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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】海警の船の”機関砲のような武器”? それ、高圧放水銃や。

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(八重山日報(2021年2月4日)より)

尖閣周辺で領海侵入し、日本漁船に接近した「海警2302」。丸で囲んだ部分が機関砲のような武器=昨年12月26日、仲間均氏撮影

 

それ、高圧放水銃です。(おしまい😊)

 

20210204200609(八重山日報の記事で書かれている「海警2302(もと海警2306)」の同型艦「海警3306(当時)」の高圧放水銃)

 

これだけだと何なので😅、中国海警局の船の高圧放水銃とその性能について少し。

 

 

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八重山日報社は3日、石垣市の尖閣諸島周辺に出漁している漁業者で、市議の仲間均氏が撮影した中国海警局の艦船の写真を入手した。中国は1日から海警法を施行し、中国海警局の艦船に武器使用を認め、日本漁船への脅威が高まった。艦船の写真には、赤く目立つよう塗装された機関砲のような武器が写っている。
 仲間氏ら4人は昨年12月26日、漁船「鶴丸」に乗船し、南小島の南南東で操業した。そこへ中国海警局の艦船2隻が領海侵入し、鶴丸に接近、追尾。仲間氏はこの際、艦船を撮影した。
 第十一管区海上保安本部によると「鶴丸」に接近したのは、機関砲のような武器を搭載した「海警2302」のほか「海警1401」。

海警法施行、高まる脅威 尖閣、武装艦船の写真入手 | 八重山日報オンライン
(赤字強調は管理人による)

(追記 2/6:次の日に修正した記事が出ました。 >中国船、搭載武器は水砲 「漁船破壊する威力」 | 八重山日報オンライン (2021/2/5))

 

 

八重山日報のツイートに対するコメントや引用ツイートでは、総ツッコミに近い感じで「放水銃ですね」「機関砲じゃありませんよ」と指摘されていますね。😆

中国の海警法が施行されて注目度が高まっている時だからこそ、中国側が「日本メディアによる捏造」とか「捏造をする日本」と言えてしまうような間違いを出さないよう、記事のチェックをしっかりとおこなってほしいものです。

海上保安庁からの発表が「機関砲のようなもの」で報道がそれに倣っているので、こういった陰謀論じみた曖昧な情報が産み出されるだろう。(いいかげんに対応を変えてほしい)

 

3000トン級「海警2302」(船名・番号が変わる前は「海警2306」)に、機関砲のような固定武装は(いまのところ)装備されていない。

(八重山日報は少し前に、同じ記事内で同じ船名を2隻書いたりしていた。当ブログ中の人的には、ここはときどきやらかす印象😊。泡盛飲み過ぎた翌日に二日酔いの頭で書いたとか?🍻)

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 20210204064818(産経ニュースより)

 

中国海警局の艦船では、海上保安庁の巡視船と同じように、船舶火災の消火活動、海上の流出油の油膜を攪拌したり、違法行為への放水での警告等のために、高圧放水銃を装備している船は多い。海警局だけでなく海事局(海巡)の船舶などほかの大型の公船でも装備している。

高圧放水銃は、日本や中国だけでなく、”白い船”での非殺傷兵器(非致死性兵器)として定番の装備のひとつとなっている。(海上保安庁の巡視船の装備では”遠隔放水銃”と呼ぶ)

 

八重山日報の記事で書かれている「海警2302(もと海警2306)」の同型艦「海警3306(当時)」とその高圧放水銃。

20210204201034

 

人民武装警察部隊(武警)の海警総隊(中国海警局)になる前の、国家海洋局の中国海監総隊や農業部漁政局の漁政船隊だった頃は、所属は行政組織であり情報公開が求められていたので、所属船舶の進水や配備、市民向け一般公開での発表・報道がよく発表されていた。たとえば中国海監総隊の1000トン級海洋監視船建造計画の船では、高圧放水銃は射程100mと発表された。

高圧放水銃の放水流の到達距離は、放水管の長さや先端ノズルの形状、水面からの高さによって変わるので、あくまでも性能の目安だ。

 

たとえば交通運輸部海事局の5000トン級「海巡01」は、煙突の上に2基の高圧放水銃を装備している。配備時にその射程は150mと発表されていた。

任務や、設置場所と形状から、放水流の到達距離を長くすることと、放水流を細く絞ることで火災を起こした船舶の船室のドアや窓へ放水(破壊)できる性能が求められたと考えられる。

20210204200053(海巡01) 

 

その一方で、今回の「海警2302(もと海警2306)」など海監型3000トン級(10隻)の高圧放水銃は、”砲身”はかなり長く、先端のノズルはあまりすぼまってはいない。漁政型3000トン級も射程120mと報道されていた。

到達距離よりも、違法行為をしている船舶に近付いた上で、摘発や拿捕のための警告や制圧を考えた、大量の水を送りだせる設計にしたのかもしれない。

20210204201237(「海警2302(もと海警2306)」の同型艦「海警3306(当時)」の高圧放水銃)

 

 

海事局の5000トン級「海巡01」をモデルシップとする海警局の5000トン級4隻も、煙突の上に2基の高圧放水銃を装備している。

「海巡01」とは違っていて3000トン級と同じ形状のようだ。

20210204200108(海警2502)

 

中国海警局の艦船の写真の「赤く目立つよう塗装された機関砲のような武器」について少し書いてみた。

 

(注意)中国メディアの記事では、ほぼ建造時の発表をもとにして性能・諸元が記されている。後に、船内設備の改修や更新が行われている可能性もあるので、あくまでも基礎データとしての数字と見るべきだろう。  

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