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【新型コロナウイルス】 武漢市から500万人が逃げた?|人口が2割減と、例年の春節との比較と、武漢の人口について

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中国、湖北省の武漢市で流行し、中国各地への感染拡大が起きている新型コロナウイルス(2019-nCoV)。

武漢市の周先旺市長が26日の記者会見で「武漢市から500万人が離れた」と話したことから、「新型コロナウイルスの流行で500万人が逃げた」や数字が話題です。 

中国でも気になったようで、中国メディア(新華社や人民日報、環球時報などではない)で複数の解説と関連情報が出ていました。これについて少し。😊

 

原文はこちら。

周先旺:因春节和疫情关系,有500万人离开了武汉

周先旺透露,因为春节和疫情的影响,目前有500多万人离开武汉,还有900万人留在城里。

武汉市长:500多万人已离开武汉

春節(旧正月)の連休と感染症の流行の影響で、およそ500万人が武漢市を離れて、900万人が残っているそうです。
(武漢の人口1100万人でなく1400万人。常住人口や戸籍人口、流動人口の計算は後述)

 

では、例年の春節(旧正月)には、武漢市の住民はどのくらいの人数が、帰郷や旅行をしていたのでしょうか?🤔

 

武漢市文化観光局によると、一昨年(2018年)の春節では232.82万人が武漢を離れました。都市部人口では半分近くが武漢市を離れたそうです。

今年(2020年)も同程度とするなら、春節の時期に起きてしまった、新型コロナウイルス(2019-nCoV)の流行と社会生活の不安などの影響によって、さらに250万~300万人、人口の2割弱が武漢市を離れたと考えられます。(人口1400万人で計算。解説は後述)

その武漢市を離れた人びとは、武漢戸籍ではない越境入学の大学生などと、流動人口が多いと思われます。

もちろん、武漢を離れた人たち全てが新型コロナウイルス感染者ではないし、感染者予備軍でもありません。

 

ついでに、この記事の後ろの方で、統計データを元に書いているところをさわりだけ。

日本で確認された感染者4例のうち3例が成田到着便だとしたら、もっともリスクが高い武漢市の天河国際空港(WHU)発・成田空港(NRT)着のフライトの、乗客の中の感染者の割合は0.033%となります。(皮算用ですが。😊
(4例目は、22日に来日し、バスツアーで愛知県を含めた複数の府や県を移動(都府県を移動という報道ではない)、24日に愛知県の病院に入院したので(東海テレビ)、中部国際空港か関西国際空港に到着と考えられます)

 

 

中国での、春節の間の都市部人口の減少は「空城指数」で表されます。

武漢市は「空城指数」が高めで、2017年の春節では中国全国の都市の中で9番目。都市部人口の約半分、48.18%が武漢市から離れました(2019年の春節は全国で11番目)。

 

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武漢市の居住人口(常住人口)は、武漢市統計局と国家統計局の発表によると、2018年末時点で1100万人を突破しました。
武漢市の戸籍人口は883.73万人、常住人口1108.1万人新華社。人口ギャップ(武漢市戸籍以外の常住人口)は224.37万人で、それらは越境入学してきた大学生100万人超などです。
(戸籍人口は、その自治体に戸籍がある人の数。居住人口(常住人口)は定住している人の数)

 

居住人口(常住人口)1100万人に加えて、さらに約300万人が流動人口です。合わせて1400万人。

今回の新型コロナウイルスの市長の記者会見の報道でも、武漢から移動500万人+留守居900万人=人口1400万人という数字が使われています。

この武漢市の大枠での人口1400万人のうち、武漢市戸籍以外の常住人口を約225万人とすると、流動人口と合わせて525万人となります。

春節期間中の「空城指数」は、常住人口に対する流動人口の比率と相関関係があるので、流動人口の多くが都市部での仕事に従事していたと考えられます。

例年の春節では、都市部人口の約半数が武漢から離れています。今年(2020年)の春節は、さらに多くが武漢を離れ、都市部からいなくなったことでしょう。

人がまったくいない武漢市の都市部の影像がネットで流れたり、報道されていますね。😊

 

 

結論として、武漢市を離れた500万人という数字は、例年の春節期間の約2倍の人数であり、新型コロナウイルス(2019-nCoV)の流行と社会不安の影響によって、居住人口の約2割にあたる、250万~300万人が武漢市を離れたと考えられます。(人口1400万人で計算)

一方で、その内訳は、武漢戸籍ではない越境入学の大学生などの人口200万人以上および、流動人口300万人が多いと推察されます。
(現在、武漢市や湖北省から外への移動は厳しく制限されている。春節の期間中ずっと続くよう)

 

市内で伝染病が流行っているから、今年の春節は予定を変更して、帰郷しよう、両親や家族が心配しているから帰省しよう、他の地方の親戚や友人を訪ねよう、流行り病を口実にして連休開始より早めに旅行に行こう、あるいは心配だから子供と一緒に疎開しよう、等々、こんな感じではないでしょうか。🙄

 

封城后的24小时,“空城”武汉的物价、交通 、生活真实状况记录 - 林晨同学 - YouTube(封鎖されてから24時間後、からっぽの武漢市の、物価、交通、生活の真実の記録) (2020/01/24 公開)
(ドローンを使った空撮を含む、動画10分ちょっと)

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中国の経済メディアの第一財経によると、統計データから、武漢市に入ってきた人の出身地は、多い順に、河南省駐馬店市、広東省広州市、河南省周口市、北京市、河南省商丘市、広東省深圳市、湖南省長沙市、以下略。

