(腾讯视频より)
今年5月18日、中国海警局の公船4隻が、尖閣諸島の日本の領海に侵入した。その時に、魚釣島から約14Kmの日本の領海内で、「海警2308」がドローンを飛ばして領空侵犯を行ったことが確認されている。中国外交部は記者会見で「ドローンはあるメディアが船を空撮していたもの」と説明していた。
8月31日、その時にドローンを使って撮影したものだろう、空中撮影した映像がはじめて公開された。
中国メディアによる編集映像(動画2分30秒)
实拍钓鱼岛中国执法船遇上日本巡逻船 我们这样应对! - 腾讯视频
中国执法船在钓鱼岛遇上日本巡逻船 对峙画面公布 - 观察者网
(この動画の最初に、テロップでは「海警2038」と船名を間違えている。中国メディア(観察者網?)の編集ミス)
【中国海警局】 尖閣諸島の日本の領海内で、中国海警局の公船がドローン(無人機)を運用 - pelicanmemo(2017-05-18)
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
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映像は、中国中央電視台(CCTV、央视网)が放送している特別番組『大国外交』の第四集『穿云破雾』(穿雲破霧)の中で使用されたものだ。
もとの映像は、海警船4隻が大陸沿岸を出発するところから始まっている。
日本の海上保安庁の巡視船から、中国海警局の公船に対して無線でよびかける様子や、海警船から海保の巡視船への無線連絡(中国語と日本語)の様子もはじめて公開された。
空中から監視、警戒にあたっている海保の大型航空機"ファルコン900"型機も写っていた。
尖閣諸島に関する部分は19分20秒あたりから5分間くらい。
YouTube・CCTV公式チャンネルの動画。(動画45分)
《大国外交》 第四集 穿云破雾 | CCTV - YouTube
ーー(追記:9/5)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
外務省は、放送の後に中国大使館に抗議したそうです。
外務省は、このときに上空から撮影されたと見られる映像が、国営の中国中央テレビで放送されたことが確認されたとして、東京にある中国大使館に対し電話で抗議したということです。
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
番組では、海保の巡視船に対して無線で通信した隊員へのインタビューを行い、隊員の目線での任務の意義を "語らせて" いる。
2012年の尖閣諸島の3つの島の国有化と、日中国交正常化交渉の時のいわゆる"尖閣棚上げ"の解説、国有化に対して「違法行為で無効」だとする外交部の声明を紹介し、中央電視台 (CCTV) が尖閣諸島(中国は「钓鱼岛」と称する)の天気予報をはじめたこと、中国が一方的に決めた領海基線と海図を国連事務総長に対して提出したことも紹介した。
また、ハリウッドの製作会社に作らせたプロパガンダ・ドキュメンタリー映像「钓鱼岛真相 (Diaoyu Island:The Truth)」(内容は、大部分が日中戦争について)から、一部を抜き出して使っている。
この辺から、さらにウソくさくなってくるんだよなあ・・・😑
今年10月に開催される中国共産党第十九次全国代表大会(十九大)を前に、習近平政権が行ってきた政策と成果のアピールに余念がない。
尖閣の3島の国有化の後の、中国の在外公館の大使・公使による各国の政府や外国メディアへの働きかけを紹介するシーンの中では、なぜか(笑)、ロンドン株式市場に中国建設銀行が上場した時の握手シーンが挿入されている。尖閣についての中国の主張を外国が認めたというイメージ作りだろう。
また、中国海監のプロペラ機が、2012年に尖閣諸島の日本の領空侵犯を行ったときに撮影した画像の直後に、ヘリの着艦シーンが挿入されている。
その着艦シーンのヘリは同軸反転式ローターなので、中国海軍のKa-28対潜ヘリコプター(ロシアのカモフ(ヘリックス(Helix)A)のコピー・改良型)で、船は中国海軍東海艦隊のミサイル駆逐艦「150 长春(長春)」艦だろう。
これは尖閣諸島の海域で、海軍がヘリを運用しているという暗喩だろうか?
それとも、海警2308の上空からのドローン空撮の映像に繋がり、中国軍の訓練映像と習近平首席の演説へと繋がっているので、ただの、軍・官・民が融合した勇猛なイメージ作りだろうか。
😶ハッ!? そうか!!! 3000トン級「海警2308」に、同軸反転式ローターの武装ヘリが搭載されているということを暗示しているのか!!! 😜www のらねーよw
中国共産党はメディア映像や画像を使ったイメージ作りを頻繁に行っていて、この戦術は、ネット社会・SNS社会では効果的に働きやすいだろう。日本の政府や当局はこの分野は不得手だ。
特に、情報を制限されている国内や、極東の国々についての知識や情報が少なくイメージ中心の外国からは、中国の主張が本当だと感じられてしまう場合もあるのではないだろうか。また、中国市場と中共に忖度して(いると感じられ)、伝える情報を自主的に制限している(と感じられる)日本の国内でも、同じことが起こるかもしれない。
日本の尖閣諸島に対して、中国が「三戦(世論戦、心理戦、法律戦 )」を駆使して戦いを続けている、奪い取ろうしていることがよく分かる映像に仕上がっている。
無人の小さな離島だけの話ではない。尖閣諸島を奪われると、沖縄のすぐ沖まで東シナ海のほぼ全域を手に入れられてしまうだろう。
尖閣諸島に関する部分は19分20秒あたりから5分間くらい。(前半では、南シナ海の島嶼と漁業について描かれている)
YouTube・CCTV公式チャンネルの動画。(動画45分)
《大国外交》 第四集 穿云破雾 (Great Power Diplomacy EpN) | CCTV - YouTube
《大国外交》 第四集 穿云破雾_CCTV节目官网-特别节目_央视网(cctv.com)
穿云破雾 ——政论专题片《大国外交》解说词(第四集) - 人民日報(番組の全文テキスト(中国語))
中国执法船在钓鱼岛遇上日本巡逻船 对峙画面公布 - 观察者网
中国、尖閣へ「日本の巡視船が侵入」と主張する映像公開―中国メディア - Record China
Diaoyu Islands: The Truth - Wikipedia
Chinese firms' presence is growing in London - World - Chinadaily
めも
海上保安庁の巡視船から中国海警局の船に対する無線での連絡では、「中国海監編隊」と呼び、海警船からの返答でも「中国海监编队(中国海監編隊)」と使っている。
海上では中国海警局とは自称していないのかどうなのか、気になるところだ。