(読売新聞より)
中国海警局に所属する艦船による、尖閣諸島の接続水域や領海の航行が常態化している。
海上保安庁から公開される情報は多いとは言えず透明性は高いとは言えない。日本メディア各社からも報じられない情報が多い。報道すら無い日もある。先月のブログ記事では、海保から発表されていても報道がされない例について書いてみた。
さらに今回、海上保安庁の統計の数字上では発表があっても、そのときに報道されていなかった中国海警局に所属する船がいたことが分かった。しかも、30mm機関砲を搭載する大型船が2隻、同じ日に接続水域を航行していた可能性が高い。
読売新聞2月17日付け記事に、中国海警局の30mm機関砲を装備する1500トン級「海警14608」の画像が使われている。
説明には「尖閣諸島周辺海域を航行する中国海警の船(昨年10月撮影、第11管区海上保安本部提供)」と書かれている。ぱっと見た目の感じだが画像のノイズやゴミなど、海上保安庁の巡視船の遠隔監視採証装置で撮影されたものだろう。
(読売新聞より)
日本の尖閣実効支配、覆す試み強める中国…平時に自衛隊が対処すれば「介入の口実与える」 : 読売新聞 (2021/02/17)
当ブログ管理人、船名・番号「14608」の船が尖閣諸島沖で確認されたという報道を見かけたことが無い。 ツイッターSNSでも他の方の困惑した声が拡がっている(管理人調べ☺️)。
そこで昨年(2020年)10月に尖閣諸島の接続水域を航行したと発表および報道された、中国海警局の船をすべて洗い直してみた。
見落としていた。海上保安庁からの公式発表で、2020年10月28日に接続水域を航行した船の数が”5”と記されている。
(*)印をつけた船は機関砲を装備する。10月は、28日に「海警14608」が確認されたと考えるのが最も蓋然性が高い。
(海上保安庁が発表した表に、管理人が加筆した。表全体の画像はブログ記事後半に掲載している)
尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処|海上保安庁
「海警14608」は1500トン級密輸取締船。30mm機関砲(H/PJ14型だろう)を装備している。読売新聞の記事の画像でも同じ位置に機関砲のような装備があることがわかる。
(同型船「海警33103」)
2020年10月28日に尖閣諸島の接続水域を、機関砲を装備している中国海警局の船2隻(海警2202と海警14608)が航行していた可能性が高い。これは例の2016年8月(参考)を除くと過去に例が無い(だろう)事例だ。
(”尖閣諸島周辺海域”という表現が尖閣の接続水域の外側を意味している可能性を100%否定することはできないが、ちょっと考えにくい)
海上保安庁から公にされる公式発表は情報量が少なく透明性が低いことに定評があり(苦笑)、国会議員による公開請求や追求による公表はわずかで、マスメディアによる調査報道もほとんど無い。 🤨
いろいろな想像をしてしまいそうだ。
今回、読売新聞が記事で「海警14608」の画像を使ったということは、その当時に海保からマスメディアへのプレスリリースがあったのだろう、・・・にもかかわらず大手メディア各社は無視していた? なぜか、この時の報道では産経ニュースも八重山日報も「3隻」としか伝えていない。特に八重山日報はほぼ毎回の記事で船名・番号を書いていたにも関わらず、その日の分は「3隻が航行」としか書いていなかった。違和感を感じる。 🤔
(八重山日報(2020年10月29日付))
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
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(同型船「海警33103」)(鸣谢:飞扬军事 巡海)
「海警14608」は中国の税関(海関総署)の1500トン級密輸取締船として建造された船、あるいはその同型船だろう。武警・海警総隊(中国海警局)となったことで、既知の3隻のうち1隻が「海警14608」と名前を変えたのか、それともその後に建造された他の船かどうかは情報不足だ。(当時の発表の後、追加で建造という中国ネットの”噂”があった。これまでに何隻が就役したかはっきりしない)(追記修正2/21: 福建海警の「海警14608」は、広東海警だった「もと海警44104」のようだ)
この1500トン級密輸取締船「海警14608」が尖閣諸島の接続水域を航行し、海上保安庁からは特別な発表がなく報道もなされなかった。
