(テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」より)
尖閣諸島の領海で、日本漁船を、中国海警局の船2隻が追尾した事件、
これについて、テレビ朝日の午後のワイドショー番組「ワイドスクランブル」(*1)の5月21日の番組で取り上げられていたと、ツイッターで教えていただいた。
(*1)正しい番組名は「大下容子ワイド!スクランブル」
ツッコミどころ沢山な内容だったので、これについて少し。(詳しい前置きと解説は省略)
5月上旬に、沖縄県の与那国町漁協の漁船「瑞宝丸」を、日本の領海内で追尾して操業の監視をしていたのは、中国海警局の5000トン級「海警2501」と1000トン級「海警14603」の2隻。
番組では、特に5000トン級の中国公船が「海警2501」が日本漁船を追尾したと、海上保安庁が提供した写真を使って取り上げていた。
(テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」より)
節子、それは「海警2501」やない、「海警2506」や・・・
しかも「海警2506」の名前の船は、今はもう無くなっています。
そもそも「海警2501」の画像は、海上保安庁からマスメディアを通して公表されている。なぜ、それを使わないのだろう? ひと目で違う船だと分かります。
(海上保安庁, FNN)
テレビ朝日のワイドショーで、誰が調べたのか、画像を用意したのか、台本を書いたのか、それらは知らないけれど、いいかげんすぎる。
マスメディアが、視聴者に伝える最低限の事は、「正しい情報」を伝える事ではないのでしょうか?
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(テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」より)
番組でアナウンサーは次のように説明をしていた。
「海警2501」というものなんですけれども、ヘリコプター搭載巡視船というものですね。
これ、写真は同型の中国公船ですね。同じシリーズの「2506」というものなんですが、これと同じようなものとイメージとみていただければ良いと思います。
まったく良くありません。まったく違う船です。
「海警2501」と「海警2506」は同型では無いし、同じシリーズでも無い。「2506」はヘリ甲板があるので着船は出来るが、ヘリコプターを搭載は出来ない。
しかも、日本漁船を追尾した「海警2501」とは違って、「海警2506」は数年前に30mm機関砲2基を再装備した武装船だ。
テレビ朝日「ワイドスクランブル」が使用した画像にも、30mm機関砲は写っている。(一部を拡大)
「海警2506」の30mm機関砲は、2015年の改修改造の時に再装備されたもの。その後、撮影された写真はこれ。
(微博より)
「海警2506」について、改修での新たな装備についてや、もとは漁政局「漁政206」でその前は中国海軍「871 李四光号」だとか、詳しくは当ブログ過去記事をご参照ください。😊
【中国海警局】 5000トン級「海警2506」、再武装。 30mm機関砲2基か - pelicanmemo (2018-07-15)
テレビ朝日のワイドショー番組「ワイドスクランブル」が使用した「海警2506」の画像は、提供が海上保安庁の「第七管区海上保安本部」となっている。恐らく、2017年7月に福岡県の沖ノ島の沖の領海を通過したときに撮影されたものだろう。
あの時は、「海警2506」と「海警1304」の2隻が対馬海峡を通り、日本海を航行して、対馬海峡を通っていった。北太平洋の公海での中国籍の漁船に対する漁業パトロールを行った。
【中国海警局】 九州北部、対馬沖や沖ノ島沖の領海をはじめて航行 海警1304、海警2506 - pelicanmemo (2017-07-16)
この「海警2506」は、一昨年(2018年)に中国共産党の中央軍事委員会が指揮する武装警察部隊・海警総隊(中国海警局)になった後、今年までに、所属と船名・番号(舷号)が変わって今は「海警3501」となっている。武警海警総隊の南海海区指揮部(南海分局)(広州市)、直属第3局に所属する。
【中国海警局】 船名・船舶番号、変更(2019年7月〜)。| 「海警6501」は直属第六局所属の5000トン級。 - pelicanmemo