日中高級事務レベル海洋協議、第11回会議、北海道小樽市で開催

第11回中日高級事務レベル海洋協議が開催　小樽市 https://t.co/17Cdc9N2SW
— China Xinhua News (@XHJapanese) May 12, 2019

（日本の外務省のツイッターの公式アカウント @MofaJapan_jp が、前回以来ツイートをしていないので、中国の新華社日本語版のツイートを使用した）

日中両政府は１０日、海洋問題について実務者が話し合う「高級事務レベル海洋協議」を北海道小樽市で開いた。海洋プラスチックごみ対策をめぐり今年秋に中国で共同調査を実施する方針で合意した。東シナ海ガス田の共同開発に関し、条約締結交渉の再開に向けた意思疎通の強化も確認した。

日中、秋にプラごみ共同調査海洋実務者協議で合意 - 産経ニュース

日中高級事務レベル海洋協議、第１１回会議が、5月10日〜11日の日程で北海道小樽市で開催された。

日本メディアは、第１１回日中高級事務レベル海洋協議の結果についてあまり報じていないようだ。

産経ニュースは「東シナ海ガス田の共同開発に関し、条約締結交渉の再開に向けた...」と書いているが、日中両国から発表された結果概要を見てみても、大きな進展があったようには感じられない（水面下で動いているのだろうか？）。

中国団長「美しい街」小樽で日中海洋協議開幕国際的ＰＲに期待の声：北海道新聞

中日が第11回高級事務レベル海洋協議 - 人民網日本語版

前回（第10回）は昨年12月に開催。年２回、定期的に開かれている。

昨年（2018年）、「日中防衛当局間の海空連絡メカニズム」に関する覚書に署名し、6月8日から運用がはじまった。10月には「日中海上捜索救助（SAR）協定」の署名が行われ、今年（2019年）2月に発効した。
7月から中国海警局が、中央軍事委員会が指揮する武装警察部隊の海警総隊（中国海警局）として編成された。

第11回日中高級事務レベル海洋協議（結果）｜外務省

中日举行第十一轮海洋事务高级别磋商 - 新华网

日中高級事務レベル海洋協議、第10回会議、浙江省で開催 - pelicanmemo (2018-12-19)

海事カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

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日本側の組織では、今回も、国土交通省が参加しなかった（第7回・10回に続いて３度目）。

文部科学省が、外務省、内閣府に続く３番目に掲載されている。

中国側の出席した組織では、はじめて公安部が参加しなかった。中国科学院も参加しなかった。

中国側から、公安部が参加しなかった。

前々回（第9回）までは、海上保安庁と公安部辺防管理局とで、密輸・密航及び麻薬取引等の越境犯罪対策の分野についての項目があったが、前回（第10回）から無くなっているからだろうか。

日本の文部科学省が、掲載順の上の方になった。
関係があるところとすると、海洋の科学的調査についてだろう。ただ、中国科学院が参加していないのが気になる。

「国連海洋法条約（联合国海洋法公约）」が、日中高級事務レベル海洋協議の結果概要で初めて使われた。

中国の海洋調査船による、日本の排他的経済水域(EEZ)などでの調査活動に関するものだろうが、「重要性を確認」「意志疎通を重ねていく」と、まだまだ表現が弱い。

5 　双方は，海洋の科学的調査について意見交換を実施し，日中の海洋の調査活動の相互事前通報の枠組みや国連海洋法条約の関連規定を確実に遵守することの重要性を確認するとともに，引き続き意思疎通を重ねていくことで一致しました。

三、双方就海洋科考交换意见，确认遵守中日双方关于海洋科考相互通报框架和《联合国海洋法公约》有关规定，愿就相关事宜继续保持沟通。

（注：日本外務省の発表と中国外交部の発表で項目番号が違うのは、日本の外務省の発表が最初の段落２つにも番号をふっているため、２つずつずれてしまっている。以下の項目も同じ。）

海洋地質科学分野についても、表現に大きな変化なし。

10　双方は，海洋地質科学分野における協力・研究について意見交換を行い，意思疎通を強化していくことで一致しました。

八、双方就海洋地质科学领域的合作研究交换意见，并同意就此加强沟通。

東シナ海ガス田について、前回（第10回）と変わっていない。

しかし、新たに、資源エネルギー政策についての項目が登場した。

15　双方は，資源開発に関する「2008年合意」について完全な堅持を改めて確認し，意思疎通を一層強化していくことで一致しました。

十三、双方确认坚持2008年东海问题原则共识，同意进一步加强沟通交流。

11 　双方は，それぞれの資源エネルギー政策について引き続き意思疎通を行うことで一致しました。

九、双方同意就两国资源能源政策继续交流沟通。

防衛当局間の「海空連絡メカニズム」について、防衛当局のハイレベルの相互訪問等防衛交流が進められている。また、中国側の発表によるとホットラインの早期開設について進展があったように感じられる。

4　双方は，防衛当局間の「海空連絡メカニズム」が昨年6月の運用開始以降，効果的に運用されていることを歓迎し，引き続き，ホットラインの早期開設に向け調整を加速化することで一致しました。双方は，現在の日中防衛交流が改善基調にあることを高く評価するとともに，防衛当局のハイレベルの相互訪問等防衛交流を引き続き推進していくことについて突っ込んだ意見交換を行いました。

二、双方认为，防务部门海空联络机制自去年6月正式启用以来，得到有效运用。双方对此表示欢迎，同意尽早开通直通电话。双方积极评价中日防务交流的良好势头，就继续推进防务部门高层互访等交流合作深入交换意见。

日中海上捜索・救助（SAR）協定について、今年2月の発効した。

日本側の概要と中国側の概要とで、文字数がかなり違うのが気になるが、内容は同じなので、日本側のは表現が冗長すぎるだけだろう。

6　双方は，昨年10月の安倍総理大臣の中国訪問時に署名に至った日中海上捜索・救助（SAR）協定が本年2月に発効したことを歓迎し，海上捜索救助協力を引き続き推進することで一致しました。海上保安庁と中国海上捜索救助センターは，SAR協定発効を受け，両機関による情報交換等を促進していくことについて確認しました。また，海上保安庁と中国海上捜索救助センターは，引き続き，円滑・効率的な海上捜索救助に協力して取り組むことで一致するとともに，今後の両機関の交流・協力について意見交換を行いました。

四、双方对今年2月《中日海上搜救协定》生效表示欢迎。中国海上搜救中心与日本海上保安厅确认在《中日海上搜救协定》框架下促进信息分享，推进顺畅高效的搜救合作。

海上保安庁と中国海警局について、まったく変化なし。武警部隊海警総隊（中国海警局）となっても変化なし。
上部組織である人民武装警察部隊からの参加は無いようだ。