昨年(2020年)7月下旬に、モーリシャスで座礁したばら積み貨物船「WAKASHIO」。
サンゴ礁に残ったままの船体後部(約7500トン)の解体・撤去作業のためのクレーン船が先週、重量物貨物船の載せられて首都ポートルイス沖に到着した。(冒頭の記事画像の赤い方の船)
「WAKASHIO」船内の燃料油やディーゼル油はほとんど全て汲み出されているが、周辺にオイルバリアを張り、沿岸地域の流出油の除染を行ったギリシャのポリエコ(Polyeco)社が、座礁地点の近くに油回収用ボート(スキマー・ボート)を配置して、流出油があった場合に備える。
船主の長鋪汽船の公式プレスリリースで、処理作業の開始は12月下旬と発表されていたが、2ヶ月近く延びたようだ。何もなければ、作業の完了はこの春となるだろう。
現地に残存していた船体後方部分は、10月20日に契約を締結したLIANYUNGANG DALI UNDERWATER ENGINEERING CO., LTD(本社:中国)が現在、撤去作業開始に向けた資材・機材の調達と準備を行っています。処理作業の開始は12月下旬、完了は来春を予定しています。尚、撤去した船骸及び残存物の処理についてはモーリシャス当局と協議・確認を行いながら進める計画です。
当社支配船WAKASHIO 座礁および油濁発生の件 第10報 - 長鋪汽船株式会社 (2020年11月5日)
近頃の現地メディアでは、保険会社から流出油による被害を受けた地域の住人や漁師らへ保険金の支払いが始まったことがニュースになっている。
モーリシャス、ばら積み貨物船「MV Wakashio」から流出した燃料油、その後。|茂木外相、公式訪問 - pelicanmemo (2020-12-15)
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船体後部の撤去は、最初は順当にSMITサルベージと日本サルベージが船体後部の作業も行うと思っていたんだけど、欧米の会社など数社を加えての入札が行われて、中国のサルベージ会社が受注した。
"LIANYUNGANG DALI UNDERWATER ENGINEERING CO., LTD"とは、中国の山東省連雲港市のサルベージ会社”連雲港市大力水下工程有限公司(连云港市大力水下工程有限公司)”。
使用されるクレーン船(浚渫船)は1200トン吊回転式クレーン船「泓邦6 (Hong Bang 6)」。すでに約50人の専門家・作業員がモーリシャスに入国している。
解体撤去作業には数週間かかるそうだ。
「WAKASHIO」船体後部は解体されて、はしけに載せて首都ポートルイスへと運ばれ、地元のスクラップ鋳造工場で処理される予定となっている。
エンジンやブリッジの航法装置などは、調査されることなくスクラップになるのだろうか?
「WAKASHIO」が座礁するまでの複数回の針路変更などについて、Forbes紙が、英国の地理空間情報分析サービス会社、ジオレクト(Geollect)社と連携して衛星データの解析と分析を行っている。環境保護団体が「フランケンシュタイン燃料」と呼ぶ超低硫黄燃料油(VLSFO)に起因するエンジントラブルと、さらに電気・通信システムに傷害が起こっていた可能性を記事では指摘している。
ばら積み貨物船「Wakashio」、モーリシャスで座礁する7日前に、5時間半の漂流をもたらしたエンジン故障があり、さらに船橋を含む電気・通信システムに傷害が発生していた可能性。
— ぺりかんめも (@pelicanmemo) 2021年1月26日
Forbes (1/22)-
Satellites Make New Discovery About Mauritius Oil Spill Ship Wakashio https://t.co/zBJ41nyxzO
モーリシャス、ばら積み貨物船「Wakashio」座礁の原因の背後に、BP社の船舶燃料である超低硫黄燃料油 VLSFO がありエンジンの故障を引き起こしていたと。
— ぺりかんめも (@pelicanmemo) 2021年1月8日
グリンピースの調査等
Forbes(1/6)
Special Report: Explosive Documents Reveal BP Behind Toxic Mauritius Oil Spill https://t.co/RaKSIAEqEl
Forbes紙の記者がフォルクスワーゲンによる自動車排ガス不正よりも大きな船舶燃料スキャンダルと呼ぶ、船舶燃料へのVLSFOの認可とか、新型コロナ禍での航空燃料のだぶつきとか、いろいろとあるのかもしれない。
Wakashio: Le Hong Bang 6 a débarqué pour aider au démantèlement | lexpress (10 FÉV 2021)
Wakashio : début du démantèlement la semaine prochaine | Defimedia (11 FÉVRIER 2021)
Wakashio : trois remorqueurs et la barge Hong Bang 6 à Pointe-d’Esny pour le démantèlement de la poupe | Defimedia (14 FÉVRIER 2021)
La poupe du Wakashio démontée sera acheminée chez Samlo fin janvier – inside news (January 6, 2021)
Satellites Make New Discovery About Mauritius Oil Spill Ship Wakashio
Newly Released Documents Show BP Supplied Experimental Fuel In Mauritius Oil Spill