pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】 尖閣諸島沖、中国海警局の5000トン級と海上保安庁の1000トン型巡視船、大きさを比較してみた。

20200702203935YouTubeより)

尖閣諸島の接続水域や領海で、中国海警局の公船2〜4隻が、日本の漁船を追尾し、海上保安庁の複数の巡視船がそれを守っている事案が5月と6月に発生した。
これについてネットSNSで、海上保安庁の巡視船と中国海警局の大型船の大きさを比較した、という変な図・イラストを見かける。

【中国海警局】 尖閣諸島沖、日本漁船2隻を海警船4隻が追尾 海上保安庁の巡視船10隻以上で安全を確保 - pelicanmemo (2020-06-25)

 

中国の5,000トン級「海警2501」日本の200トンのPS型巡視船を比較するという、かなり中途半端なモノだったので、見る人に誤解を与えてしまいそうだ。(この図・イラストを作成したのは”チャンネル桜沖縄支局「沖縄の声」”で、番組内でフリップで掲示したもののよう)

 

そこで、その時に現場海域で警備をしていた尖閣領海警備専従部隊の、くにがみ型(1000トン型)巡視船も加えた、より確からしい「船の大きさ比較」図を描いてみた。 

20210209193109
(撮影角度が近い画像を探して合成したけれども、厳密な大きさ比較は難しい事をご理解いただきたい)(2021/02/09修正。説明不足だったので海保の”1000トン型”を追記した 

中国海警局の5000トン級に対して海上保安庁の1000トン型が、と使われますが実際にはこのくらいの違いです。大きさが5倍も違うわけではありません。

 

海上保安庁のくにがみ型巡視船「PL86 いけま」は1000トン型巡視船で、全長 96.6m、全幅 11.5m。総トン数 1700トン。
しもじ型巡視船「PS31 しもじ」は180トン型巡視船で、全長 43.0 m、全幅 7.8 m。総トン数 200トン。
中国海警局の「海警2501」は5000トン級で、全長128m、全幅16m。排水量5500トン・満載排水量6470トン。(正式配備の公式発表などによる)

 

総トン数と排水量の違いにご注意ください。どちらも「〜トン」と書くけれども、違う単位です。 

表面的な数字に惑わされずに、煽られないことが大事です。

【中国海警局】 排水量12000トン「海警2901」 vs. 排水量6500トン「しきしま型」巡視船、という数字のトリック - pelicanmemo

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

Ads by Google

 


20200624194209
手前から、漁船「第一桜丸」、しもじ型巡視船(180トン型)「PS34 しぎら」、3000トン級「海警2302」。(日本文化チャンネル桜 YouTubeチャンネルより)

今年(2020年)6月に尖閣諸島の接続水域で、中国海警局の公船4隻に追尾された日本の漁船2隻のうち、この写真の「第一桜丸」は全長14m、9.7トン。

 

海上保安庁第11管区海上保安本部から、比較的に小さい180トン型のPS型巡視船が出動しているのは、遠洋での日本の漁船の安全確保と警備のためであり、さらには、もしも中国海警局の船が装備している高速搭載艇が使われた時の対処のためだろう。

1000トン型やそれ以上の巡視船だけでは大きすぎて、小回りのきく高速搭載艇への迅速な対応は厳しい。

 

では海保も、巡視船から高速搭載艇を下ろして対処すればいいと思われるかもしれないが、時間差が生じてしまうだろう。必要とされた時に、しっかりとした対処が求められる。

一方の、中国海警局の5000トン級「海警2501」等には、船尾にスリップウェイ式の降下揚収装置があり、航行中でも迅速に高速搭載艇を下ろすことが出来る。何ノットで降下が可能かは公表されていない。

5000トン級海警船の搭載艇は、全長12.5m、全幅3m。FRP製で、最高速度は60ノットのようだ。

20151017104817
飞扬军事)(赤丸は管理人による) 

 

中国海警局の5000トン級海警船4隻(「海警2501」「海警2502」、「海警6501(もと海警1501)」と「海警5501(もと海警3501)」)の装備について、写真付きで詳しく書いているので、次の記事を参照していただきたい。

5年前(2015年)の記事だが、今年(2020年)に入ってから公表・報道された新たな写真と見比べてみても、大きな装備(機関砲など)の変更は見あたらない。

【中国海警局】 「海警2501」空撮画像 5000トン級新型海警船の装備 - pelicanmemo (2015-10-17) 

今年(2020年)5月に、尖閣沖で日本漁船から撮影された「海警2501」の左舷船尾からの写真はこちらの記事に掲載されている。

【独自】尖閣で日本漁船追尾の中国公船の写真入手 | THE 正論

 

 

元ネタで言及されていた「機関砲などの武装」については…、この記事では余談だし、さらに長くなるので触れなかった。
正直なところ、もっと「海保が発表した最新画像をちゃんと調べてみましょう」で終わる話。🙂

 

 

この記事で使用した、

くにがみ型巡視船「PL86 いけま」の画像は、海上保安庁第11管区海上保安本部の画像を使用した。
しもじ型巡視船「PS31 しもじ」の画像は、かいほジャーナル Vol.70 のものを使用した。
どちらもオリジナル画像から切り抜き加工をして、使用させてもらった。

中国海警局の「海警2501」の画像は、中国ネット掲示板の有名なハンドルネーム”巡海”こと、中国海監総隊・東海航空支隊(当時)の故・孫利平航空支隊長補が撮影した写真を使わせてもらった。撮影は2015年後半で、撮影場所は中国大陸沿岸の海域。

【中国海警局】 国家海洋局・中国海監のヘリ「B-7115」機が墜落 4人死亡 - pelicanmemo (2016-06-08)

 

くにがみ型巡視船 - Wikipedia

しもじ型巡視船 - Wikipedia

かいほジャーナル Vol.70  2017年7月(https://www.kaiho.mlit.go.jp/doc/journal/journal70.pdf)

第十一管区海上保安本部について

  

【沖縄の声】『沖縄慰霊の日』悲劇のアピールショー、ようやく終わる/中国政府、石垣市による尖閣字名変更に抗議、報復,etc...[桜R2/6/26]