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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

尖閣諸島近くのEEZ内に、中国が新たに海洋調査ブイ | 10m型海洋気象ブイと大型海洋ブイ作業船「向陽紅22」

20181005055937(国家海洋局(当時)より、同型か?)

尖閣諸島(沖縄県)近くの日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国が海洋調査ブイを新たに設置したとして、日本政府が中国側に抗議したことがわかった、と読売新聞が9月18日付け記事で報じた。

現場の海域は尖閣諸島の魚釣島から北西に約80kmで、日本と中国のEEZの境界線にあたる日中中間線から日本側に約500メートル入った海域。政府関係者によると、海上保安庁の巡視船が7月11日にその海域で黄色いブイを確認した。

尖閣諸島近くのEEZ内、中国が新たに海洋調査ブイ…潮流データを海警船が活用か : 読売新聞 (2023/09/18)

 

ブイには「中国海洋観測浮標QF212」と書かれており、海底に重りを下ろして固定しているとみられる。読売新聞の記事では、欧州宇宙機関が公開している地球観測衛星「センチネル2」の画像を調べて、直径10m程度の海洋ブイとみられる物体が確認できると伝えている。

2018年に発表された海洋ブイと同じタイプの可能性が高いだろう。

 

中国の海洋調査ブイに書かれている「中国海洋観測浮標QF212」は、中国語の「中国海洋観測ブイ」とアルファベットの「QF」は「気象ブイ(ìxiàng úbiāo)」の略だろう。「QF2xx」は東シナ海で、黄海に設置される海洋ブイは「QF1xx」、南シナ海や北部湾(トンキン湾)に設置される海洋ブイには「QF3xx」の数字が割り振られている。
ただし、軍民融合を是としている中共中国なので、科学的利用だけに限定される気象観測ブイや観測データではないだろうし、観測データの軍事利用(航行安全情報だけでなく)や、軍事部門のセンサーが一緒に設置されていたとしても不思議ではないだろう。

 

2018年にも、尖閣諸島から北西約80kmの海域で直径10mの海洋ブイが設置されたことが報じられていた。5年経っての更新かもしれないし、追加で設置された可能性もあるだろう。海上保安庁からの中国の大型海洋ブイに関する発表と報道は2016年、2018年に続くものだ。

中国、国家海洋局の 10m型 海洋ブイとは | 3000トン級 海洋ブイ作業船「向陽紅22」進水 - pelicanmemo (2018-10-07)

 

尖閣諸島近くのEEZ内、中国が新たに海洋調査ブイ…潮流データを海警船が活用か : 読売新聞 (2023/09/18)

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中国の海洋調査ブイに書かれている「中国海洋観測浮標QF212」は、「中国海洋観測ブイ」に加えて「QF」は「気象ブイ(ìxiàng úbiāo)」の略だろう。「QF2xx」は東シナ海で、黄海に設置される海洋ブイは「QF1xx」、南シナ海や北部湾(トンキン湾)に設置される海洋ブイには「QF3xx」の番号が割り振られている。

・・・ここで「なんだ、中国の海洋気象ブイなのに、日本の発表や報道が過剰じゃないか?」と脊髄反射的に見てしまうのは考えが浅くと言わざるをえない。

軍民融合を是としている中共中国では、単なる科学的利用に限定される気象観測ブイや観測データではないし、観測データの軍事利用(航行安全情報だけでなく)がされていたり、軍事部門のセンサーが一緒に設置されていたとしても不思議ではない。(この点は前のブログ記事でも書いた。)

これと似た話は、東シナ海や北太平洋の日本のEEZ内側での、中国の行政組織や大学の海洋調査船に所属する(あまり表に出ない)活動でも目にすることがある。

 

日中中間線の日本側の海域に、たとえ500m内側であったとしても日本側への連絡と同意が無く、中国側が一方的に気象ブイを設置する対応は国際法に違反した行動であり、国連海洋法条約に違反をしているものだ。日本側がどう対応するかサラミ戦術で削ってきていると思いつつも、中国側はルーチンワークを実行していて大して考えていない行動のようにも感じられる(苦笑)。

 

