(YouTubeより)
日本の沖ノ鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)で、海上保安庁の巡視船が、台湾漁船「東聖吉16號」を拿捕した一件。
台湾は、海岸巡防署(沿岸警備隊に相当)の1000トン級巡視船「巡護九號(巡護9号)」と、農業委員会漁業署の漁業訓練船「漁訓貳號(漁訓2号)」を派遣。さらに、海巡署の3000トン級巡視船「CG-128 宜蘭艦」を追加派遣した。
台湾メディアの報道によると、海巡署の3隻に対して、日本の海上保安庁は4隻の巡視船をあてている。
今回の台湾の強硬な対応について、東京外国語大学の小笠原欣幸准教授がご自身のウェブサイトで書かれた解説が、詳しく分かりやすい。台湾メディアも翻訳して伝えている。
沖ノ鳥島沖台湾漁船拿捕事件
「沖之鳥島」事件 日台關係激烈震盪(小笠原欣幸) | 新頭殼
閑話休題、
中央社の5月10日付けの記事で、海上保安庁が派遣した4隻の巡視船の番号と船名が分かった。
Ads by Google
"日本海上保安廳公務船 PL31、PL52、PL03、PLH31 形成阻擾隊形"
(YouTubeより)
沖之鳥礁護漁 海巡艦艇遇4日船【影】 | 中央社即時新聞(2016/05/10)
「PL-31 いず」「PL-52 あかいし」「PL-03 くだか」「PLH-31 しきしま」
レーダー画像の、中央の左側に固まっている3隻が台湾の巡視船と訓練船。操業している台湾漁船を守るように航行している。その右側に、海上保安庁の4隻が縦列船隊を組んでいる(1隻は並進)。
6500トン「PLH-31 しきしま」、3500トン型「PL-31 いず」、2000トン型「PL-52 あかいし」と、大型の巡視船を揃えている。
現場が沖ノ鳥島の周辺海域とかなり遠方であり長期間となるからだろう。また、まず最初に本気の姿勢を示すことで、状況をエスカレートさせないための抑止効果を狙ったものとも思った。
一方、台湾の海巡署は、巡視船が沖ノ鳥島の200カイリ近くに到着した時の発表で、4隻のうち小さい方の「PL-52 あかいし」「PL-03 くだか」の2隻だけを発表している。撮影出来なかった? たまたまだろうか? 案外、台湾メディアの報道がエスカレートしていた時なので、穏やかな報道を期待したものだったのかもしれない。
発表によると、その海域では台湾の延縄漁船「金O O」1隻が操業している。
沖之鳥礁捕魚作業,巡護船隊戒護安全 - 海巡新聞 - 行政院海岸巡防署(105/05/10)
報道では周辺に台湾漁船4隻がいたそうだから、巡視船の方が多いわけだ。(苦笑)
「CG-128 宜蘭艦」の船上から。ニュース動画3分強。
4月以降、台湾の海巡署は、沖ノ鳥島だけでなく、南のフィリピンとの漁業重複海域で台湾漁船がフィリピン海軍軍艦に追尾され、巡視船を緊急派遣している。
(追記5/12:フィリピン海軍軍艦でなく、台湾海軍の駆逐艦「DDG-1805 馬公艦」だったそうだ。漁船船員の見間違いだったのだろう。(漁民如驚弓之鳥 馬公艦護漁被當菲船 | 20160511 | 蘋果日報))
さらに、東沙諸島(台湾島の南西に位置する)の排他的経済水域(EEZ)で、ベトナム漁船群が操業をしているので巡視船の派遣と取り締まりが要請された。
度重なる事案に、巡視船・巡視艇の運用に苦労しているようだ。
台湾の総統が、国民党・馬英九から民進党・蔡英文に変わる5月20日まで台湾政府の対応は変わらないだろうし、その後も"護漁"という姿勢は同じなので、すぐに方針変更されるとは限らない。
状況をエスカレートさせないよう慎重な対応が、海上保安庁や海岸巡防署だけでなく、政府や政治家、組織やマスコミにも求められるだろう。
台湾、沖ノ鳥島に巡視船など2隻を派遣 台湾メディアが勘違いして誤報 日本メディアも巻き添えに - pelicanmemo(5/1)
美味しい台湾 食べ歩きの達人: 台北&郊外のグルメタウンから、高雄まで (光文社知恵の森文庫)
- 作者: 光瀬憲子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/01/08
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る