(ポーランドのASF発生地点のデータ。獣医監査局(Główny Inspektorat Weterynarii)より)
9月10日、ドイツのブランデンブルク州で、ポーランドとの国境の近くで発見されたイノシシの死骸からアフリカ豚熱(ASF)(*1)が確認された。ドイツでのASFの発生ははじめて。
(修正追記9/16:地図の初確認の場所が少し南にズレていたので修正しました。前の地図よりも20数km北の地区 (Ortsteil Sembten(Schenkendöbern))だった)
アフリカ豚熱(ASF(旧称:アフリカ豚コレラ))は、ドイツのブランデンブルク州(Land Brandenburg)の南東の端に位置するシュプレー=ナイセ(Spree-Neiße)郡の、ドイツ・ポーランド国境から数kmで発見されたイノシシの死骸で確認された。
その国境を挟んだポーランド側のルブシュ県(Województwo lubuskie)では、2019年11月にはじめて”飛び地”的にASFが発生している。ASF感染したイノシシが、国境の川を渡ってドイツに移動して死んだのかもしれない。
これから、ドイツ国内で続けてイノシシでの感染例が発見されるかどうか?、と、政府当局とブランデンブルク州政府による迅速なウイルスの”封じ込め”対策が出来るかどうか?、がドイツ国内での感染拡大を防ぐ上で重要となる。
(追記9/16:新たに5頭のイノシシでASF陽性が確認された。ノイツェレ地区(Gemeinde Neuzelle)の集落の近く。コアゾーン(半径3km)の外で、警戒地域の中。)
(*1)ドイツ語で、”アフリカ豚熱(ASF)”は"Afrikanische Schweinepest (ASP)"(直訳:アフリカ豚ペスト)。"Schweinepest"(直訳:豚ペスト)と略した表現も使われる。
ドイツで初 伝染病のアフリカ豚熱 野生のイノシシで感染確認 | NHKニュース
Spree-Neiße-Kreis: Verdacht auf Schweinepest in Brandenburg - WELT
Schweinepest: Verdacht im Spree-Neiße-Kreis in Brandenburg - DER SPIEGEL
【アフリカ豚コレラ】 ポーランド西部で発生 ドイツ国境からわずか12km(更新 02/01) - pelicanmemo (2019-12-06)
アフリカ豚熱(アフリカ豚コレラ) - pelicanmemo
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--(追記:9/14)------------------
ASFが確認されたイノシシ(死骸)は2〜3歳の雌。国境から7kmの、収穫後のトウモロコシ畑で発見された。
”豚熱およびアフリカ豚熱に対する予防条例”に基づいて、感染した死骸の発見地点から半径3kmをコアゾーン(Kernzone)に設定し周囲に電気柵が設置された。より強固なものに切り替えていくか検討される。半径約20~25kmに制限地域(gefährdetes Gebiet)が設定される(条例では半径15kmの自治体で、のようだ)。
ASP Zaun um Kernzone | Ministerium für für Soziales, Gesundheit, Integration und Verbraucherschutz (ブランデンブルク州政府)
SchwPestV 1988 - nichtamtliches Inhaltsverzeichnis
--(追記ここまで)------------------
#ASP hat Deutschland erreicht. Entscheidend: Seuchenherde schnell erkennen und isolieren. Verdächtige Wildschwein-Kadaver melden - etwa über https://t.co/8DnBHqpWXz. Nicht anfassen - Verschleppungsgefahr! Das Virus ist für Menschen ungefährlich https://t.co/MrFB9jog65 pic.twitter.com/kxvkIXbEpe
— DeutscherJagdverband (@JagdverbandDJV) 2020年9月10日
「ドイツでアフリカ豚熱(ASF)が発生した!」と危機感を持たれるのは確かだし、すでにドイツ製の豚肉・加工品の輸入停止を発表した国もある。(例え1例であっても、そういう法的根拠によるルーチンでの当然の対応でお役所仕事だから仕方がない)
しかし、もしその地域ですでに感染拡大があったとしても、チェコやベルギーのようにウイルスの”封じ込め”対策に成功出来れば、他地域への拡大を防ぐことは可能だ。
早期に適切な対策がとれれば、ASFやCSFといった豚・イノシシでの伝染病のウイルスの封じ込めは可能という実例がいくつも出てきている。(失敗した例もある)。
近頃のポーランドでのASF発生例は東部が主であり、この西部のルブシュ県の”飛び地”的な発生例でも、ASF感染確認の後に拡大防止の対策が厳しく行われたことで警戒地域の外への拡大は起こっていない。もしかしたら、このルブシュ県でもASFウイルスの”封じ込め”に成功するのかもしれない。
(ポーランド獣医監査局(Główny Inspektorat Weterynarii)より)
そして、もしも、ベルギー南部ワロン地域のリュクサンブール州で”封じ込め”出来たことが、ドイツのブランデンブルク州では出来なかったとなると、地域政治でも国内政治的にも問題が大きくなりそうだ。
【アフリカ豚コレラ】 フランス (未侵入)、野生のイノシシを積極的に駆除 国境近くに「空白地帯」を - pelicanmemo (2019-02-08)
【アフリカ豚コレラ】 ベルギー南部、規制・監視ゾーンを設定 森林の管理とウイルス拡大の防止へ - pelicanmemo (2018-10-20)
【アフリカ豚熱】 韓国、野生イノシシで発生から6ヶ月。その後、どうなっているのか?🐷 【ASF, アフリカ豚コレラ】 - pelicanmemo (2020-04-24)
【アフリカ豚熱】 病死豚の隠蔽と地下流通 | 通報に褒賞金、ブラックリスト 【アフリカ豚コレラ】 - pelicanmemo (2020-05-28)
Spree-Neiße-Kreis: Verdacht auf Schweinepest in Brandenburg - WELT
Schweinepest: Verdacht im Spree-Neiße-Kreis in Brandenburg - DER SPIEGEL
ASP: Ausbruch in Deutschland bestätigt | Wochenblatt für Landwirtschaft & Landleben
Erster ASP-Fall in Deutschland bestätigt | Deutscher Jagdverband
ポーランド獣医監査局
Afrykański pomór świń (ASF) | Główny Inspektorat Weterynarii