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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】4隻で領海侵入 1隻はワンポイント・リリーフ

20201213165637(八重山日報 on Twitter)

12月9日、尖閣諸島の日本の領海に中国海警局の船4隻が侵入し、およそ1時間半にわたって領海内を航行した。

中国海警局の船による日本の領海侵入は、11月7日以来で今年22回目。

中国船4隻が領海侵入 尖閣周辺、今年27日目 | 八重山日報

  

この日のニュースだけを見ると、これまでの領海侵入と同じと感じられるかもしれない。腹立たしいことに常態化しており、世間はニュースに慣れてしまっているようでもある。

ただ、今回の”領海侵入”事案には少し違う特徴があった。

今年(2020年)に入ってから交代は1ヶ月ごとで、ほぼ毎月15日に入れ替わっている。次の交代は12月15日前後だろう。

基本的に同じ4隻のグループで行動しているが、今回は別の1隻がワンポイント・リリーフとして入れ替わっていた。

【中国海警局】 尖閣周辺、"連続100日目"のまとめ 4隻ずつ1か月ごとに交代、全13隻 - pelicanmemo (2020-07-22)

 

東シナ海南部の海域では、12月になって波高4mを越える荒天が続いていた。尖閣諸島の沖で中国海警局の船が確認と報道されたのは12月1日以来で、一週間ぶり、この中に中国海警局の古い1000トン級は含まれていない。

いつもなら、荒天に強い3000トン級以上の3隻だけで行動させていたのではないだろうか。しかし、11月下旬に中国の王毅外相(国務委員兼外交部長)の訪日があり、茂木外相との会談後の共同記者会見での例の発言があった。そのすぐ後の”領海侵入”事案で船の数が減ると、「日本からの抗議によって”対応を緩めた”、という誤ったメッセージとなるかもしれない」と考えたのではないだろうか?中国の国内政治的にも、時系列資料として残って後の誤解や指摘のネタとなり得る。

そこで、古い1000トン級「海警14603」に替わって3000トン級「海警1302」をワンポイント・リリーフとして派遣して、「4隻で領海侵入」にこだわったと考えられる。

 

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

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以下、記録のため、時系列での資料と関連の報道・解説です。🙂

毎日の追跡調査と報道記事の繋ぎ合わせという面倒な手順を経て分かることなのですが…、もしも、海上保安庁からの公式発表が、メディアへの寡占的な情報公開だけではなくネットSNSを通じて有権者・国民に伝えられるなら、誰でも、簡単に、このくらいは出来るでしょう。

  

沖縄県のローカル紙の八重山日報が、海上保安庁からマスメディアへの発表を元にして、中国海警局の船名をていねいに発表している。その一方で、大手メディアや通信社は、海上保安庁の公式発表から一部を抜き出して伝えている。

「機関砲のようなもの」という意味不明な表現も止めようとしていない。

メディアの任務には権力の監視があり、必要であれば批判や各社それぞれが分析や解説をして、社会と市民・有権者に対して報道することだと思っていたが・・・、相変わらず、向いている方向がおかしい。 

 

第11管区海上保安本部によりますと、尖閣諸島の魚釣島の沖合で、中国海警局の船4隻が、9日午前9時40分すぎから相次いで日本の領海に侵入しました。

4隻は、およそ1時間半にわたって領海内を航行したあと、午前11時半までに領海を出たということです。

午後3時現在、4隻のうち3隻は、魚釣島の西およそ26キロの領海のすぐ外側にある接続水域内を航行し、残る1隻は、接続水域を出たということで、海上保安本部が監視を続けています。
(赤字強調は管理人による)

尖閣沖に中国海警局の船4隻が一時侵入 海保が監視継続 | 尖閣 | NHKニュース

  

11月15日に交代した中国海警局の船4隻は、
5000トン級「海警2502」(もと海警2502)、
3000トン級「海警1301」(もと海警2307)、
3000トン級「海警1303(*)」(もと海警2302)(*)機関砲を搭載)
1000トン級「海警14603」(もと海警2166(もと海監66))。 

 

11月22日から2隻になるなど、若干の船数に違いは出たが、「海警2502」「海警1301」「海警1303(*)」「海警14603」の4隻は変わっていなかった。

 

中国海警局の船2隻は、12月1日までに尖閣諸島の接続水域を出た。

 

12月1日に、最後まで残っていた、4隻のうち最大の5000トン級「海警2502」が接続水域を出た。 

尖閣周辺に中国船 86日連続 - 産経ニュース (2020.12.1 11:34)

