（上海海上捜救中心（1月10日）｜消化活動を続ける、上海救助サルベージ局の「深潜」(左)「德深」(右)）
中国・上海市の東の海上で、衝突事故、火災を起こしているタンカーが、東シナ海を南東から南南東に200km以上も漂流し、11日午後には、沖縄県の奄美大島の北西約300kmにまで近づいている。
イラン国営タンカー会社(National Iranian Tanker Company (NITC))（パナマ籍）のタンカー「Sanchi（サンチ）」は、13.6万トンのコンデンセート（軽質油）を韓国に運ぶ途中、1月6日午後9時頃、上海市の東約160海里（約300km）の海域で、香港籍の貨物船「CF Crystal」と衝突し、炎上した。
事故から4日以上たった11日になっても、火勢は衰えたが、完全に鎮火はしていない。
ーー（追記：02/17）ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
奄美大島と周辺地域での油状漂着物についての情報源・リンク（海上保安庁、環境省、水産庁、ほか） - pelicanmemo
ーー（追記ここまで）ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そのタンカー「Sanchi（サンチ）」は、東シナ海上空の北西からの強風によって、衝突現場の海域から南東〜南南東の方角へと流され続けている。
海上保安庁第10管区海上保安本部によると、11日午前8時現在、鹿児島県の奄美大島の北西約310kmにあり（朝日新聞）、11日午後4時現在は北西約300kmの海域まで漂流した（毎日新聞）。
さらに漂流し、沖縄の島々や、黒潮に影響されて九州の沿岸に近づくことが心配される。
衝突事故の海域は、中国の交通運輸部の発表によると上海市の長江河口から東の海上約160海里（約300km）（1月6日21時）。国家海洋局の1月10日の発表によると浙江省舟山から約350km。日本の海上保安庁の発表によると、奄美大島の北西約300km（1月11日16時）
上海沖で衝突、火災起こしたタンカーが漂流 東シナ海：朝日新聞 (1月11日12時49分)
東シナ海衝突タンカー：日本へ向けて漂流 消火・救助難航 - 毎日新聞 (1月11日 19時12分)
巴拿马籍油船与香港籍散货船在东海海域碰撞起火 32人失联 交通运输部全力组织搜救 - 中华人民共和国交通运输部 (2018-01-08)
国家海洋局有关专家回应东海撞船事件 暂不会影响近岸海域生态环境 - 国家海洋局 (2018-01-10)
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ーー（追記：01/14）ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
中国中央電子台の国際チャンネルCGTNや、イランのTasnim News Agency通信社ほかによると、タンカー「Sanchi」号は沈没した。
#BREAKING Burning oil tanker off Shanghai coast #Sanchi sinks days after collision https://t.co/jfnKr7dDsC pic.twitter.com/oJfAkynFZi
— CGTN (@CGTNOfficial) 2018年1月14日
Iranian Oil Tanker Sinks after Weeklong Fire (+Video) - Tasnim News Agency
Burning oil tanker sinks off China after one week - BBC News
ーー（追記ここまで）ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー（追記：01/15）ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
沈没した海域などについて、地図を交えて書きました。
【地図】 東シナ海を炎上して漂流していたタンカー「SANCHI」号、大爆発の後に沈没。 - pelicanmemo (2018-01-15)
ーー（追記ここまで）ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
海上保安庁による水路通報・航行警報ウェブサイトでのタンカー「Sanchi」の位置（1月11日14時）
日本周辺の風向・風速は次のようになっている。
衝突海域を赤い星マーク（★）で、そこから漂流した方向を赤い矢印で記した。風速15m/s以下の強い北西の風が吹いていて、タンカーは風向にそって漂流してきたことが分かる。この後、黒潮の影響もあるだろう。
数日後には、南西諸島や九州に近づくかもしれない。
（日本全国の波予測（波高） - Yahoo!天気・災害より）（赤いマークは管理人による）
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香港籍の貨物船「CF Crystal」の船員21人（中国人21人）は全員救助された。パナマ籍のイランのタンカー「Sanchi」の船員32人（イラン人30人、バングラデシュ人2人）は１人の死亡が確認、残り31人は行方不明のままだ。
NICTのスポークスマンは10日、タンカーの船員たちはエンジン室に避難して生存している可能性があるとして、中国の海事当局に救助を急ぐことを要請。日本の海上保安庁にも要請した。
中国当局の対応が不十分だと、日本の会社に救援活動への参加を要請したというイラン・メディアの報道もある。
The National Iranian Tanker Company (NITC) and a Japanese company on Tuesday reached a deal on putting out the blaze of an Iranian oil tanker that is still burning in waters off China’s eastern coast, the spokesman for an emergency task force on the incident said.
Japanese Firm Contracted to Help Extinguish Fire in Burning Iranian Tanker - Tasnim News Agency
日本の海上保安庁・第10管区海上保安本部の巡視船「PL-69 こしき」が、1月10日12時頃に現場海域に到着した。
また、沖縄の在日米軍のP-3C警戒機と、韓国の海洋警察庁の巡視船「ARS-3006 太平洋6号 」と航空機1機が行方不明者の捜索を行っていた。
中国の交通運輸部によると、海事局の巡視船「海巡01」の指揮のもとで、11日午後には、14隻（*）が、消火と油汚染対策、防除作業、行方不明者の捜索等にあたっている。
（*）海巡01、海巡22。東海救117、海難防除船の德意、德深や、深潜、東舟5号、港华など思われる。韓国の「太平洋6号」、海保の「PL-69 こしき」、商船４隻も捜索活動を行っている。中国海監東海航空支隊のプロペラ機B3837機が上空から監視捜索を行っている。
東海救101がいたが、消火剤の補充のため11日に帰港した。中国海警31240、中国海警2102、中国海警2901もいたが帰港したか、海巡01の指揮下ではないのだろう。海警31240は尖閣沖でも確認された元軍艦の海警船で、消火活動や防除活動の役には立ちそうにない。行方不明者の捜索と、上海海警としての事故現場の監督任務ではないだろうか。
タンカー「Sanchi」が積んでいたコンデンセートは軽質の油で、タンカー事故でイメージされる重油よりも揮発性が高いため、海洋汚染と沿岸への負荷は比較的に小さいと予想される。しかし爆発や沈没の可能性が無くなったわけではない。火災によるガスが原因の大気汚染や、海洋や漁業への影響が心配される。
巴拿马籍油船与香港籍散货船在东海海域碰撞起火 32人失联 交通运输部全力组织搜救 - 交通运输部
Real Life Incident: Collision While Both OOWs Sitting In Their Chairs - Marine Insight
多艘救助船抵近“桑吉”轮喷洒泡沫灭火 交通运输部继续组织不间断搜寻 - 交通运输部
国家海洋局有关专家回应东海撞船事件 暂不会影响近岸海域生态环境 - 国家海洋局
Operation starts to extinguish Iranian tanker in China - Islamic Republic News Agency - IRNA
Iran Sends Delegation to China to Examine Situation of Burning Oil Tanker - Tasnim News Agency
Oil tanker ablaze off China's coast is at risk of exploding, say officials
National Iranian Tanker Company - Wikipedia
