中国の肺炎ウイルス、感染者は1700人以上か 英大推計 米国は空港での検疫強化https://t.co/oRUqN4qHtN
— AFPBB News (@afpbbcom) 2020年1月18日
中国、湖北省武漢市で昨年(2019年)12月から発生し、感染患者数の発表が増えている肺炎(新型肺炎)患者。感染源や経路は不明ながらも、ウイルスはSARSやMERSと同じタイプの新型のコロナウイルス(2019-nCoV)と、WHOから発表されています。
新型コロナウイルス(2019-nCoV)の感染者は、武漢市の公式発表(1月19日付け)によると、1月17日までに66例。その他に、タイで2例、日本で1例の、計69例がこれまで公式に確認されています。
これに対して、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の研究機関が、武漢市では1月12日時点で計1723人が感染している可能性があると発表しました。
中国の肺炎感染者、当局発表の30倍か 英研究チームが推計:時事ドットコム
元ネタを調べてみたところ、ちょっと乱暴な計算方法と感じました。
News / Wuhan Coronavirus | Faculty of Medicine | Imperial College London
簡単に書くと、
(1)中国国外で3例(タイ2、日本1)の感染者が報告された。(うん)
(2)武漢の空港発の国際航空便の乗客は1日あたり3301人。(なるほど🙂)
(3)感染〜発症を10日として計算した。(わかる)
(4)武漢市と周辺の人口は1900万人。(えっ?🙄)
(5)だから、武漢市と周辺で1700人以上が、新型コロナウイルスに感染している可能性がある。(なぜ、総人口を使うの?🙄)
というもの。
国際線の乗客数と、武漢市および周辺の総人口とを比較して数字を出すのはちょっとどうかと感じます。
これを日本で例えるなら、
(A)名古屋市から中部国際空港(セントレア)発の便で出国した人が3人、何かの感染症だった。
(B)そこで、セントレアの乗降客数と、その感染症の潜伏期間から計算したところ、
(C)愛知県全体で1000人が感染している可能性がある!!!
と言うようなもの。🙄
乱暴な計算だと感じられます。
この計算では、中国国外での感染者が1人増えただけで、武漢市と周辺の感染者が550人以上増える計算になる(英国インペリアル・カレッジ・ロンドンの発表の“シナリオ4”に相当)。
当ブログ管理人も、中国当局の発表の数字には「誤魔化しがある」と感じているし、国内の社会不安を抑制する為に、情報公開と透明性が犠牲にされていると思っています。
新型コロナウイルス(2019-nCoV)について分かっていない事が多い上、ヒト感染例が増えることでヒトに感染しやすくなるウイルスの変異が起きる可能性が強まるので、最大限の警戒をしなければなりません。
英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンの発表と数字は「警鐘を鳴らす」目論みがあったのではないでしょうか。
しかし、感染拡大に対して充分な注意と予防をしなければならないのは確かですが、過度に怖がらせる数字は逆効果になりかねません。
確認された「感染者」の数字と、「疑い例」の数字、今回のような「推計」の数字を混同してはいけません。
中国、武漢市の肺炎、新型コロナウイルス| 香港の「疑い例」のウイルスの内訳 (追記 01/16) - pelicanmemo
--(追記:01/20)-------------------
このブログ記事を公開した翌朝に、中国の武漢市で新たな感染者が136人増え、北京市で2例、広東省深圳市で1例の感染例が出たと発表があり、報道されました。
この記事内容への影響は無く、変更はありません。むしろ、武漢市外への感染者の移動の試算を補強するものでしょう。
中国湖北省武漢の保健当局は20日、新型のコロナウイルスによるとみられる肺炎の患者が、18日と19日の2日間に、新たに136人確認され、このうち、1人が死亡したと発表しました。
--(追記ここまで)------------------
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【1月18日 AFP】中国で2人が死亡した重症急性呼吸器症候群(SARS)に似た正体不明のウイルスの感染者は、公式発表より千数百人多い1700人以上に上っている可能性があるという見方を、英国の研究者らが17日、明らかにした。
中国当局は、同国中部・武漢(Wuhan)市にある鮮魚市場付近を中心に流行した肺炎の原因とされるウイルスに、中国国内で少なくとも41人が感染したと発表している。
しかし、国連の世界保健機関(WHO)などにも助言を行っている英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の感染症に関する研究センターの研究者らは、17日に発表した論文で、武漢市では1月12日時点で「合計1723人の患者」が感染しているとみていると明らかにした。中国の肺炎ウイルス、感染者は1700人以上か 英大推計 米国は空港での検疫強化 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
Size of Wuhan outbreak of a novel #coronavirus estimated from the three cases detected outside China: Likely to be over 1000 cases. @imperialcollege @mrc_outbreaks report released today
— MRC Centre for Global Infectious Disease Analysis (@MRC_Outbreak) 2020年1月17日
