（twitterより）
5月9日、シリア沖の地中海で石油タンカーがドローンによる攻撃を受けた、という映像がネットSNSで公開された。ちょうどイスラエルとハマスとの衝突が激化し始めた時だったので、イスラエルのアイアン・ドームの迎撃やハマスのロケット攻撃の映像に紛れてしまい日本語ではそれほど大きく話題にはならなかったようだ。
#BREAKING: #Israel Air Force conducted a drone strike at an oil tanker carrying #Iran's petrochemical products to the port of #Baniyas in #Syria's territorial waters. Here is the footage showing the oil tanker burning after the drone strike. The fire is now fully suppressed: pic.twitter.com/DA0dLbK45Y
— Babak Taghvaee - Μπάπακ Τακβαίε - بابک تقوایی (@BabakTaghvaee) 2021年5月9日
実はこの石油タンカーは4月24日に、同じシリアのバニアス港の沖合で、同じような火災を起こしたタンカー「WISDOM」だ。
4月24日の時もドローン攻撃という報道が流れていた。メンテナンス中に起きた溶接作業中の火災事故との発表でおちついたが、疑問を呈する声もあり未だに火災原因ははっきりしていない。
5月9日の方の火災の原因は、メンテナンス中に１つのエンジンで起きた火災だそうだ。すぐに消火されて死傷者も無かったと現地メディアは伝えている。今回も同じようにイランからの原油を運んでいたと言われている。
どちらも犯行声明は出ていない。
「不可解な爆発」とも報道されている。
Mysterious explosion on oil tanker off coast of Syria - report - The Jerusalem Post (09 May ,2021)
Another 'Mystery Explosion' Has Hit An Oil Tanker Off Syria's Coast (09 May ,2021)
Fire breaks out on tanker near Syrian coast | Reuters (09 May ,2021)
Fire erupts in engine of empty oil tanker off Syria’s Banias coast | Al Arabiya English (09 May ,2021)
シリア沖、イランのタンカー炎上？ ドローン攻撃？ → 火災は別の船で、勘違いでした。【画像】 - pelicanmemo (2021-04-26)
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(Sky Newsより)
ロンドンに拠点を置くsky newsが、中東の海で今年に起きた、イスラエルやイランが関係するとされるタンカーや大型貨物船での似たような火災や爆発、攻撃？について、12日付けのインタラクティブ記事でまとめている。
中東でのタンカーに対する攻撃というと、2019年6月にホルムズ海峡近くで起きたケミカル・タンカー「コクカ・ カレイジャス（Kokuka Courageous）」（パナマ船籍、日本の国華産業が運航）での吸着機雷（リムペット・マイン）による攻撃を思い出す人も多いだろう。
タンカー攻撃｜「コクカ・ カレイジャス」右舷の吸着機雷（リムペット・マイン）、大きさは約60cm - pelicanmemo (2019-06-18)
しかしはっきり分かる例ばかりではない。爆発直後にミサイルやドローン、リムペット・マインによる外部からの攻撃と報道されていても、爆発による損傷は船内だけだったり、公式発表であっても情報が怪しいものもある。
はたしてどれどれが本当に”攻撃”を受けたのやら・・・、記事では「tit-for-tat Tanker War（タンカー報復合戦）」と少し軽い表現を使っている。
2月1日 - レバノン（ベイルート籍）のタンカー「Emerald」: 意図的な油の流出？（環境テロ）
2月25日 - イスラエル・英国の自動車運搬船「Helios Ray」：仕掛けられた爆弾？
3月10日 - イランのコンテナ船「Shahr E Kord」： 海上でコンテナが爆発？
3月25日 - イスラエルのコンテナ船「Lori」：ミサイル攻撃？
4月6日 - イランの貨物船「Saviz」：リムペット・マイン（吸着機雷）？
4月12日 - イスラエルの自動車運搬船「Hyperion Ray」：無人ドローン攻撃？
4月24日と5月9日 - レバノン（ベイルート籍）のタンカー「Wisdom」（2/1のタンカー「Emerald」の姉妹船）：攻撃か事故？
(Sky Newsより)
ツイッターSNSで公開された航路図、画像や動画などをふんだんに使って、それぞれの船で何が起こっていたのか推測をしている。
'Limpet mines' and 'drone attacks': Tracking Israel's maritime war with Iran | Sky News
5月14日（金曜日）（現地時間）、「イスラエルの地上部隊がガザ地区へ侵攻」という速報が世界中を駆け巡った。
イスラエル軍報道官は外国メディアの記者に対して「確認された」と発表をしたが、空爆とミサイル攻撃・砲撃が終了した後になって「内部で情報の混乱があった」「地上部隊による侵攻は無かった」と訂正をした。
これはガザ地区のハマスを罠にかけ、トンネル網"Metro"を空爆したときの戦果を最大にするための欺瞞工作だったとニューヨーク・タイムスほかが伝えている。
タンカーへの「攻撃」情報もまた諜報戦の一環であり、マスメディアによって大きく報道される事やSNSで世界中に拡散されることを前提とした工作活動なのかもしれない。それとも本当に起きたことなのだろうか。
脊髄反射的にリツイートや拡散をするのではなく、頭のどこかに置いておいてすこし考えないといけないだろう。
A Press Corps Deceived, and the Gaza Invasion That Wasn’t - The New York Times
タンカー攻撃｜「コクカ・ カレイジャス」右舷の吸着機雷（リムペット・マイン）、大きさは約60cm - pelicanmemo (2019-06-18)
シリア沖、イランのタンカー炎上？ ドローン攻撃？ → 火災は別の船で、勘違いでした。【画像】 - pelicanmemo (2021-04-26)
