（地元紙 Westfalenpostより）
今年(2025年)6月中旬に、ドイツ西部のオランダやベルギー、ルクセンブルクと国境を接するノルトライン＝ヴェストファーレン州（NRW州）ではじめてのアフリカ豚熱(ASF)(*)のウイルスが、野生のイノシシの死骸で確認された。
(*)アフリカ豚熱（旧称：アフリカ豚コレラ）（ASF(African Swine Fever)、ドイツ語：Afrikanische Schweinepest）
ドイツでは、アフリカ豚熱(ASF)は2020年9月に、ポーランドと国境を接する東部のブランデンブルク州で発生が始まり、越境や拡大が続いた。
次の地図はフリードリヒ・レフラー研究所(Friedrich-Loeffler-Institut(FLI))より。
青色の丸印●は野生イノシシでのASF発生例（過去28日）、
赤色の丸印●は養豚場・豚飼育施設でのASF発生例（過去28日）、
灰色の丸印●は過去事例（過去365日）、を示している（ポーランドの事例は白抜きの灰色）。
（フリードリヒ・レフラー研究所(Friedrich-Loeffler-Institut(FLI))より）
ドイツの西部では、2024年6月からヘッセン州やラインラント＝プファルツ州ではじめてASF発生が確認された。ヘッセン州では野生イノシシでの感染拡大が続いており、今回のNRW州のASF発生事例へと拡大した可能性が考えられていた。
次の地図の、赤矢印の先にある青色の丸印●がノルトライン＝ヴェストファーレン州（NRW州）ではじめて確認されたASF。その南側にある複数の青色の丸印●と灰色の丸印●はヘッセン州で続いているASF。
誰が見ても、その可能性が一番高いと考えただろう。😓
しかし、フリードリヒ・レフラー研究所(FLI)は6月24日、NRW州で確認されたアフリカ豚熱(ASF)のウイルスの全ゲノム解析を行ったところ、ドイツ国内で確認されたいずれのASFウイルスとも違う変異株であり、イタリア南部のカラブリア州のASFウイルスと高い類似性を持っていると発表した。
イタリア南部カラブリア州からドイツ西部ノルトライン＝ヴェストファーレン州（NRW州）は直線距離で1500km以上離れている。
日本国内でイメージしてみると、九州南部の鹿児島県や宮崎県（あるいは韓国の釜山）で発生したアフリカ豚熱(ASF)ウイルスが、いきなり北海道のニセコ近郊へジャンプして発生したようなものだ。
それは、旅行客が持ち運んだサンドイッチ等の食べ残しのポイ捨てが原因で、その具材のソーセージやハムなど豚肉加工品（不法輸入品）がASFウイルス汚染されていたため感染拡大したのかもしれない。
（フリードリヒ・レフラー研究所(Friedrich-Loeffler-Institut(FLI))より。赤い矢印は当ブログ管理人による）
過去に清浄国・地域で起きたアフリカ豚熱(ASF)の初発生事例のように、ASFウイルスは動物の移動ではなく、豚肉・豚肉加工品が人による運搬や流通によってドイツNRW州へ運ばれたのだろう。
それらの食べ残し・残滓が適切に処理されなかったことで、野生イノシシが食べて感染拡大したと考えられる。
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（フリードリヒ・レフラー研究所(Friedrich-Loeffler-Institut(FLI))より。トリミングをした）
ノルトライン＝ヴェストファーレン州（NRW(Nordrhein-Westfalen)州）ではじめてアフリカ豚熱(ASF)が確認されたのは、アルンスベルク行政管区(Regierungsbezirk Arnsberg) オルペ郡(Kreis Olpe) キルヒフンデム(Kirchhundem)町だそうだ。オーバーフンデム(Oberhundem)地区のようだ。
6月13日にキルヒフンデム近郊の森で、ハンターがイノシシの死骸を発見した。周辺で8頭の死骸が発見され、6月16日に5頭でASFウイルス陽性が確認と発表された。
GoogleMapと観光地図をもとにASF発生地点を見てみると、鬱蒼とした深くて黒い森ではない、高原の丘と森がきれいな地域だ。