沖縄県尖閣諸島の接続水域312日航行 中国海警局の船 水域出る | 尖閣 | NHKニュース (2020年12月1日 18時56分)

20190902195813

 

 

一週間後、

12月8日に、尖閣諸島の接続水域で、中国海警局の船4隻の航行が確認・報道された。 

4隻は、5000トン級「海警2502」、3000トン級「海警1301」、3000トン級「海警1303(*)(*)機関砲を搭載)、それと3000トン級「海警1302」

20190816214934

 

第十一管区海上保安本部によると、尖閣諸島(石垣市登野城尖閣)周辺の領海外側にある接続水域に8日、中国海警局の船4隻が入った。尖閣周辺で中国公船が確認されるのは1日以来。
 4隻は、機関砲のようなものを搭載した「海警1303」のほか「海警1301」「海警1302」「海警2502」。

尖閣周辺に中国船4隻 1日以来 | 八重山日報 (2020/12/9)

尖閣周辺に中国船 1日以来 - 産経ニュース (2020.12.8 10:31)

この日の尖閣諸島近くの海域の波高は4mを越えていた。

日本全国の波予測(波高) - Yahoo!天気・災害

尖閣諸島の周辺海域での”ハラスメント”が一週間なかったのは、この荒天が原因と考えられる。

次の交代の12月15日までに天気が良くなる補償はないので、しびれをきらしたのだろうか。

あるいは、日本側の抗議に対して対応を緩めてみせつつも、その後にイレギュラーな形で3000トン級をリリーフ派遣して強い対応を示してみせたのかもしれない。

 

12月9日に、中国海警局の船4隻が日本の領海侵入をし、1時間半にわたって航行した。

第十一管区海上保安本部によると、9日午前9時43分ごろから尖閣諸島(石垣市登野城尖閣)周辺の領海に中国海警局の船4隻が相次いで侵入、約1時間半後に領海を出た。中国公船が尖閣周辺で領海侵入したのは11月7日以来で、今年27日目。
4隻は、機関砲のようなものを搭載した「海警1303」のほか「海警1301」「海警1302」「海警2502」。

中国船4隻が領海侵入 尖閣周辺、今年27日目 - 八重山日報

 

 12月9日の午後3時までに、中国海警局の船1隻は接続水域を出た。

第11管区海上保安本部によりますと、尖閣諸島の魚釣島の沖合で、中国海警局の船4隻が、9日午前9時40分すぎから相次いで日本の領海に侵入しました。

4隻は、およそ1時間半にわたって領海内を航行したあと、午前11時半までに領海を出たということです。

午後3時現在、4隻のうち3隻は、魚釣島の西およそ26キロの領海のすぐ外側にある接続水域内を航行し、残る1隻は、接続水域を出たということで、海上保安本部が監視を続けています。

尖閣沖に中国海警局の船4隻が一時侵入 海保が監視継続 | 尖閣 | NHKニュース (2020年12月9日 17時13分)

 

12月10日、尖閣の接続水域を、中国海警局の船3隻が航行。
3隻は、「海警2502」「海警1301」「海警1303(*)(*)機関砲を搭載)9日に接続水域を出た1隻は「海警1302」

尖閣周辺に中国船 3日連続 - 産経ニュース (2020.12.10 10:39)

3隻は機関砲のようなものを搭載した「海警1303」のほか、「海警1301」「海警2502」。領海に近づかないよう巡視船が警告した。

尖閣周辺に中国船3隻 3日連続 | 八重山日報 (2020/12/11)

  

  

12月11日、尖閣の接続水域を、中国海警局の船4隻が航行した。

新たに合流した1隻は、1000トン級「海警14603」。もとの4隻グループとなった。この日の波高は3m未満だった。

尖閣周辺に中国船 4日連続 - 産経ニュース (2020.12.11 10:40)

尖閣周辺に中国船4隻 4日連続 - 八重山日報(12/12)

>4隻は機関砲のようなものを搭載した「海警1303」のほか、「海警1301」「海警2502」「海警14603」。領海に近付かないよう巡視船が警告した。

八重山日報 - 2020年12月12日 - 新聞オンライン.COM

 

めも

ほかにもAIS情報などチェックしています。

中国側は、南シナ海でも、中国海警局の船の存在と活動をアピールするためにAIS情報をオンにしたり、あるいは誤魔化すためにオフにしたり、いろいろとやっているよう。虚々実々。 

 

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