🔰 https://t.co/7A77NXZ3iw pic.twitter.com/u0dUnMs9hA
武漢市の人口は約1100万人(2019年)、WHOの発表で使われる武漢市と周辺地域の人口は約1900万人。武漢市大都市圏の人口は3000万人を越えます。
どの地域の人口を使って試算するかはとても重要なところです。
新型コロナウイルス(2019-nCoV) の中国国外での感染者は、1月18日までの発表で、タイで2例、日本で1例が確認されています。これら国外の感染者は、武漢市の中でも、感染者の最も多い華南海鮮卸売市場のある地域など、感染リスクが高い地域の住人や関係者との、濃密な接触によって限定的なヒト−ヒト感染があったと考えられます。
武漢市という非常に広い地域の総人口を使うのではなく、武漢市の中の、感染リスクが高い地域の人口と移動人口で計算すべきだったでしょう。
むしろ、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンの発表では、国際線の航空機の旅客数を計算した部分は適切なのだから、そこから国内線の航空機の旅客数を推計した方が良かったのではないだろうか?🤔
武漢の天河国際空港の旅客数は、2017年に2312.94万人、そのうち国際線の旅客数は262.6万人(wikipedia)。ここから、2017年の旅客数比は、国内線/国際線は7.8倍。2020年1月前半は、国内線の旅客数は国際線の10倍だったと仮定しますと、武漢の空港から中国国内の他地域の空港へ、30人の新型コロナウイルスの感染者が移動した可能性があります。
もちろん、移動方法には、旅客機の空運だけでなく、高速鉄道や車など陸運や、長江のフェリーなど海運があります。
中国メディアによると、今年(2020年)の春節の帰省ラッシュ「春運」の40日間に、武漢では陸海空で約1500万人が移動するそうです。
仮に、1月前半の移動者の割合が「春運」期間の半分だったとすると(「半分」の推測は、特に根拠は無い)、1月前半の10日間に187.5万人が移動していたと推計されます。
これに、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンの国際線の推計値(3301人/日)を使って計算をすると、その期間に、武漢市から外へ(国内および国外)、約170人の新型コロナウイルスの感染者が移動した可能性が考えられるでしょう。🤔
空運よりは陸運の方が、ハイリスク地域へのアクセスは多いでしょうから、これよりは多いと思います。
英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンの発表の結びに書かれているとと同じ結論で、中国は、国内の他地域の病院での検査を強化して、感染例の有無の把握をすべきです。
これらの推計には、新型コロナウイルス(2019-nCoV) に感染していても、発熱が穏やかで軽症の感染者や無発症の感染者は含まれていません。
・・・では、
「春運」の期間中に1500万人が移動するなら、単純計算では、感染者1363人が移動となりますが、これまでの試算は対策が立てられていない時のものです。すでに状況は変わっています。
濃密な接触など限定的なヒト−ヒト感染の可能性は否定できませんが、いまのところ、持続的なヒト−ヒト感染のリスクは低いと見られています。
タイや日本で、武漢市からの旅行者や渡航者から新型コロナウイルス(2019-nCoV)の感染者が出たことで、地方当局ではなく、中国の中央に近いあたりが動いたと感じられます。
SARS渦の時と比べれば、中国当局の検査能力も対応もずっとよくなっています。あくまでも、16年も前のSARS渦の時と比べれば・・・ですが。
トラウマは深く残っているよう。
タイではじめての感染者が発生が確認された直後の1月12日に、中国からWHOに対して新型コロナウイルスの遺伝子情報が提供されました。
タイで2例目の確認と、日本ではじめての感染者が確認され、中国外交部は定例記者会見で対応を述べるなど、中国中央からの対応が増えているようです。それまで、武漢衛生健康委員会からの感染者数の公式発表が41例だったのが、いきなり17例も増えて66例になりました。発表では、より詳しい検査方法を使ったところ、新たな感染者が確認されたそうです。
国際的に、情報公開したり、防疫の対応をせざるをえなくなったのではないでしょうか?
もし、これが国内発生例だけだったら、詳しい検査はせずに誤魔化しつづけていたのかもしれません・・・ 😕
武漢で発生の肺炎 中国がWHOにウイルス遺伝子情報を提供 - 毎日新聞 https://t.co/bB8MZJCuwg
— ぺりかんめも (@pelicanmemo) 2020年1月13日
>世界保健機関(WHO)は12日、中国の湖北省武漢市で発生している原因不明のウイルス性肺炎を巡り、中国当局から同日、発症者から検出したコロナウイルスの遺伝子情報の提供を受けたと明らかにした。
关于武汉市新型冠状病毒感染的肺炎新增病例有关情况(2020年1月18日) - 武汉市卫生健康委员会 (2020-01-19)
专家解读不明原因的病毒性肺炎最新通报 - 武汉市卫生健康委员会 (2020-01-11)
WHO | Pneumonia of unknown cause – China
News / Wuhan Coronavirus | Faculty of Medicine | Imperial College London
中国の肺炎感染者、当局発表の30倍か 英研究チームが推計:時事ドットコム
中国の肺炎ウイルス、感染者は1700人以上か 英大推計 米国は空港での検疫強化 :AFPBB News
New Chinese virus 'will have infected hundreds' - BBC News
中国 新型ウイルス肺炎患者62人に 武漢以外でも感染疑い | NHKニュース
2020年春运武汉市总客流量或达1500万人次 - 湖北频道 - 凤凰网