今回、この中国の「海洋調査ブイ」についての読売新聞の記事では、海上保安庁の第11管区海上保安本部で領海警備担当次長を務めた関係者のコメントとして、「中国はブイで収集したデータを人工衛星で送信している」「海の荒れ具合などを調べ、海警船を派遣するために役立てている」というコメントを伝えている。

安全保障の時事ネタに絡めてみただけのコメントで、ちょっと言葉足らずに感じられる。

中国海警局としては、毎年、台風が先島諸島や尖閣諸島の海域に接近して通過していく際に、独自の海洋気象ブイの情報をもとにして風速や波高などの情報を使いたいのだろう。

日本の気象庁や台湾の気象署から発表されている海況情報や、なんなら米軍の台風情報を見れば分かると思うんだけどw、そこんとこ、中共中国としては独自の気象観測情報をもとにした独自の分析としなければ納得できないだろうし(苦笑)。

 

 

読売新聞の記事では、船舶自動識別装置(AIS)のデータを分析して、直径10メートルの大型ブイを運搬・設置できるとされる作業船「向陽紅22」が7月2日に現場で活動していたと報じた。

「向陽紅22」と同型船「向陽紅31」は全長89m、型幅18m、型深7.2m。最高速度16ノット。航続距離10000海里、60日。定員60人。無段階の電力推進システムで、自動船位保持DP2級。6000mワイヤー用のウインチを装備する。
特に目立つ船尾のA型クレーンは、内径が高さ22.9m・幅14.5m、吊能力75トン(750KN)。50トンの大型海洋ブイの設置や揚収が可能だ。

 

20181005055939(国家海洋局より)

中国、国家海洋局の 10m型 海洋ブイとは | 3000トン級 海洋ブイ作業船「向陽紅22」進水 - pelicanmemo

 

 

尖閣諸島周辺EEZ内に中国のブイ 中国側に抗議と即時撤去を要求 | NHK

松野官房長官は午後の記者会見で「排他的経済水域でわが国の同意なく構築物を設置することは、国連海洋法条約の関連規定に反する。速やかに外交ルートを通じて中国側に対して抗議し、ブイの即時撤去を求めた」と明らかにしました。

 

 

尖閣諸島近くのEEZ内、中国が新たに海洋調査ブイ…潮流データを海警船が活用か : 読売新聞 (2023/09/18)

尖閣諸島(沖縄県)近くの日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国が海洋調査ブイを新たに設置したとして、日本政府が中国側に抗議したことがわかった。同諸島の接続水域(領海の外側約22キロ)では昨年、中国海警船の航行日数が過去最多の336日に上っており、実効支配を目指す中国側の動きが加速している。ブイで波高や潮流などのデータを集め、海警船の運用に活用している可能性がある。

政府関係者によると、海上保安庁の巡視船が7月11日、日中のEEZの境界にあたる日中中間線から日本側に約500メートル入った海域で黄色いブイを確認した。現場は同諸島・魚釣島から北西に約80キロの海域で、ブイには「中国海洋観測浮標QF212」と書かれていた。海底に重りを下ろして固定しているとみられる。

 国連海洋法条約は、他国のEEZ内で当該国の同意なく海洋調査をすることはできないとしている。しかし中国はこれまでも、同諸島周辺でブイを設置し、日本側が抗議してきた。

 2018年には「中華人民共和国国家海洋局」と書かれたブイがEEZ内で確認された。同様のブイは16年にも見つかっている。漂流したブイを海保が回収し、取り付けられていた装置を詳しく調べた後、中国側に引き渡したこともあった。

 

読売新聞が、欧州宇宙機関が公開している地球観測衛星「センチネル2」の画像を調べたところ、現場では7月上旬から、直径10メートル程度のブイとみられる物体が確認できるようになった。

 第11管区海上保安本部(那覇市)で領海警備担当次長を務めた遠山純司氏は、中国はブイで収集したデータを人工衛星で送信しているとし、「海の荒れ具合などを調べ、海警船を派遣するために役立てている」と見る。

 さらに船舶自動識別装置(AIS)のデータを分析したところ、直径10メートルの大型ブイを運搬・設置できるとされる作業船「向陽紅22」が7月2日、現場で活動していた。中国当局によると、同船は19年に中国初の大型ブイ作業船として就役したものだ。遠山氏は「向陽紅22の動きから、衛星画像の物体は中国が設置したブイの可能性が高い」と語る。