中国海警局の船による、尖閣諸島の接続水域の航行や領海侵入が常態化している。
ネットSNSのコメントをながめていると、ときどき、海上保安庁の記録にあるのに「マスメディアが報じていない!」というものを見かける。
中国の海警法でニュースやコメントが荒れていることもあってか、そこから「隠蔽だ」「××だ!」とマスコミ批判や政権批判につなげていたりもするんだけど、もしかしたらそれは統計と報道のバグを突いてきた、中国側の”離間の策”かもしれませんよ。
今年(2021年)1月は、中国海警局の船の航行パターン、接続水域を出るタイミングにこれまでには無い特徴があった。重箱の隅だけどこれについて少し。
まず書いておきたいのは、大手メディアの中で産経新聞(産経ニュース)は、尖閣沖を航行する中国海警局の船について毎日のように報じているけれども毎回報じているわけではありません。
たとえば、昨年(2020年)12月26日の領海侵入の事案では、他メディアが26日に報じたのに、実は産経ニュースはその日に報じなかった。
今月は、直近では1月23日の接続水域を航行した記事がない。正月明けに記事が出たのは1月4日からだ。
昨年(2020年)に尖閣諸島の周辺海域で111日連続で確認された。最初の100日間(4/14~7/22)に、産経ニュースに記事が無い日は11日あった(7/9、7/8、6/30、5/29、5/26、5/25、5/13、4/28、4/22、4/20、4/16)。
【中国海警局】 尖閣周辺、"連続100日目"のまとめ 4隻ずつ1か月ごとに交代、全13隻 - pelicanmemo
”尖閣”関係の他の記事があると紙面から押し出されたり、あるいは担当記者の忙しさによるのかもしれない。
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(海上保安庁)
今年(2021年)1月の中国海警局の船の行動には、午前0時や午前1時に接続水域を出るケースが多かった。1日のわずかの時間だけでも、海上保安庁の記録には航行した事実として残される。
沖縄県の地方紙、八重山日報が毎回報じている。
1月5日の記録は、中国海警局の船2隻が4日から5日にかけて接続水域を出たもの。
(八重山日報(2021/01/06))
1月16日は、中国海警局の船4隻が、午前0時過ぎに別の4隻と交代した。だから海上保安庁の発表では1月16日に8隻確認と記録されている。
(八重山日報(2021/01/17))
1月28日は、中国海警局の船2隻が午前1時過ぎに接続水域を出た。
(八重山日報(2021/01/29))
たとえ1時間でも30分でも、海保のその日の記録に残るので、中国側は実効支配を主張する実績やノルマ達成とできそうだ。一方で、日本のメディア側は報じにくいだろう。
以前は、「中国海警局の船が尖閣諸島の接続水域を出た」という記事もあった。まったくと言っていいほど見なくなった。
愚直に報じ続けているのは八重山日報と、ときどきフジテレビ系ネットニュース番組「能勢伸之の週刊安全保障」(休止中)の公式ツイートくらい。
統計と、発表と報道のズレで生じるものですね。
最初に中国側の”離間の策”かもと煽り気味に書いてみたんだけど、中国側はそこまで考えているかなあ?🙄
海が荒れてきたので早く帰りたいけれども、日を越えて1時間ほど働いて「本日のノルマ達成!」と見る方が合っているような気もする。
尖閣周辺に中国船 4日連続 https://t.co/o3lNkFFwIf
— ぺりかんめも (@pelicanmemo) 2021年1月4日
2021.1.4 10:42
>接続水域で4日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。
>1隻は機関砲のようなものを搭載。
産経ニュースのコピペ記事は、今日が仕事始めのようだ。https://t.co/VlV9ssSzXt
尖閣周辺に中国船 12日連続 https://t.co/0VRUkW6FKG
— ぺりかんめも (@pelicanmemo) 2020年12月27日
2020.12.27 10:47
>接続水域で27日、中国海警局の船2隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは12日連続。
産経ニュースには、12月26日の領海侵入と日本漁船へ接近の記事は無いようだ。
第十一管区海上保安本部によると、26日午後4時9分ごろ、石垣市の尖閣諸島・南小島南南東約22㌔の海上で、領海侵入した中国海警局の船2隻が、付近を航行していた日本漁船に接近しようとする動きを見せた。海保が漁船の周囲に巡視船を配置し、安全を確保している。https://t.co/zDXesNDmfa
— 八重山日報 (@YaeyamaNippou) 2020年12月26日