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【アフリカ豚熱】 ドイツ、3ヶ月で野生イノシシから250例 | 発生地域の管理とウイルス拡大の防止 【ASF, アフリカ豚コレラ】

20201207225433(agrarheute)

ドイツ、フリードリッヒ・レフラー研究所(FLI・ドイツ連邦動物衛生研究所)は12月3日、ブランデンブルク州の野生のイノシシから、新たに55例のアフリカ豚熱(ASF、旧称:アフリカ豚コレラ)が確認されたと発表した。

一日の発表数としてはかなり多いが、これには調査が充分に出来ていなかったドイツとポーランド国境沿いの国際公園(自然保護区)内での40例が含まれている。

 

この発表によって、ドイツで確認されたアフリカ豚熱(ASF)は253例(ブランデンブルク州で238例、ザクセン州で15例)となった。9月10日に初確認されてから3ヶ月で250例を越えた。

すべて野生のイノシシであり、飼育された豚では発生していない。

イノシシが捕獲や死体が発見された地域は、ASF感染イノシシが発見された地域の周辺で、野生イノシシの移動を制限するためにフェンスや電気柵(忌避臭など含む)で囲われたコアゾーンが多い。

確認された数は増えたけれども、今のところほぼ制限地域内でおさまっている。

 

ちなみにドイツ語では、アフリカ豚熱(African Swine Fever(ASF)) は、Afrikanischen Schweinepest(ASP)と書きます。

【アフリカ豚熱】 ドイツ、ブランデンブルク州で、イノシシの死骸から初めて確認 ポーランドから越境か?【ASF, アフリカ豚コレラ】 - pelicanmemo (2020-09-12)

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ドイツでのASF対策のゾーニングは、チェコやベルギー、韓国と同じように3つに分けられている。見比べてみると、それぞれに”お国柄”が出ているようで面白い。

もし、日本でASF発生が確認されたら、どのようなゾーニングをするだろう?ASFにワクチンは無く、豚熱(CSF)で行っているワクチン・ベルトは使えない。 

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Afrikanische Schweinepest: Diese Regionen sind von den Maßnahmen betroffen | rbb24  ©OpenStreetMap
(元の地図はブランデンブルク州だけのものだったので、南となりのザクセン州も簡単に追加した)

 

人や犬の活動や、社会生活に制限がかけられている。簡単に書いてみた。

コアゾーン (Kernzone)(コア地域(Kerngebiet))

発見されたASF感染イノシシを中心として周辺3kmがコアゾーン(Kernzone)と設定される。

コアゾーンでは、森林や平原への立ち入りが禁止される。
車両の出入りは、居住者を除き、地域の獣医師や食品管理官によって許可された人のみ許可される。
コアゾーンでの狩猟は認められている。

危険地域 (Gefährdetes Gebiet)

危険地域は、コアゾーンから半径15~20km以内に設定される。

農場の使用は一時的に禁止される。放牧には適用されない。
危険地域では、犬はひもに繋いでおき、自由に走り回る事は許可されない。
豚に関するイベント(農場祭や市場)は禁止される。
野生のイノシシやその一部と接触する可能性がある人や犬、車両、物品は洗浄される必要がある。

バッファゾーン (Pufferzone)

危険地域の外側と、ポーランドの国境に沿ってバッファゾーンが設定されている。

現在、約2900km3をカバーしている。

ポーランド国内でのアフリカ豚熱(ASF)の発生地域と、ドイツでの発生地域は隣接しているので、それに合わせて設定されている。

 

ドイツのASF対策地域に、ポーランドでの2020年の、11月までのASF発見された対策地域とを重ねてみた。赤枠は、先述した詳細なASF対策ゾーニング地図の範囲を示している。

ドイツでのASFは今のところ、東部のポーランド国境に接した狭い地域の野生のイノシシだけで起きている。

20201208063159(ポーランド側のASF発生地域の地図(四角く白っぽい部分)は、獣医監査局(Główny Inspektorat Weterynarii)から取得して重ね合わせた)

ポーランドから国境の川を越えて、感染したイノシシかウイルスが付着した野生動物によって、ドイツ国内に入り込んだものと考えられる。

これまでのところ、ポーランド国境の川に沿って、ブランデンブルク州で最初に発見された地域から北側(川の下流)のOder地区と、南隣のザクセン州のGörlitz地区Oberlausitzに、拡がったことが確認されている。

 

ブランデンブルク州のOder地区には、この記事の最初で触れた国際自然保護区、オーデルタル下流国際公園(Internationalpark Unteres Odertal)がある。

コアゾーン内であり、コアゾーン外縁を電気柵(忌避臭)によるフェンスで囲っているが、保護区内での野生のイノシシの駆除や、調査や、ウイルスの温床となる死骸の撤去は難しそうだ。アフリカ豚熱(ASF)のホットスポットとなるかもしれない。

 

ASP in Deutschland: Jetzt 253 bestätigte Fälle bei Wildschweinen | agrarheute

ASP-Krise: 40 tote Wildschweine von der Oderinsel geborgen | agrarheute

Afrikanische Schweinepest: Diese Regionen sind von den Maßnahmen betroffen | rbb24 (17.11.20)

ポーランド獣医監査局

Afrykański pomór świń (ASF) | Główny Inspektorat Weterynarii

 

オーデル川 - Wikipedia

オーデル・ナイセ線 - Wikipedia

Nationalpark Unteres Odertal – Wikipedia

Internationalpark Unteres Odertal – Wikipedia