（微博等の画像を元に当ブログ管理人が整理した）
中国海軍の056型コルベットが約20隻が、中国海警局に移管されるようだ。
電光掲示板などを新たに装備して船体が白く塗り、煙突には中国海警局のエンブレムが付けられた船の画像がネットSNSで流れている。機関砲は装備されたままで、艦対艦ミサイルと近接防空ミサイルの発射装置は撤去されている。
056型コルベットは、全長88.9m、全幅11.14m、喫水4m。標準排水量1300トン、満載排水量1440トン。約70隻が配備されており、基本型の「056型」と対潜能力を向上させた「056A型」がある。
今回、中国海警局に移管されるのは初期型の「056型」のようだ(*1)。
中国海警局に移管された元海軍の船は、補助艦船で艦齢30年以上の老朽艦が多かったが、「056型」は2012年から2016年に配備された現役艦。
ざっくりと画像でまとめてみた。
（SNS情報より、この改装されている艦は「511 保定」艦（舷側の文字など画像の一部が、投稿者によってマスキングされているよう））
船橋構造物に、電光掲示板（停船命令等表示装置）が新たに設置された。遠隔監視採証装置も追加されたようだ。海上法執行機関の公船として、”グレイゾーン”での法執行活動のための装備が追加されただろう。
76mm速射砲（H/PJ-26型）は、そのまま装備されている。
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
Ads by Google
30mm機関砲（H/PJ-15型）もそのまま残っている。両舷に2基。
レーダーもそのまま装備されている。
船橋構造物と煙突の間に設置されていた「YJ-83」対艦ミサイル発射装置は取り外されて、白色の高圧放水銃が2基設置された。
↓
高圧放水銃は船舶火災での消火活動や、海上法執行活動での制圧で使われる定番の装備だ。
軍艦でも船内やヘリ甲板での消火活動や、船内への浸水時の排水作業のためにポンプや配管が設置されている。それを流用したのかもしれない。放水銃のノズルの先端がすぼまっており、あまり高くない水圧でも水流の到達距離を伸ばそうとしているように感じられる。
煙突の後ろ、ヘリ甲板の前にあった「HQ-10」近接防空ミサイルシステム発射装置も取り外されて、レドームが設置された。
↓
外見からは分からないが、この他に12.7mm(または14.5mm)機関砲・RWSも装備されるのかもしれない。海上法執行活動で、放水銃の次に使えるものが30mm機関砲ではあまりにも差がありすぎる。
056型コルベット(改)海警船では「YJ-83」対艦ミサイル発射装置は取り外されたが、戦時体制に再び装備できる事を想定している可能性は充分にあるだろう。
台湾では「平戰轉換（平戦転換）」として、沿岸警備隊に相当する海巡署の巡視船も戦時にはミサイル発射装置を装備できる体制を整えてきている。それに対して中共中国が、”相互主義”ではないけど056型海警船で同じ対応をしたとしても不思議ではない。
この056型コルベットの中国海警局への移管について日本語でのコメントでは、「尖閣」が取り上げられることが多いようだ。むしろ「台湾有事」の前段階のグレイゾーン事態のための海上法執行能力の増強と感じられる。
現在の状況でこの船は、中共が日本に対して「尖閣」で使うには、戦術的にも外交的にも使いにくそうに思う。
(*1)初期型の「056型」番号と船名は次の通り。
「582 蚌埠」「596 惠州」「584 梅州」「580 大同」「583 上饶」「597 钦州」「585 百色」「581 营口」「587 揭阳」「586 吉安」「589 清远」「588 泉州」「592 泸州」「590 威海」「591 抚顺」「595 潮州」「501 信阳」「503 宿州」「512 菏泽」「509 淮安」「511 保定」「510 宁德」
中国海軍に正式配備された時の056型（056A型ではない）コルベット。 
鳴謝 : 燃烧的哈尔科夫 https://share.api.weibo.cn/share/271044445.html
新型ミサイル護衛艦「保定」と「カ沢」が就役--人民網日本語版 (2016年12月13日)
