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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

中国、国産の4500m級有人深海潜水艇の母船「探索一号」、大規模改修が終了 中国科学院に交付

20160507090722(广州日报微博より)

5月5日、中国はじめての"国産"4500m級有人深海潜水艇の母船となる、海洋科学調査船「探索一号」の改修が完了し、中国科学院三亜深海科学・工学研究所(中国科学院三亚深海科学与工程研究所)に正式交付された。

“探索一号”将升级 支持万米深海载人(5/6|广州日报)
“探索一号”科考船改修完工 将赴马里亚纳海沟执行任务 (5/6|观察者网)

 

中国、国産の4500m級有人深海潜水艇の母船「探索一号」 試験航海 - pelicanmemo(2015/3/18)

 

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20160507090725
(广州日报微博より)

「探索一号」は、国家863計画による中国国産の4500m有人深海潜水艇建造計画の母船だ。

 

中国、国産の4500m級有人深海潜水艇 耐圧殻が完成【画像】 - pelicanmemo(2015/5/26)

 

(追記:5/10) 


科学发展 - 关注我国载人深潜:载人深潜母船“探索一号”竣工 - YouTube

(追記ここまで)

 

「探索一号」は、もと海底パイプ敷設専用船「海油石油299」。
満載排水量6250トン。全長94.45m、型幅17.9m。航続距離1万カイリ以上、航続日数60日。

バウスラスタ2基(既存の装備)と、DPS(ダイナミック・ ポジショニング・システム、船体位置保持システム)を新たに装備した。(アジマス・スラスタにはなっていない?)

速度と作業能力の向上のため、上部構造物をすべて撤去した上で船体デザインを大きく変えている。船首のヘリポートを廃し、船首甲板を閉じて船橋構造物と一体化させた船首デザインとなった。

改修に際して船体を輪切りにし、船体の前部分を新たに作っている。

探索一号顺利完成船体切割和吊装工作(2015/09/05|深海科学与工程研究所)
探索一号顺利出坞(2015/09/16|深海科学与工程研究所)

 

左上が元の「海油石油299」、右下が「探索一号」。
右上と左下は、再結合後の航行試験の時。

20160507090724

微博より) 

 

もちろん、科学調査船・潜水母船としての装備も新たに加わった。

着水揚収装置とそれを支えるA字型クレーン(既存)はもとより、甲板にクレーンと観測用ウインチ2基を新設して、深海CTD(電気伝導度(塩分)・水温・水深計)、海洋地質観測機やエアガン等に対応している。

上部構造物を大きく変更することで、乗組員や科学者の生活環境を整えるとともに、地質実験室、地球物理実験室、化学実験室、生物実験室、サンプル冷蔵庫等の設備を備え、甲板に設置できる移動実験施設2つも装備した。 

20160507090728
(广州日报微博より)

実は、4500m級潜水艇の母船が新造船ではなく、中古船の改修だったのでちょっと残念に感じていた。ところがフタを開けてみたら、本格的な海洋科学調査船に仕上がっている。
ブロック工法による造船は当たり前に見ていたが、船体を分断して大改装を行うとは思っていなかった。 

深海でサンドイッチ 「しんかい6500」支援母船「よこすか」の食卓 (〈私の大学〉テキスト版)

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