河南省の出身者が特に多い事が分かります。

 

武漢市の移動制限(武漢封城)が始まる前の1月10日〜1月22日(春運期間)に、武漢市を出発した人のうち、6〜7割が湖北省の他の都市へ(孝感市と黄冈市がそれぞれ12~13%で最も多い)、残りは(多い順に)、河南省、湖南省、安徽省、重慶市、江西省(これら5省は湖北省と隣接している)、そして広東省、北京市、上海市、四川省、その他の省に向かった。

航空機では、12月30日から1月22日までの期間に、武漢市からの国内線フライトの出発先で多かったのは、、北京市、上海市、広州市、成都市、海口市、昆明市、廈門(アモイ)市、深圳市、三亜市、南寧市。

航空機で、北京市へ6万人強、上海市、広州市、成都市へ5万人強が移動したそうです。 

次に、国際線では、12月30日〜1月22日の24日間に、武漢の天河国際空港からのフライトで、出国者数が多かったのは、タイ(バンコク)のスワンナプーム国際空港へ1万1558人、シンガポールのチャンギ国際空港へ1万0680人、日本の成田国際空港へ9080人、タイ(バンコク)のドンムアン国際空港へ9000人、韓国の仁川国際空港へ6430人、日本の関西国際空港へ6272人・・・、日本の中部国際空港へ2656人、・・・(途中省略)、でした。
(例年の春節期間と比べてどうなのかは、残念ながら載っていません)

これらの数字についてのグラフ等、詳しくは第一財経の記事を御覧ください。

 

もし、日本で確認された感染者4例のうち3例が成田到着便だとしたら、もっともリスクが高い武漢市の天河国際空港(WHU)発・成田空港(NRT)着のフライトの、乗客の中の感染者の割合は0.033%となるでしょう。(皮算用ですが。😊)
(4例目は、22日に来日し、バスツアーで愛知県を含めた複数の府や県を移動(都府県を移動という報道ではない)、24日に愛知県の病院に入院したので(東海テレビ)、中部国際空港か関西国際空港に到着と考えられます。)

4例目が、もし中部国際空港 セントレア(NGO)着のフライトだとすると、乗客の中の感染者の割合は0.0376%で、成田着フライトほぼ同じとなるでしょう。

  

ただし、香港での感染例の中の1人のように、家族で高速鉄道を使って香港に来て、香港の国際空港からフィリピンへ向かうという例もある(しかも、感染者1人を香港の病院に残して、密接接触者の家族3人はフィリピンへ出発したよう)ので、武漢発のフライトだけに限定して見るのはよくありません。 

 

  

武漢市から例年の春節の移動人口と合わせて、およそ500万人が市外へ移動した。

市内で伝染病が流行っているから、今年の春節は予定を変更して、帰郷しよう、両親や家族が心配しているから帰省しよう、他の地方の親戚や友人を訪ねよう、流行り病を口実にして連休開始より早めに旅行に行こう、あるいは心配だから子供と一緒に疎開しよう、等々、こんな感じではないでしょうか。🙄

 

ところが、その中に感染者がいた。

中国の34省・市・自治区のうち33にまで移動してしまった(1月27日06時時点。確認されていないのはチベット自治区だけ)

 

1月27日12時時点で、中国全国の感染者数は2700人以上。湖北省は約1400人で、うち武漢市は約700人。

いまのところ、最低でも2000人の感染者が武漢市から外へ、1300人が湖北省の外に出ていたこととなりました。

 

武漢市以外での感染者数が、どこまで増えるか不安なところですが、もし仮に1万人まで増加したとすると、武漢市を離れた500万人のうち0.2%が、感染者で発熱等の発症した人だと推計されます。(他地域でのヒト−ヒト感染者数が少ない場合)

症状が軽くて把握されなかったり、不顕性感染もあるので、実際の感染者数はさらに多くなります。

 

ヒト−ヒト感染、人から人への感染が疑われる感染者が、武漢市だけでなく、広東省や北京市、ベトナムでも出ています。ヒト−ヒト感染をどこまで封じ込められるか、武漢や湖北以外でのアウトブレイクを防げるか、が正念場でしょう。

早期発見、早期治療、早期隔離が重要です、・・・が、

新型コロナウイルス(2019-nCoV)には、潜伏期間中でも感染する性質があるようなので、予想されていたよりも厳しい状況にあります。

潜伏期間については「だいたい10日前後で、最も短いと1日で発症し、最長で14日だ。潜伏期間中にも感染する性質があり、この点がSARSとは大きく異なる」と述べました。

「感染力 やや強くなったか」新型肺炎で中国当局 | NHKニュース(2020年1月26日 20時28分)

新型肺炎、発症前の患者からも感染か 米当局の対策にも影響 - CNN

 

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春节空城指数:广深佛莞全部入围,郑州成都跻身前十

武漢の居住人口が1100万突破 北京・上海を凌ぐ増加数--人民網日本語版 (2019年03月26日)

 

新型肺炎 武漢市長「患者数は近く1000人前後増える可能性」 | NHKニュース

应对新型肺炎疫情联防联控工作机制:来自武汉人员应居家医学观察14天-新华网

国内4例目の中国人感染者は“観光で複数の県移動”…愛知で新型コロナウイルスの感染者確認 容体は安定 | 東海テレビNEWS

武漢市 - Wikipedia

武汉常住人口突破1100万 城市吸引力稳步提升-新华网