(農林水産省)
11月10日、日本、中国、韓国の農業担当の閣僚会合が北京で開かれ、中国の韓長賦(韩长赋)農業農村部長が議長を務め、𠮷川貴盛農林水産大臣と、韓国のイ・ゲホ(이개호)農林畜産食品部長官が出席した。
会談では、鳥インフルエンザや口蹄疫、アフリカ豚(とん)コレラなど、国境を越えてウイルスが広がる感染病への対策で、連携を強化していくことを確認しました。
中でも、感染した豚は、ほぼすべて死ぬアフリカ豚コレラは、最近、中国各地で感染が報告されていて、日本でも先月、中国からの渡航者が許可なく持ち込もうとした食品からウイルスの遺伝子が検出されています。
このため3か国は、アフリカ豚コレラに関する情報を共有していき、ウイルスの共同研究などを進めることで一致しました。
日本と韓国の発表や報道では、特に、アフリカ豚コレラ(ASF)に触れて伝えています。
その一方で、中国の農業農村部の発表と中国メディアの記事では、国境を越えて広がるおそれがある「動物の感染症への対策(动物疫病防控)」という表現はありますが、「非洲猪瘟(アフリカ豚コレラ)」の四文字は出てきません。温度差が感じられます。
アフリカ豚コレラのウイルスは、これまでに、中国からの旅行者・渡航者の手荷物のソーセージや餃子から、韓国の空港で8月に3件、日本の空港で10月と11月に1件ずつ検出されました。
実は、これらのニュースは、中国の大手メディアでは驚くほど報じられていません。😕
中国国内での発生例は、発表されていても定型化した情報がほとんど。こういうところでも、アフリカ豚コレラ(ASF)に関する情報が、強く管理され制限されている様子がうかがえるようです。
今回の農業農村部の日中韓の農業担当大臣の会合についての発表も、それに沿ったものなのでしょう。農業農村部が発表した、韓長賦(韩长赋)部長の重点発言には「疫病」という二文字すらありません
(𠮷川貴盛農林水産大臣と、韓国のイ・ゲホ(이개호)農林畜産食品部長官の発言の部分には入っている)。
Ads by Google
(农业农村部)
もちろん、中国の海関総署(税関)や出入国管理所では、外国から持ち込める肉や野菜果物などの検疫を行っています。
外国へ持ち出せるものについての発表もされていますし、連休前に、特に注意喚起も行われていました。
しかし中国で、外国への旅行者や、国際郵便・宅配便などを送ろうとする人に対して、外国に持ち込んではいけないもの・送ってはいけないものについての周知が、充分に行われているとはとても感じられないのが現状です。
渡航先の日本や韓国の空港に到着してから、はじめて、ソーセージや餃子などの持ち込みが禁止されていると知る人もいるのでしょう。渡航先の国の税関の検疫で、放棄を求められたところ一悶着が起きているという報道も見かけます。
日本や韓国の空港で、中国からの旅行者・渡航者が持ち込んだソーセージや餃子から、アフリカ豚コレラ(ASF)のウイルスが検出されたことは、香港メディアや、外国の中国語メディア(日本や米国、台湾など)は報じているので、それらを読んだり聞いたりして、知っている人は知っていると思います。
中国メディアでは、ほとんど報じられていません。
例えば、北海道の新千歳空港の例で管理人が見かけたのでは、日本経済新聞(中国語版)の記事を紹介した観察者網の記事くらい。そのほか、地方メディアや専門紙の記事がすこし。
(そのくせ、日本の岐阜県岐阜市の養豚場で1件、豚コレラ(CSF)(古典的豚コレラ, Classical Swine Fever)が確認された時は、新華社や人民日報その他、転載記事たくさん。(いいかげん慣れたけど、こういうところが気にくわない。))
8月20日と26日に、韓国の仁川国際空港と済州空港で、中国から帰国した韓国人や中国人渡航者の手荷物の中のソーセージやスンデ(朝鮮のブラッド・ソーセージ)、餃子から、ASFウイルスのDNAが検出と発表されました(3例)。
10月22日に日本の新千歳国際空港で、中国の北京からの旅行客(アジア人の旅行客と伝えられている(HBC 北海道放送))の手荷物の中のソーセージから、11月9日に羽田空港で、上海からの旅行客(旅行客は日本人でない東洋人と伝えられている(毎日新聞))の手荷物の中の未加熱の餃子から、ASFウイルスのDNAが検出と発表。
10月31日に、台湾の金門島の出入国ゲートの、持ち込み禁止物の放棄箱に入れられていた、中国の大手食肉製造加工会社のパッケージのソーセージから、ASFウイルスのDNAが検出が発表されています。
