ドイツで、2020年9月にはじめてブランデンブルグ州のポーランドとの国境近くで発生したアフリカ豚熱(ASF、旧称:アフリカ豚コレラ)。その後、南隣のザクセン州でも同じように国境近くで確認された。今年に入ってから養豚場3箇所での発生が確認された。
ドイツでは、チェコやベルギーでのASF封じ込めの成功例に倣って、ASF感染イノシシが発見された地域の周辺に、野生イノシシの移動を制限するためのフェンスや電気柵(忌避臭など含む)で囲い、狩猟や立ち入りを規制するなどウイルスの封じ込め策を行っている。
2020年9月以降、主にその封じ込め地域の内側で、野生イノシシで2345頭、養豚場の家畜豚で3件の発生が確認された(2021年10月8日現在)。
【アフリカ豚熱】 ドイツ、3ヶ月で野生イノシシから250例 | 発生地域の管理とウイルス拡大の防止 【ASF, アフリカ豚コレラ】 - pelicanmemo (2020-12-08)
しかし、ウイルス封じ込めが100%確実なわけはなく、封鎖地域の外で感染イノシシが確認されることがある。そこで随時対応して、封鎖や調査地域を拡げたり対策を強化している。
ザクセン州政府は10月14日、これまでにASF感染イノシシが確認されていたゲルリッツ郡(Landkreises Görlitz)以外ではじめて確認されたと発表した。ドレスデン市近くのマイセン郡(Landkreis Meißen)で、狩猟により捕獲された野生イノシシから。封じ込め地域から約60km、ポーランド国境から約100kmも離れている。
今回のザクセン州の発表は青い星印の場所。
(FLI(Friedrich-Loeffler-Institut))
(日本語文字と青い星印は管理人による)
ポーランド西部とドイツの国境近くでの、アフリカ豚熱(ASF)発生箇所の地図(フリードリヒ・レフラー研究所(FLI)より)。(青丸は野生イノシシ(ドイツ)、赤丸は養豚場(ドイツ)。黄色は野生イノシシ(ポーランド)、紫丸は養豚場(ポーランド))
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ただ、今回のは「調べてみたら、見つかった」ケースで、すでに拡大している可能性は否定できない。
ザクセン州ではASF早期警戒モニタリング・プログラムによって、封じ込め対象の自治体とその外側で、狩猟による捕獲や死骸のイノシシが見つかった場合にASFウイルス検査が行われている。2020年4月からゲルリッツ郡とバウツェン郡に導入されていた。
今回、ASFウイルスが確認されたのは、2021年9月22日にマイセン郡と、ゼクシッシェ・シュヴァイツ゠オストエールツビルゲ郡(Sächsische Schweiz-Osterzgebirge)や州都ドレスデン市に拡張されたことによるものだった
ASFウイルスの伝播経路は分かっていない。ザクセン州のASF危機対応チームの責任者であるフォーゲル大臣(州大臣)によると、ゲルリッツ郡からASF感染イノシシが移動してきたものではないと想定しているそうだ。
欧州でのアフリカ豚熱(ASF、旧称:アフリカ豚コレラ)がどうなっているのか気になっている人もいるだろう。
2021年10月8日現在の欧州でのASF発生は次の地図のようになっている(OIE報告を元にしたドイツFLIによる発表)。
ルーマニアが最悪で養豚場の被害が酷い(赤い丸印が養豚場でのASF発生地点)。何も対策をとっていないのか???
ポーランド西部とスロバキア東部〜ハンガリー北部で拡大している。ブルガリアでも拡大傾向。
バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)とポーランド東部も止まっていない。ベラルーシは情報を公開していないのでそこからの影響が続いているのかもしれない。
ウクライナやロシアでは散発的に発生するくらいに落ち着いている。
ベルギーは封じ込めに成功した。
フリードリヒ・レフラー研究所(FLI)のサイトでは、2007年にジョージアでの発生から2021年10月までの時系列でのASF発生地点の動画が公開されている。
Karten zur Afrikanischen Schweinepest: Friedrich-Loeffler-Institut
サイト埋め込みなど転載は出来なかったので、そちらでご確認ください。PCブラウザでは右カラムの真ん中あたり、スマホやタブレットではページの一番下に表示されます。
Ausbruch der Afrikanischen Schweinepest bei einem Wildschwein im Landkreis Meißen
Karten zur Afrikanischen Schweinepest: Friedrich-Loeffler-Institut
Erster Schweinepest-Fall im Landkreis Meißen nachgewiesen | MDR.DE
MV baut weiteren Zaun zum Schutz vor Afrikanischer Schweinepest | top agrar online
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