(飞扬军事)(赤丸や赤矢印、テキストは管理人による)
中国海警局の、満載排水量12000トンとも言われる大型海警船「海警2901」「海警3901」。主砲に76mm速射砲など巡視船としては過大と感じられる武装と、ヘリ格納庫とヘリ甲板などを装備している。
日本語でもいろいろな記事が出てきた。
記者さんやライターさんには独自の情報源があり、記事を公開するまでに情報の精査を行って書いておられるのだろう。(きっと)
しかしこれまでの中国メディアの報道やネットで公開されてきた写真とは、矛盾を感じる内容の記事も見かけている。イメージが先行しているのだろうか。
1月21日付けのJBPressの記事で、違和感を感じたのでこれについて少し。
もしも中国の巨大巡視船が体当たりを仕掛けてきたら 軍艦の方がまだよかった中国の厄介な方針転換(1/5) | JBpress(日本ビジネスプレス)
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記事の本筋である「海警2901」による体当たり戦術については、もっともだと感じる部分も多々ある。しかし、武力での対処の考察に偏りすぎていた気がした。これでは、自然と「海警2901」の武装ばかりが注目されるだろう。戦力を見誤ると大局を見誤ることになるかもしれない。
「海警2901」「海警3901」についての日本メディアの視点は、巨体と武装ばかり注目しているが、人員(船員以外)や物資(餃子の具以外)の積載能力や、搭載艇や大型ヘリなどによる輸送能力も、尖閣諸島の周辺地域では脅威となりえる。
JBPressの記事によると、「海警2901」には、76ミリ速射砲、37ミリ連装機関砲2基、対空用近接防御火器システム2基(推定)、それに2機の大型ヘリコプターが搭載されている、そうだ。
このような強力な巡視船に対抗すべく中国が建造したのが基準排水量1万2000トン(満載排水量は万15000トンと考えられている(管理人注:原文ママ))の「海警2901」である。
この超大型巡視船には76ミリ速射砲、37ミリ連装機関砲2基、対空用近接防御火器システム2基(推定)、それに2機の大型ヘリコプターが搭載されている。ミサイル発射装置や魚雷発射管こそ装備されていないものの、多くの国々のフリゲート以上の火砲を装備している“モンスター巡視船”である。
もしも中国の巨大巡視船が体当たりを仕掛けてきたら 軍艦の方がまだよかった中国の厄介な方針転換(1/21|JBpress)
うちのブログでも、これまでの報道や公開された画像をもとにして、武装について考察してみた。
【中国海警局】 「海警2901」「海警3901」の武装 【画像】 主砲は76mm単装速射砲、副砲2基は30mmか? - pelicanmemo
"76ミリ速射砲"は、そのシルエットから「PJ26型单管76mm速射砲」の可能性が高い。
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
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JBPressの記事にある"37ミリ連装機関砲2基"とは、もと中国海軍のフリゲートの「海警31239」「海警31241」、機関砲とみられる装備「76A式37mm連装機関砲」(海軍軍艦の時のもの)と同程度の武装だ。
一方、当ブログ管理人は、「海警2901」の複数の画像から、副砲2基は“連装37mm”ではなく“单管30mm”で、「H/PJ14型单管30mm機関砲」または「H/PJ17型单管30mm機関砲」と推測した。
「海警2901」
(赤丸や赤矢印、テキストは管理人による)
海軍軍艦の「H/PJ14型单管30mm機関砲」
(海军360)(注:画像比較のため、オリジナル画像から左右反転しています。)
どこから、連装37mm機関砲が出てきたのだろう?
次の記事は、もとフリゲート「海警31239」の機関砲など装備について。「76A式37mm連装機関砲」について。
【中国海警局】 2000トン級「海警31239」領海に侵入 機関砲を搭載か 元海軍のフリゲート - pelicanmemo
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JBPressの記事の、副砲2基の他に"対空用近接防御火器システム2基(推定)"、というのがさらに分からない。
近接防御火器システムというと CIWS(Close In Weapon System) を意味する。身近なところでは海上自衛隊の護衛艦が装備するファランクス(6砲身20mm)をイメージする人も多いだろう。
(Wikipedia より)
中国版CIWSというと、730型30mm(7砲身)や1130型30mm(10砲身)、AK-630 30mm(6砲身)がある。
AK-630 30mm(6砲身)がコンパクトで軽量で可愛いのだが、「海警2901」「海警3901」の写真には(少なくとも現在は)見当たらない。設置するスペースも問題だ。
「海警2901」の進水を最初に報じた観察者網の記事では、“76mm速射砲、副砲を2門と高射機銃2挺(该船装备有76毫米速射舰炮、2门副炮以及2挺高射机枪)” と書かれている。
「海警3901」の完成を伝えた英字紙チャイナ・デイリーの1月12日付けの記事では、"...one 76-millimeter naval cannon(76mm艦砲), two close-range defense guns(副砲(近接防御砲)) and two anti-aircraft guns." と書かれている。
高射機銃(高射机枪)は日本語では一般的ではないので、当ブログでは重機関銃と訳した。
"対空用近接防御火器システム2基(推定)"とは、いったいぜんたい、どこから出てきたのだろう?
産経ニュース(共同)の記事にある「対空砲装備」が拡大解釈されただろうか?続報を待ちたい。
中国の巨大海洋監視船「海警3901」が完成 76ミリ機関砲や対空砲装備 南・東シナ海で警備か(1/13|産経ニュース(共同))
中国万吨海警船“海警2901”已下水并完成涂装 排水量世界第一(2014-12-14|观察者网)
New surveillance vessel poised for Coast Guard duties (1/12 | Chinadaily)
長くなったので、大型ヘリ2機を搭載という部分については別記事にしました。
【中国海警局】 万トン級「海警2901」 ... 2機の大型ヘリコプターを搭載?(2/2) - pelicanmemo
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