（NHKより）
中国海軍の056型コルベットが約20隻が、中国海警局に移管されるそうだ。昨年(2021年)12月から改修された船の画像がいくつも微博などSNSにアップされている。そして今年(2022年)2月になってNHKや読売新聞など日本メディアも報じた。
中国の海警法が施行されたのが1年前、昨年(2021年)2月1日なので、それに合わせて紹介したのだろう。
それらの記事では中国海軍「056型」を「フリゲート艦」と呼んでいる。
でも、そこは「コルベット」じゃない？🙄
056型はコルベットなのかフリゲートなのか？
定義をはっきりさせないと週末が来ないとか、共通テストや2次試験に出るだとか、我が家の家庭生活でのグレイゾーンがとか、そういうことではないのでどうでもいい話なんだけど（苦笑）これについて少し。
【中国海警局】 中国海軍の056型コルベット、約20隻が海警局に移管か - pelicanmemo (2021-12-25)
こうした中、現在、中国国内の複数の造船所で海軍のフリゲート艦、合わせて12隻を、中国海警局の船に転用するための改修が進められているという情報が、海外の情報機関から海上保安庁に寄せられたことが関係者への取材で分かりました。
中国海軍の艦艇 海警局の船に転用のため10隻余を大規模改修か | 中国 | NHKニュース (2022年2月1日)
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「コルベット」「フリゲート」「駆逐艦」に、排水量や装備など国際的に決められた定義はない。ざっくりと、駆逐艦より格下がフリゲートで、その下がコルベットだとイメージされる。外洋での持続航行能力や任務遂行のための装備も重要だ。
中国海軍の「056型（江島型、JIANGDAO-class）」は満載排水量1500トンなのでちょっと小さい。米国海軍情報局(ONI)の報告書では、中距離でのパトロール任務や沿岸海域での作戦には適しているが、外洋での戦闘作戦には充分な武装や装備を持っていない、と説明されている。
ヘリ甲板はあるが格納庫は無い。海警局への移管に際して、76mm機関砲１基と30mm機関砲２基や火器管制レーダーが残され、対艦ミサイル発射装置や近接防御火器システム、魚雷発射管は撤去された。
結局のところ、その国と軍隊でどうカテゴライズされているかどうかだろう。
中国の人民解放軍海軍ではまとめて「護衛艦（护卫舰）」としていて、特にフリゲートとコルベットを分けた漢字表記はしていない。
ただし、056型は「軽護衛艦（轻护卫舰、轻型护卫舰）という書かれ方もする。
人民解放軍の公式英語軍事ニュースサイトChina Military Onlineや、主要メディアの記事では、056型は「Corvette（コルベット）」と表記されている。（少数の例外もある）
（China Military Onlineは、中央軍事委員会(PRC)に承認され、人民解放軍(PLA)ニュースメディアセンターが支援している、中国軍の唯一の公式英語ニュースサイト）
今回、NHKの記事で、056型コルベットが「フリゲート艦」と書かれていたわけだけど、読売新聞でも”日本政府関係者”を情報源として、同じように「海軍のフリゲート艦」と書かれている。
どこの誰かは知らんけど、その”政府関係者”が、取材の時に中国海軍の056型コルベットを「フリゲート艦」だと呼んだのだろう。
政府関係者がソースの報道でも、こういったイメージだけの発言をもとにした記事もけっこう見かける。
（中国国防部より）
駆逐艦？フリゲート？コルベット？なんとも複雑な軍艦・護衛艦の呼び方 | HARUKAZE (2020.07.20)
「大量に建造された現代軍艦」3選 ひたすら30年建造 7年で50隻建造 | 乗りものニュース (2020.03.13)
【中国海警局】 中国海軍の056型コルベット、約20隻が海警局に移管か - pelicanmemo (2021-12-25)
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
以下、記録のため引用とリンク。
中国海軍の艦艇 海警局の船に転用のため10隻余を大規模改修か | 中国 | NHKニュース (2022年2月1日)
こうした中、現在、中国国内の複数の造船所で海軍のフリゲート艦、合わせて12隻を、中国海警局の船に転用するための改修が進められているという情報が、海外の情報機関から海上保安庁に寄せられたことが関係者への取材で分かりました。
中国版ツイッターの「ウェイボー」などには、去年から先月にかけ、中国海軍の艦艇が海警局の船として塗装されたなどとする画像が、複数、掲載されています。
撮影日時や撮影者は不明ですが、海上保安庁はSNS上に掲載されている船は、船の形状から中国海軍の「056型」フリゲート艦を海警局の船に転用するため改修されているものと見ています。
海上保安庁の分析によりますと、白く塗装された船体には中国海警局の記章がつけられ、海軍艦艇のときに船体の中央から後方付近にあった対艦ミサイルや対空ミサイルは撤去されています。
一方、船体の前方付近にあった76ミリ砲や30ミリ機銃、射撃管制レーダーや対空レーダーはそのまま装備されています。
中国海警船、尖閣沖の航行が常態化…武器使用認めた法施行から１年・「海軍化」強める : 読売新聞オンライン (2022/02/03)
日本政府関係者によると、中国国内では昨年から、海軍のフリゲート艦約１０隻が改修中で、今後は計２０隻程度が海警船に転用される見通しだという。改修に際して艦艇の対艦、対空ミサイルは撤去されるケースが多いが、機銃や７６ミリ砲などは備えたままで「着々と装備の増強を図っている」（海保関係者）状況だ。中国のＳＮＳ上では、改修中の海警船とみられる画像も投稿されており、海保は配備先の動向を注視するなど情報収集を進めている。
米国海軍情報局(ONI)：「The PLA Navy: New Capabilities and Missions for the 21st Century」(pdf)(archive.org)
The JIANGDAO is ideally-suited for general medium-endurance patrols, counterpiracy missions, and other littoral duties in regional waters, but is not sufficiently armed or equipped for major combat operations in blue-water areas.
中国海軍の艦艇 海警局の船に転用のため10隻余を大規模改修か | 中国 | NHKニュース (2022年2月1日)
中国海警船、尖閣沖の航行が常態化…武器使用認めた法施行から１年・「海軍化」強める : 読売新聞オンライン (2022/02/03)
PLA Navy commissions two Type 056A corvettes - Ministry of National Defense
PLA Navy commissions final Type 056A corvettes specialized in coastal defense - Global Times
China's first Type 055 destroyer Nanchang commissioned - Ministry of National Defense
