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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

中国の7000m級有人深海潜水艇「蛟竜号」と母船「向陽紅09」 2016年の調査航海を終了 国家深海基地に帰港

20160718105436(via. 新华网

7月13日、青島市郊外にある国家深海基地の埠頭に、中国の7000m級有人深海潜水艇「蛟竜」号と母船「向陽紅09」が帰港した。

2016年の試験性応用航海(第37次科学調査)は、4月13日から一ヶ月半の第一航期で、北西太平洋のコバルトリッチクラスト探査鉱区とヤップ海溝へ。
第一航期終了後、一旦、アモイに寄港して補給と休息をとり、6月2日に第二航期のマリアナ海溝の海域へ向かった。

 

このマリアナ海溝での第二航期については、出港してから帰港するまで、ニュースがまったくと言っていいほどなかった。これについて少し。

中国の7000m級有人深海潜水艇「蛟竜号」 2016年の潜航調査へ、国家深海基地から出航 - pelicanmemo 

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第一航期では、北西太平洋のコバルトリッチクラスト探査鉱区での資源探査と科学調査を行い、将来の「蛟竜号」有人深海潜水艇の業務化へ向けた、開放・共有・応用プラットホームの構築を目指した。次いで、ヤップ海溝での11回の水深5500m級の潜航を行った。

この時は現地からの報道も多く、国家深海基地管理センターも頻繁に情報公開をしていた。中国メディアでは、関連した海洋科学・海洋工学などの記事も賑わっていた。(4月から5月の関連ツイート(一部)をまとめた拙文をご参照ください。)

中国の有人深海潜水艇、海洋関連ツイートまとめ(2016年4月〜5月) 「蛟竜」号、2016年の潜水調査を開始 - pelicanmemo

 

一旦、アモイに寄港して補給や休息をとり、6月2日に第二航期としてマリアナ海溝の海域へ向けて出港した。

そしてニュースが出なくなった。

 

据悉,中国大洋第37航次第二航段计划在马里亚纳海沟进行8+2次下潜,深入了解深渊环境专属性地球化学特征及形成机理,深渊生物分布特征、群落结构与适应性机制,深渊构造特征和蛇纹岩化活动等。按照计划,“向阳红09”船将于7月中旬完成科考任务返回青岛。

“向阳红09”船起航探秘马里亚纳海沟 - 中国海洋在线 

 

国家深海基地管理中心からの発表も無くなった。たまに蛟竜号関係の記事が追加されても、どれも4月や5月の第一航期の時の記事の転載・再掲ばかり。 

これまでは、「蛟竜号の最初の潜航作業がはじまった」「潜航作業は成功した」「今回の成果は〜」と頻繁に発表していたが、今回はまったく無い。

 

さすがに大きな事故や故障があったら、何らかの発表があるだろう。

第37航次の叶聪副総指揮によると、蛟竜号は本航海を通じて作業能力をレベルアップ。大深度への連続潜航での装備の状態は良好で、平均故障率も試験性応用航海を開始して以来、最低だったそうだ。

中国大洋第37航次副总指挥叶聪表示,本航次进一步提升和拓展了“蛟龙”号作业能力。蛟龙号连续大深度下潜,技术状态良好,平均故障率为开展试验性应用航次以来最低。

蛟龙号返回母港 航次历时94天航行11837海里 - 中国大洋协会网站(国家深海基地管理中心)

単に記者が同行していなかっただけかもしれないが、それにしては発表がなさ過ぎる。

第一航期の北西太平洋のコバルトリッチクラスト探査鉱区での調査活動が、中国大洋鉱産資源研究開発協会(中国大洋矿产资源研究开发协会、COMRA)によるもので、深海探査技術のアピールと、深海開発の事業化を宣伝したのだろう。

一方、第一航期のヤップ海溝と、第二航期のマリアナ海溝の調査活動は、科学技術部の973計画項目(国家重点基礎研究発展項目)と中国科学院が先導するものなので、積極的な発表を望まなかったのかもしれない。

 7月12日のハーグの仲裁裁判所による、南シナ海問題の判決の前だった。もしトラブルがあり報道され、注目されたら印象が悪くなり減点要因となるので、情報公開を渋っていた、というのは考え過ぎだろうか?

 

国家深海基地による運用がはじまったので、中船重工サイドからの情報公開が期待出来なくなった。報道や発表が減ってしまうのは仕方ないのだろう。

 

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2016年の今回の試験性応用航海によって、

有人深海潜水艇「蛟竜」号の作業能力の向上は、世界最先端の"超深海"海洋科学技術研究のための、しっかりとした基礎となる。

第二航期では、マリアナ海溝の南北で泥火山を発見し、高画質の画像と動画を撮影するとともに地質サンプルを収集した。
ポンプによる微生物ろ過採集装置によって水深6000mの海中の微生物サンプルの採集に成功。また、水深6,682mでの保圧海水採取装置の使用と回収に成功した。これは、世界の同種の有人深海潜水艇による最高記録となる。(非公式の情報による)

 

2017年の試験性応用航海(中国大洋第38次航海)は、今年末から、インド洋、南シナ海、ヤップ海溝とマリアナ海溝などで行われる。 

“蛟龙”号圆满完成中国大洋第37航次科考任务返回青岛_图片频道_新华网

2016年蛟龙号试验性应用航次(中国大洋第37航次)返航 - 国家深海基地管理中心

“蛟龙”完成今年试验性应用任务返回青岛 获取了丰富的地质、生物等样品和资料 - 中国海洋在线
“蛟龙”号圆满完成中国大洋第37航次科考任务返回青岛 - 中国大洋协会网站(国家深海基地管理中心)
蛟龙号返回母港 航次历时94天航行11837海里 - 中国大洋协会网站(国家深海基地管理中心)

蛟龙号圆满完成首次深渊科考_频道 - 多维社区

有人潜水艇「蛟竜号」、中国大洋第37回科学観測を完了 - 人民網日本語版
有人潜水艇「蛟竜号」、マリアナ海溝南側で活動中の泥火山を発見 - 人民網日本語版

 

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