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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

ウクライナ、弾薬庫がロシアのドローン攻撃で大爆発 → ガンマ線の値が増加?劣化ウラン弾のせい? 検証してみた(追記あり)

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ウクライナ西部のフメリニツキーにある弾薬庫がロシアのドローン攻撃によって大爆発を起こした。

ロシア軍の自爆型無人機「シャヘド 136(Shahed 136)」(*1)による空爆があり、ウクライナは17機を撃墜したが4機が成功し、弾薬デポの大爆発につながった。

弾薬デポはもともとは旧ソ連時代に建設されたもので、ウクライナの独立後も引き続き使用されていたそうだ。保管されていた弾薬に、旧ソ連時代から保管されていたものが含まれていたかどうかは定かではない。
(*1)ウクライナへの空爆に使われている「シャヘド 136」自爆型ドローンは、イランがロシアへ提供したものと言われている。

報道によると、ウクライナ時間5月13日午前03時05分から空襲警報が鳴り、13日午前04時15分頃に大爆発を起こした。 (ye.ua(フメリニツキーの地方メディア))(Daily Mail)

弾薬デポは、フメリニツキー市の中心地区から7~8kmしか離れていない。

フメリニツキー市では、爆風と衝撃波によって市内の半分の建物の窓やガラスが壊れ、30人以上の怪我人が確認されている。多くはガラスによる切り傷や壊れた壁や建材等による外傷だそうだ。市民の死者は報告されていない(15日時点)(espreso.tv(ウクライナ・メディア))

Explosions reported in Khmelnytsky Oblast - Kyiv Independent

 

このフメリニツキーの弾薬庫の大爆発に関連して流言やデマが流れている。ウクライナ当局からも注意喚起がされている。

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最新のものは、フメリニツキー市に設置されている空間線量モニタリング・ポストのガンマ線の数値が急に増加しており「これは弾薬庫に保管されていた劣化ウラン弾が原因」というものだ。

検証してみた。

(追記5/16:弾薬デポが大爆発した頃の風向きと、弾薬デポの位置とモニタリングポストの位置のGoogleEarth画像を追加した)

 

・フメリニツキー市のモニタリング・ポストのガンマ線の値が増えだしたのは5月11日からで、5月12日00:00(UTC(協定世界時))(ウクライナ時間は5月12日午前2時)には148nSv/h(ナノシーベルト/時)まで高くなっている。
・フメリニツキーの弾薬デポが大爆発をしたのは5月13日午前3時から4時過ぎ。爆発の様子を撮影した動画やスナップショット画像のタイムスタンプでも5月13日と記録されている。

・(追記5/16:フメリニツキー市郊外の弾薬デポは、数値が増加している空港近くにあるモニタリング・ポストから12kmくらい。大爆発の当時、モニタリング・ポストは風上だった。(詳しくは後述))

 

実際には、空間線量のガンマ線の値が跳ね上がったのは、空襲と大爆発が起こるよりも1日以上も前。

劣化ウラン弾がどうだと言う以前のところでこの噂は間違っていました。

むしろ・・・大爆発が起きた直後にガンマ線の測定値が急落したように見える。😓

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Radiological Maps - European Commission

このグラフは、空間線量が増加しているという噂に関連してツイッターやネット掲示板で拡散しているグラフいくつかの元ネタ。欧州委員会のジョイントリサーチセンター(JRC) による放射線事故等の緊急時モニタリング・システムEURDEPによるもので、日本語で簡単な説明を書いた。データの期間は5月7日〜5月14日。

 

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フメリニツキー市にあるモニタリング・ポスト UA33429(青色)の周辺100kmまで拡げて、だいたい東西南北の4つのモニタリングポストのデータと合わせて表示させた。期間は5月7日〜5月14日。

南〜南南東にあるモニタリング・ポスト UA33557 (黄色)の値がかなり高い。設置地域によって100nSv/h未満から150nSv/hとかなり違いがあることが分かる。

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期間をその1週間前の4月29日〜5月6日にしてグラフを書いた。モニタリングポストの場所と色は同じ。

