中国、浙江省紹興市で、10月2日、この秋(10月から)はじめてのH7N9鳥フル感染者が確認された。嵊州市62歲女性。 中國大陸浙江出現入秋首例H7N9流感病例 ... ( 2015-10-06 ) 衛生福利部疾病管制署 https://t.co/LdGt6zJHHF
— メモノメモ (@pelicanmemo) 2015, 10月 19
中国で、毎年涼しくなるとヒト感染例が増えているA/H7N9鳥インフルエンザ。
今年も、この秋(10月1日以降)はじめての感染者が、浙江省で確認された。
中國大陸浙江出現入秋首例H7N9流感病例;另中東地區仍有MERS疫情發生,民眾前往流行地區務必留意個人衛生 ( 2015-10-06 )(台湾、衛生福利部 疾病管制署)
さらに2人。
2015年10月19日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は10月14日に、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染者2人を新たに確定検査で確認したことをWHOに報告しました。
2015年10月20日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新11)(FORTH、厚生労働省検疫所)
浙江增兩宗禽流感(香港政府新聞網)
今年(2015年)は、7月に発表された後、8月と9月の感染例は発表されていない。
今回の感染例は9月下旬に発症した。日本の季節性インフルエンザと同じように、これから寒くなると陽性の確認例が増えるだろう。
しかし、以前のように頻繁な報道はされないかもしれない。
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#UNFAO warns on new wave of #H7N9 #avianinfluenza threatening livelihoods & public health http://t.co/ettEipaDNu pic.twitter.com/qtpNOXgldX
— FAO Animal Health (@FAOAnimalHealth) 2015, 10月 16
H7N9鳥インフルエンザ(以下、"H7N9鳥インフル" または "H7N9鳥フル")は、当初は、浙江省や広東省など沿岸の省・市で感染者が確認されていた(*)が、2014年9月にはいきなり新疆ウイグル自治区内での初めての感染者が確認された。
(*)特に、浙江省、広東省、江蘇省、安徽省、福建省、山東省などが多い。
中国全土の家禽の中に、ウイルス感染した家禽が広く薄く存在している事を示唆している。(長江デルタや珠江デルタなどに生息する野生の水鳥でもその可能性が高いのだろう。)
鳥類は今のところ、A/H7N9鳥インフルエンザ・ウイルスに感染しても発症しないので対応が難しい。
最初のヒト感染例が確認されてから2年ほどは、中国の衛生当局は感染者の確認情報を逐次発表し、中国メディアも大きくとりあげていた。
しかし今のところ、感染力が弱く、ヒト・ヒト感染リスクは低い事が分かり(ゼロではないが極めて限定的な状況で)、むしろ養鶏・養家禽業者や市場への影響が大きいこともあって、中国共産党・政府、衛生当局は徐々に発表の頻度を抑えてきた。
地方メディアが地域限定で報道しても全国メディアによる転載記事は少なくなった。ネットでは、情報拡散を抑えているようにも感じられる。デマ取締の発表はたまに見る。
たとえば、今回の浙江省の感染者について、地元メディアは伝えていたが全国メディアや大手ポータルサイトでは転載記事や参照記事はほとんど確認できなかった。
绍兴嵊州确诊1例H7N9病例 应急预案已启动(2015-10-04|浙江新闻)
日本では、日本語のニュースになる機会が激減したので、すっかり終息したように感じられるかもしれない。
確かに、上海市や広東省、浙江省などでは、都市部での生きている家禽の販売を禁止したり、生きている家禽を扱う市場の清掃と衛生管理、検査の徹底を推奨、屠殺〜精肉作業を集中化して冷蔵精肉の流通・消費を推奨するなど、様々な対策を立ててきている。
それでも無くならない。
新疆ウイグルでは2015年にもヒト感染者が確認されており、中国本土の家禽の間で、ウイルス感染した家禽が広く薄く存在していると考えている。
在留邦人はよく分かっていると思う。