6月24日、フリードリヒ・レフラー研究所(FLI)は、NRW州で確認されたアフリカ豚熱(ASF)のウイルスは、イタリア南部のカラブリア州のASFウイルスと高い類似性を持っていると発表した。
当初、ヘッセン州で感染拡大しているASFウイルスが、野生イノシシの移動等によってNRW州まで拡大したと危惧されていた。イタリア南部カラブリア州からジャンプした個別事例と分かったことで、すこし安心されたようだ。
ドイツで飼育豚の約6割が、ニーダーザクセン州および隣接するノルトライン＝ヴェストファーレン州（NRW州）に集中している。ニーダーザクセン州では700万頭以上の豚が飼育され、一部地域では飼育密度が全国平均の4倍に達している。
初期段階でのウイルスの封じ込めが出来れば、感染拡大を防げる可能性は高くなるだろう。
EUのアフリカ豚熱(ASF)感染拡大防止の対策指針に従って、ASF発生が確認された点の周囲に汚染地域と監視地域が設定された。
狩猟の禁止（その地域の野生イノシシを、他の地域へ逃がさないため、等）、立ち入り制限（ASFウイルスが残っている可能性がある土や泥などが、靴やタイヤなどについて地域外へ拡大させないため、等）、地域住民によるペット同伴の散歩時にはリードの使用を義務付け、等々が決められた。
（Westfalenpostより）
この地域、ザウアーラント地方(*)は観光業が盛んで、オーバーフンデム(Oberhundem)地区はドイツの健康保養地（クアオルト(Kurort)）として認定されている。避暑やレジャーなどで訪れる外国籍旅行者も多いだろう。
(*) 湘南地方や京阪神みたいな？、明確な区分はされないけど歴史的にそう呼ばれる地域。
ただ、ザウアーラント観光局の広報担当者によると、ASFに対する問題意識は地域住民とは違っていて、外から来た人はあまり気に留めていないそうだ。
日本でも、いわゆるインバウンドで来日した一部の旅行者や滞在者によって、有名な観光地となった場所で近隣の農地へ勝手に立ち入って写真撮影をするなど多くの迷惑行為や不法侵入が報じられている。交通違反、公共交通機関でのルール違反や迷惑行為など枚挙にいとまがない。
アフリカ豚熱(ASF)のような日本国内の畜産業に壊滅的な影響を与える家畜伝染病に関しても、あまり変わらないのだろう。
楽観的になれる材料は多くない。
とにかく、ASFウイルスを国内に入れないことと、食べ残しをポイ捨てしないさせないなど地道な対策が重要だ。
もし、日本国内ではじめてアフリカ豚熱(ASF)が発見されても、スウェーデンのように早期発見と迅速なASFウイルス封じ込め対策が行われればいいと思うけれども・・・、近ごろの日本国内の状況をみていると、楽観的になれる材料は多くない。😕
【アフリカ豚熱】スウェーデンで発生からわずか１年、清浄地域に復帰。 【ASF, アフリカ豚コレラ】 - pelicanmemo (2024-10-11)
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Karten zur ASP | Friedrich-Loeffler-Institut
Die Afrikanische Schweinepest (ASP) | LAVE NRW
Afrikanische Schweinepest: Fünf Fälle in NRW bestätigt - Westfalen-Lippe - Nachrichten - WDR
キルヒフンデム町の地元紙
Westfalenpost紙
Afrikanische Schweinepest: Alle Auflagen jetzt im Überblick
Oberhundem: Weitere tote Wildschweine im Umfeld gefunden
Wie sich die Schweinepest auf Tourismus im Sauerland auswirkt
Westfälische Rundschau 紙
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Oberhundem | Luftkurort mitten am Rothaarsteig