あくまでも当ブログ中の人の推測または想像だけど・・・、もしかしたら密輸取締船「海警14608」の航行は越境海上犯罪の取締りに関する任務のためだと、事前に海上保安庁に対して連絡と説明があったのかもしれない。
海上犯罪取締りに関する連携強化は、日中高級事務レベル海洋協議でも双方で合意されていることだ。もしも中国側からそのような説明が行われていたとしたら、日本側はそれをことさらに取り上げて緊張感を高めるような発表と対応は行いにくいのではないだろうか? 🤔
(鸣谢:飞扬军事 巡海)
この1500トン級密輸取締船は、ヘリ格納庫は無いものの海上法執行能力(武力ではない)での高いポテンシャルを有している船だ。その性能その他、次のブログ記事で詳しく書いたのでご参照ください。
【中国海警局】 新型の1500トン級 密輸取締船「海警33103」「海警44104」「海警46104」 - pelicanmemo (2016-03-19)
2016年8月に、「海警14608」と同型(か同じ船の可能性もある)「海警33103」が尖閣諸島の周辺海域で中国漁船200~300隻と公船10数隻が現れたときに確認されている。
【中国海警局】 尖閣諸島で確認された中国の公船18隻(8月4日〜16日)、まとめ 辺防海警、漁政、緝私、海監など - pelicanmemo
海上保安庁から発表された、尖閣諸島の沖の、2020年10月の一覧と中国海警局に所属する船舶の船名(一部推測)はこちらの画像にまとめた。
尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処|海上保安庁
新聞休刊日などがあって船名・番号を充分に確認出来ない日もいくつかあったが、10月28日が最も蓋然性が高いだろう。
今回、中国海警局の船名・番号を確認をする過程で、ツイッターの ”【公式】「能勢伸之の週刊安全保障」@nose_anpo ”さん、 ”@300zx_”さんと”新マン@twshinman”さんの過去ツイートも参考にさせていただいた。
いつもお世話になっています。ありがとう。☺️
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で28日、中国海警局の船3隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは52日連続。
第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告した。
尖閣周辺に中国船 52日連続 - 産経ニュース (2020.10.28 11:36)
【中国海警局】船の航行パターン|海保の記録にあるのに報道されなかった理由 - pelicanmemo (2021-01-30)
【中国海警局】 尖閣諸島で確認された中国の公船18隻(8月4日〜16日)、まとめ 辺防海警、漁政、緝私、海監など - pelicanmemo (2016−08-04~16)
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
さらに、海上保安庁から発表されている「中国海警局に所属する船舶等による尖閣諸島周辺の接続水域内入域及び領海侵入隻数(日毎)」を、変わった数字がないか、2019年1月分から確認してみた。
5や7という数字はほかに2つしかなかった。どちらも交代の時で重なったのだろう。(すべてのデータを照合してみたわけではない)
たとえば2019年2月14日も”5隻”だったが、残っていた1隻と交代できた4隻のようだ。
1307, 2401, 2305, 2302 が昨夜、大陸沿岸から沖に向かっている。
— ぺりかんめも (@pelicanmemo) 2019年2月13日
今日には尖閣沖で確認されるかもしれない。
2501と入れ替わって、交代か?
【#尖閣 情勢】第11管区海上保安本部によると、中国海警2501は14日午前7時1分頃に久場島北北西から接続水域を出域。新たに海警1307・2302・2305・2401が午前7時1分~10分頃にかけて久場島北西から接続水域へ。午後3時現在、4隻は久場島南東及び東南東35km~36kmを北北東に航行中。(燎) #週刊安全保障 pic.twitter.com/PW9FeGfYOd
— 【公式】「能勢伸之の週刊安全保障」 (@nose_anpo) 2019年2月14日