pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】尖閣沖、4隻すべてが機関砲を装備、6月の4隻に続いて2回目。

20240709055823八重山日報より。海警1109)

海上保安庁 第11管区海上保安本部によると、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の接続水域で7月8日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海保の巡視船が確認した。7月9日には尖閣諸島の領海に侵入し、およそ2時間航行した。

八重山日報によると、4隻は「海警1303」「海警1105」「海警1106」と新たに確認された「海警1109」。

6月7日に尖閣諸島の領海に侵入した4隻(「海警2501」「海警2201」「海警2202」「海警2103」)と同じく、今回交代した4隻も機関砲を搭載している。

沖縄 尖閣沖 中国海警局の船4隻が一時領海侵入 海保監視続ける | NHK | 尖閣  (2024/7/9)

中国船が200日連続航行 新たな砲搭載船と交代 | 八重山日報 (2024/7/9)

中国船4隻が領海侵入 尖閣周辺、今年27日目 | 八重山日報 (2024/7/10)

 

 

新たに確認された「海警1109」は、もと中国海軍 東海艦隊 所属の056型コルベット(江島型, Jiangdao-class)「吉安」艦(舷号:586)(*1)

中国海警局に移管された22隻の056型コルベット(初期型)のうちの1隻で、退役後の改修で76mm速射砲1基と30mm機関砲2基、火器管制レーダーを残し、艦対艦ミサイルや近接防空ミサイル、魚雷の発射装置といった海上法執行活動にはあきらかに過度な重武装が撤去された(76mmも過剰だと思うけど…😬)

尖閣沖では昨年(2023年)5月1日にはじめて056型海警船「海警1108」が確認された。どちらも中国海警局 直属第一局(上海)に所属する。
(未確定情報だが中国ネットSNS・掲示板の情報によると、直属第二局(寧波)には、いわゆる056型海警船は配備されていない)

【中国海警局】尖閣沖で、もと中国海軍の056型コルベット海警船を初めて確認、「海警1108」、76mm砲を装備 - pelicanmemo (2023-05-02)

【中国海警局】 中国海軍の056型コルベット、約20隻が海警局に移管か - pelicanmemo (2021-12-25)

(*1)中国ネットSNS・掲示板で教えてもらった情報。公式発表や報道では未確認なので、間違っている可能性は否定しない。

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尖閣沖で確認された中国海警局の船「4隻とも機関砲を搭載」といっても、前回の4隻と今回の4隻では排水量の合計トン数や機関砲の数はかなり違っていて、今回は小さくなった。

前回は、76ミリ砲1基を装備する5000トン級「海警2501」、2000トン級でもと海軍のフリゲートだった37ミリ連装砲4基を装備する「海警2202」と25ミリ連装砲(推定)4基の「海警2201」、30ミリ砲を装備する1000トン級「海警2103」。

 

今回は、056型海警船「海警1109」(満載排水量1440トン)、30ミリ砲を装備する3隻、3000トン級「海警1303」および1000トン級「海警1105」と「海警1106」となった。1000〜1500トンが多い。

もと中国海軍の056型コルベットで76ミリ砲を装備する中国海警局の船と書くといかめしく感じられるかもしれないが、実のところ、海保11管・尖閣専従部隊の1000トン型「くにがみ型(くにさき型)」巡視船よりも小さい。
(056型コルベット(初期型)は全長89m。海保のくにがみ型巡視船は全長97m)

 

石垣港のGoogleEarth画像で、くにがみ型巡視船2隻と056型海警船(白い枠内)を比べてみた。

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【中国海警局】 海上保安庁「しきしま」や「れいめい型」「しゅんこう型」等と、中国海警局の大型船を写真で比較。 - pelicanmemo (2024-03-29)

【中国海警局】尖閣沖、4隻すべてが機関砲を装備。76ミリ砲装備の「海警2501」ふたたび - pelicanmemo (2024-06-08)

 

日本メディアの記事では、それぞれの船の大きさや排水量など詳しいところは伝えていない。中国側のプロパガンダと世論戦では今回の4隻でも役にたつのだろう。

 

前回は直属第2局に所属する4隻で、今回は直属第1局に所属する4隻となった。次回はふたたび直属第2局から4隻が選ばれて、尖閣沖へと送られてくるのかもしれない。

ただ、直属第2局に056型海警船は配備されていないそうなので、76ミリ砲を搭載した船は多くはない。2501がヘビロテで運用されるのだろうか?

718B型の2204を使ったり、2502にも新たに76ミリ砲を搭載してくのかもしれない。あるいは818型をはじめて尖閣沖で運用する手札を使ってくるか?

万トン級の2901は最後のカードだ。

続報を待ちたい。

 

 

「海警1303」は、尖閣沖でよく確認されてきた漁政型3000トン級で、前の舷号・船名は、もと「海警2302」。30ミリ砲1基を装備する。

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【中国海警局】 漁政型3000トン級「海警2302」 30mm機関砲を装備 - pelicanmemo (2016-12-08)

 

 

「海警1105」は、もと上海海警総隊「もと海警31101」で、その前は上海公辺防海警総隊の1000トン級「もと海警1001(浦東艦)」。昨年(2023年)9月に、じつに7年ぶりに確認された。

もともとは2007年に正式配備された公安部の上海辺防海警総隊の旗船、1000㌧級1番船「海警1001」だった船。外観の変化から、近代化改修が行われ、30ミリ砲1基に換装されたようだ。

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【中国海警局】「海警1105」(もと海警31101)、7年ぶりに尖閣沖で確認 | 近代化改修が行われたか? - pelicanmemo

 

「海警1106」は、漁政の1000トン級だった「もと海警2106(もと漁政209)」、30ミリ砲1基を装備する。

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尖閣周辺に中国船 200日連続 - 産経ニュース (2024/7/8)

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で8日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは200日連続。日本政府による2012年9月の尖閣諸島国有化後、最長の連続日数を更新した。

尖閣諸島沖の接続水域で中国海警局の船4隻を確認…200日連続、過去最長の更新続く : 読売新聞 (2024/07/08)

中国船が200日連続航行 新たな砲搭載船と交代 | 八重山日報 (2024/7/9)

第十一管区海上保安本部によると、尖閣諸島(石垣市)周辺の領海外側にある接続水域では8日、中国海警局の艦船4隻が航行している。尖閣周辺で中国艦船が航行するのは200日連続。連続航行日数の最長記録を更新した。
 4隻は「海警1303」「海警1106」「海警1105」「海警1109」。7日にそれまで航行していた別の4隻と交代で接続水域に入った。このうち「海警1109」は尖閣周辺で初確認された。
 交代前、交代後の4隻とも機関砲らしきものを搭載している。尖閣周辺で常駐する中国艦船が恒常的に重武装化した可能性が高まった。日本への圧力を強める狙いと見られる。
 海保の巡視船が領海に侵入しないよう警告している。