アフリカ豚コレラ、台湾で初めて確認 中国の大手食品会社のソーセージから - pelicanmemo
アフリカ豚コレラ(African Swine Fever (ASF)、非洲猪瘟、아프리카 돼지열병)は、8月3日に中国の遼寧省瀋陽市で、アジアではじめての発生が確認されてから、11月上旬までに、中国の17の省・自治区・直轄市の、56例を越える養豚場や養豚農家で発生しています。止まる気配がありません。
財新網は、中国でASFがこれほど早く広がっている理由が分からず、まるで"幽霊"がさまよっているようと表現しました。
11月11日には、中国の国家重点龍頭企業である唐人神集団の系列の、江蘇省にある孫会社 "溧阳比利美英伟营养饲料有限公司" の飼料から、ASFウイルスのDNAが検出。
これは11月10日に発表された、安徽省の池州市青陽県の養豚場でのASF発生の調査でわかったもので、同社工場の飼料にASFウイルスが入り込んだ原因は現在調査中だそうです。
中国には、いろんな"幽霊"がいそうです。
今回の、第3回の日本・中国・韓国の農業担当の閣僚会合の共同声明の、中国語版では、さすがに「非洲猪瘟(アフリカ豚コレラ)」の四文字は載っていると思いますけどね。
我々は、動物健康情報の共有、疾病の監視、報告、疫学調査、ウィルスその他の物質の交換、診断方法とワクチンに関する研究開発、高病原性鳥インフルエンザ、口蹄疫、アフリカ豚コレラのような越境性動物疾病に関する共同研究に関する取組を更に強化することにより、協力覚書の下での協力活動のフォローアップを精力的に実施していく。特に、アフリカ豚コレラのような越境性動物疾病の脅威が増加しており、効果的な国境管理のための3か国間の協力が強化される必要がある。
我々は、畜産業に関する政策や状況の共有、3か国の関心分野に関する意見の交換、相互理解の強化の観点から、日中韓における越境性動物疾病への対応の協力に関する運営委員会の傘下での3か国の畜産担当者間の会合の開催を決定した。3か国は、家畜の育種環境や畜産業の発展を含む、畜産業における重要な課題について定期的に協議する。
第3回 日中韓農業大臣会合共同声明(原文)(PDF : 246KB)
第3回 日中韓農業大臣会合共同声明(仮訳)(PDF : 252KB)
I. 農村活性化に関する相互理解 (I. Mutual learning in rural revitalization)
II. グリーン農業発展 (II. Green agricultural development)
III. 食料安全保障と栄養に関する協力 (III. Cooperation on food security and nutrition)
IV. 動植物疾病管理と畜産業に関する協力 (IV. Cooperation on animal and plant disease control and livestock industries)
V. 地域農業協力 (V. Regional agricultural cooperation)
アフリカ豚コレラ対策の連携を確認 日中韓農業閣僚会合 北京 | NHKニュース
家畜防疫 中韓と協力 食料安保 着実に改善 3カ国農相共同声明 - 日本農業新聞
韩长赋:未来十年中国与日韩农产品贸易额力争实现翻番-新华网
한·중·일, 아프리카돼지열병 확산 방지 등 협력방안 논의 - KBS NEWS(韓・中・日、アフリカ豚コレラの拡散防止等の協力方案を論議)
「アフリカ豚コレラ」国内で初確認 ヒトには感染せず 北海道・新千歳空港 - HBC 北海道放送 (http://news.hbc.co.jp/146a754013504292eb39f277faafecb1.html) (掲載期間切れ)
羽田空港:中国からアフリカ豚コレラ 旅行客のギョーザに - 毎日新聞
孙公司样品检出疑似非洲猪瘟病毒 唐人神称影响小 - 新浪财经
安徽猪饲料中检出疑似非洲猪瘟病毒 系唐人神孙公司生产 - 新京报网
海关提醒:中秋节将至请勿随便网购境外月饼 - 南方网
旅客从北京带至北海道的香肠被检出非洲猪瘟 - 观察者网
非洲猪瘟幽灵 - 财新周刊
아프리카돼지열병 빈발 中랴오닝성 항공편 검역강화
[속보] 중국 불법휴대축산물에서 또 ASF 유전자가 검출되었다
“아프리카돼지열병 내년 2~4월 사이 감염 위험 높아” - 한국농어민신문
韓国の空港で「アフリカ豚コレラ」、旅行者の荷物の餃子と腸詰めからウイルスを検出 中国の遼寧省から - pelicanmemo