南〜南南東のモニタリングポスト UA33557 の値はやはり高く、110nSv/h近くから160nSv/h近くまで数値の増減も激しい。

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空間線量の値に地域差が大きく、天候や風向、季節によっても変動するので、ごくわずかな期間のデータだけを見て判断するのは早合点のもとだろう。フェイク・ニュースにひっかかりやすい認知戦の負け犬な気質や体質にならないようお気をつけください。

 

ちなみに、ツイッターやネット掲示板で拡散しているグラフは個々のモニタリングポスト1つだけのグラフばかりで、これと同じグラフ描画の操作(直感的に簡単に出来た)をして周辺のデータと比較をしたグラフは見かけない。

 

 

フメリニツキーの弾薬庫が大爆発をした直後には、SNSで有毒物質が漏洩したというデマが広められていた。ロシア側が何度もやってきたデマ、フェイクを使った認知戦の手段だ。

メッセンジャー・アプリViberを使用して「有毒物質が漏洩した可能性がある」「アンモニアが漏れた可能性が高いので、窓を閉めてください」といったメッセージを市民が受け取っていたが、そのような事実は無いとフメリニツキー市議会が注意喚起をしている。

「ミサイルやドローンに加えて、敵は情報を用いて我々を攻撃している。現在、市内で有害化学物質が漏洩した可能性があるという情報がネットワークを通じて広まっています。これらの噂は真実ではなく、パニックを広めることを目的としています。挑発に反応せず、情報の安全性を維持するよう心からお願いします」と市議会は述べた。
(Google訳を元に、ブログ管理人が少し意訳した)

У Хмельницькій міськраді назвали фейком повідомлення щодо витоку отруйних речовин після нічного обстрілу | Новини Хмельницького "Є" | ye.ua (ye.ua(フメリニツキーの地方メディア))

 

--(追記:5/16)--------------------

SNSやネット掲示板でよくグラフが使われているウクライナの環境モニタリングサイトSaveEcoBot(*2)、その共同創設者Pavlo Tkachenko氏はツイッターでフメリニツキーでガンマ線の数値上昇という噂は愚かなロシア人によるデマ(意訳)とばっさり切り捨てた。放射線バックグラウンドの値は基準値内にある。

また、弾薬デポに最も近いフメリニツキー市の市街地のモニタリング・ポストの数値に異常が無いことと、当時、ガンマ線の数値が上昇したモニタリング・ポストは大爆発を起こした弾薬デポよりも風上にあった(爆発の影響を受けにくい)と指摘した。(次のツイートのスレッドをご覧下さい)

 

ちょっと分かりづらいけど、風向きは地図の右下から左上になっている。

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ガンマ線の数値が上昇したモニタリング・ポストは、次のフメリニツキー市の地図の下の方にある「149番」。

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大爆発を起こした弾薬デポに最も近いモニタリング・ポストは、地図の右上にあるフメリニツキー市内のフルシェフスキー通りに設置された「130番」。ガンマ線の値に変動は無く、むしろ数値は減っている。

 

 

SaveEcoBotのモニタリング・ポスト「149番」の近くにある直線はフメリニツキー空港で、2012年に空港の使用が停止された。再使用の計画があったがあまり進展はしていなかったらしい。(wikipedia)。ただし、2022年2月にロシアによるウクライナ本土への侵略戦争が始まった後に、軍用機や輸送機の離発着が行われていても不思議はないだろう。

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大爆発を起こした弾薬デポ(赤丸)と、モニタリング・ポスト「149番」(赤矢印)の位置関係は次のようになっている。距離は約12km。フメリニツキー市の市街地の方がずっと近いことが分かる。(GoogleEarthで衛星撮影画像を取得した)

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GoogleEarthの衛星撮影画像を拡大してみた。

大爆発を起こす前の弾薬デポ。

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フメリニツキー空港と、モニタリング・ポスト「149番」(赤矢印)。

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さらに空港近くのモニタリング・ポスト「149番」の拡大図。
周辺は、空間線量を撹乱をおこしやすい地形ではなく、また市街地のようなノイズ源も多くないだろう。

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(*2)SaveEcoBotは、ドニプロ市の火力発電所で起きていた環境汚染問題に対して、2018年に創設されたウクライナの環境モニタリングサイト。