中国へ旅行する方々も油断せず、家禽を扱う市場には近づかない、鳥には触らない、マスクを着用するなど、予防に気をつけてほしい。特に、高齢者や糖尿病などの基礎疾患がある人、免疫が落ちている人はハイリスク群なので要注意だ。
中国で感染し発症が確認された場合、指定病院の集中治療室で隔離治療を受けることになる。発症初期に早期治療を受けられれば致死率は低いが、治療が遅れて重症化した患者の致死率は低くはない、特にハイリスク群は高くなる傾向がある。
H7N9鳥フルのウイルスに感染しないための対策は、在広州日本総領事館のホームページの情報が参考になります。(感染を予防するための情報の拡散にどうぞ)
最新情報を随時確認の上、鳥インフルエンザへの感染を予防するため、以下の注意事項を参考に行動することをお勧めします。
●生きた鳥を扱う市場や家禽飼育場への立入を避ける。
●死んだ鳥や放し飼いの家禽との接触を避ける。
●鳥の排泄物に汚染された物との接触を避ける。
●手洗い、うがいにつとめ、衛生管理を心がける。
●外出する場合には、人混みは出来るだけ避け、人混みではマスクをする等の対策を心がける。
●突然の発熱や咳など、呼吸器感染症の症状が現れた場合には、速やかに最寄りの医療機関を受診する。
香港特別区への入境者や、中国から外国への旅行者、中国に旅行やビジネスで渡航し帰国した人の中にも、台湾やマレーシア、2015年にはカナダで感染者が確認されている。(いずれも、中国(中国本土)で感染した後に渡航した。)(2013年:香港2、台湾1。2014年:香港9、台湾3、マレーシア1。2015年(〜9月):香港2、カナダ2)
2013年の年末には、台湾国内で、中国・江蘇省からのツアー観光客のうちの1人にH7N9鳥インフル陽性が確認された。
2015年−2016年シーズンも、中国国外で感染者の確認例があっても不思議はない。
それはもしかしたら、中国人観光客の総数が増えているこの日本で、かもしれない。
東京都感染症情報センター » 鳥インフルエンザ (H7N9)(ヒト)の発生状況(更新日:2015年7月24日)
【H7N9鳥インフル】台湾で2例目の感染者 江蘇省からの中国人観光客: メモノメモ(2014年1月4日)
H7N9鳥インフルエンザの感染者は、発症の数日前に生きている家禽と密接な接触があった例が圧倒的に多い。
例えば、自宅で家禽を飼っていて卸したり捌いて食べている家の人や、生きた家禽を扱う市場の店の店員だ。しかし市場の買い物客でも感染例はある。いくつかの事例では、生きた家禽を屠殺後に脱毛処理する機械の近くにいたためエアロゾルを介して感染したと推測されている。
H7N9鳥フルのヒトからヒトへの感染例は、発症した感染者のごく近くで治療や介助を行っていた家族やヘルパーでしか起こっていない。
いずれも、ひどい咳や痰など患者の体液による接触感染と推測されている。H7N9鳥インフルエンザ・ウイルスは、今のところ、感染力は弱い。
H7N9鳥フルの致死率が心配されるかもしれない。
中国農村部の医療事情の悪さもあるだろう。不幸中の幸いというか、国や省・市の地方政府、衛生当局や病院の経験値が上がったことで、致死率は下がっていると考えられる。
それでも、高齢者や、糖尿病など基礎疾患をもつ人は免疫力が落ちており、ハイリスク群として特に注意が必要だ(H7N9鳥フルに限らない)。発症から重態になるまでの日数も短いようだ(わずか数日という例もあった)。
もし日本国内ではじめての感染例が確認されたら・・・
たとえ発症していなくても、マスコミがまた、中途半端な情報をもとに報道して、危険性を過剰に演出するのかもしれない。
2009年新型インフルエンザ(当初、"豚インフルエンザ"と呼ばれたアレ)の時もそうだったし、西アフリカの数カ国で感染拡大したエボラ出血熱(エボラウイルス感染症)の時もそうだった。
成田か羽田か関空か、東京か関西か九州かどこかで確認されたら、また過剰に大騒ぎになるんだろうなあ・・・
これまでのH7N9鳥インフルエンザについての記事は、こちらから。(それぞれの背景や考察も含めて、けっこうな数を書いています。)
H7N9鳥インフル カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo(2015年〜)
時事|H7N9鳥フル カテゴリーの記事一覧 - メモノメモ(2013年〜)
【H7N9鳥インフル】中国の、鳥インフルエンザ関係の記事まとめ(〜2014/9/6): メモノメモ(2014年9月6日)