループ」が爆破したことを証明する通話を傍受したと発表した。

同局はメッセージアプリ「テレグラム」のチャンネルに、証拠とする1分半の音声データを投稿。2人の男がダム破壊についてロシア語で話し合っているとみられる内容となっている。

ロシアの破壊工作グループがダム爆破、証拠通話を傍受=ウクライナ | ロイター

Evidence grows of explosion at collapsed Ukraine dam | Reuters

SBU: In intercepted phone call, Russian soldier confirms Russia destroyed Kakhovka dam

Telegram: @SBUkr (ウクライナ保安局(SBU) telegram)

 

 

WASHINGTON — A senior Biden administration official says that U.S. spy satellites detected an explosion at the Kakhovka dam just before it collapsed, but American analysts still do not know who caused the dam’s destruction or how exactly it happened.
The official said that satellites equipped with infrared sensors detected a heat signature consistent with a major explosion just before the dam collapsed, unleashing huge floodwaters downstream.

U.S. Spy Satellites Detected Explosion Before Ukraine Dam Collapse, Official Says - The New York Times (June 9, 2023)

archive.is

 

 

ロシア政府のウェブサイトで閲覧できるこの判決によると、軍事作戦によって発生した水力発電所やダムの事故の技術調査は2028年1月1日まで許可されない。

 

Каховская плотина: «Классика» разрушения дамб - это минирование их изнутри - Свободная Пресса - Новости Украины. Спецоперация на Украине. Украина последние новости. Яндекс новости. Новости Яндекс. Украина Яндекс. Яндекс Украина. Новости Украины сегодня.(カホフスカヤダム:ダムの「古典的な」破壊は内部から採掘することだ キエフはクリミア運河を無力化しようとするだろう)(2022-10-19)

 

thx:garlandou22