Російська пропаганда вигадала черговий фейк після вибухів на Хмельниччині | Новини Хмельницького "Є" | ye.ua (フメリニツキーでの爆発の後、ロシアのプロパガンダが新たな捏造をでっち上げた - ye.ua (フメリニツキーの地方メディア)(2023-05-15))

--(追記ここまで)------------------

 

 

フメリニツキーという地名からフメリニツキー原子力発電所を連想したのだろう、「フメリニツキー原発の空間線量が・・・」という勘違いも見かけた。フメリニツキー市からフメリニツキー原子力発電所まで約100km離れている。フメリニツキー原子力発電所のモニタリング・ポストの空間線量は正常値で、異常な変動も見られない。

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それでも、フメリニツキー市にあるモニタリング・ポストのガンマ線の値が5月11日から5月12日にかけて100nSv/h前後から150nSv/hへ、(ミリやマイクロではない、ナノシーベルト/時という単位でのことだけど)急に高くなっているのは事実だ。

なぜそうなったのか原因をはっきり説明しているものはいまのところ見かけていない。

 

ロシア軍のミサイルやドローンによる攻撃は、実は5月11日から12日にも行われていて、弾薬庫で火災が発生したが延焼を止めることが出来ずに1日たった5月13日未明に大爆発を起こした、という仮説を考えてみた。😅

しかし、フメリニツキー地方軍政局(Хмельницька ОДА)のTelegramでは、5月13日午前に空爆と爆発と被害について書きこまれていても、5月11日や12日に空襲警報や迎撃の発表はまったく無かった。

🇺🇦Хмельницька ОДА (ОВА) – Telegram

 

 

たとえばフメリニツキー市に大雨が降っていれば、空間線量の値が高まっただろう。

フメリニツキー州の地方メディア、フメリニツキーLIVE(Хмельницький LIVE)のTelegramから過去1週間の天気予報をピックアップしてみたところ、5月11日から12日にかけて大雨という予報では無かった。

5月11日よりも前の日と11日よりも後の日の天気を比較してみると、気温が上がって暖かくなり、天気は曇から雨で、11日以後の方は比較的に午後によく降っている。それでも大雨ではなかったようだ。

これはフメリニツキー州の天気予報なので、問題のモニタリング・ポストが設置されている地区にゲリラ豪雨でもあったのなら分かりやすかったのですが・・・😅

 

Хмельницький LIVE - Telegram

5月10日

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5月11日

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5月12日

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5月13日はフメリニツキー市郊外の弾薬庫への空爆と大爆発による被害の投稿ばかりで「今日の天気予報」の投稿は無い。

5月14日

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スレッド

 

 

Хмельницька обласна військова адміністрація — Офіційне інтернет-представництво(フメリニツキー地域軍政局)

ОВА спільно з партнерами допомагає відновити пошкоджене російським обстрілом майно | Хмельницька обласна військова адміністрація — Офіційне інтернет-представництво

Ukrainian city of Khmelnytskyi rocked by huge explosion causing fireball which 'injured 30 people' | Daily Mail Online

У Хмельницькому внаслідок ранкових вибухів ледь не пів міста без вікон, - Новачок(espreso.tv(ウクライナ))

Вибухи у Хмельницькому – що відомо (оновлено) | Новини Хмельницького "Є" | ye.ua

У Хмельницькій міськраді назвали фейком повідомлення щодо витоку отруйних речовин після нічного обстрілу | Новини Хмельницького "Є" | ye.ua

Кількість постраждалих внаслідок нічної атаки рф на Хмельниччині зростає : 13:05:2023 - vsim.ua

Погода у Хмельницькому на місяць, Погода Хмельницький на 30 днів - Хмельницька область

Єдиний в Україні екологічний чат-бот - SaveEcoBot

Ukraine Ammo Storage Site Obliterated Where Huge Fireball Seen

RADIOACTIVE PANIC: Russians Missiles Hit Ukrainian Ammunition Depot in Khmelnytsky Causing Massive Explosion - Cache of British Depleted Uranium Tank Shells Destroyed - Gamma Radiation Spikes in the Region’s Atmosphere | The Gateway Pundit | by Paul Serran

 

Російська пропаганда вигадала черговий фейк після вибухів на Хмельниччині | Новини Хмельницького "Є" | ye.ua

Хмельницький (аеропорт) — Вікіпедія

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