海上自衛隊の哨戒機が韓国軍の艦艇から射撃管制用レーダーの照射を受けた問題で、韓国側が「電波の放射はなかった」と改めて否定したことについて、防衛省は「解析の結果、特有の電波を確認している」とする文書を公表し、韓国側の説明に誤認があるという見解を示しました。https://t.co/6d0AT8Rb0q
— NHK国際部 (@nhk_kokusai) December 25, 2018
防衛省は12月21日、海上自衛隊厚木基地所属のP-1哨戒機が、韓国海軍の「広開土大王(クァンゲト・デワン(광개토 대왕))」級駆逐艦から、火器管制レーダーを照射されたと発表した。
もう5日も前の発表だし、今さらとりあげるのもどうかと思いましたが、ネット・SNSで変な現場海域の地図が拡散していて、気になったので、どのあたりで"レーダー照射"されたのか、簡単にまとめてみました。
岩屋毅防衛相の記者会見から、現場海域は「日本海の能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内」です。
ネット・SNSで拡散している、変な地図はコレ(画像はツイッターより)。
能登半島のごく近く、日本の領海で起こった事みたく使われています。
まあ、これを信じる人はいないと思いますが・・・😊
もし日本の領海内で、韓国の軍艦が火器管制レーダーを照射していたなら、自衛隊機に対してレーダーを照射したかどうかという話より、もっとずっと大きな問題になっていますよ。(苦笑)😊
(追記)
韓国海軍、レーダー照射 | 海洋警察庁の警備艦「サンボンギョ 5001」の救助活動と北朝鮮の漁船と軍と - pelicanmemo
(追記ここまで)
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この地図・イラストは、韓国のケーブル・テレビ、朝鮮放送(TV朝鮮)の12月21日の番組の映像でしょう。これを元にして、Google地図上に落として、SNS・ツイッターに流されたと思われます。
"韓 군함, 日 초계기 레이더 조준"…軍 "조난선박 찾던 중"("韓国の軍艦、日本の哨戒機へレーダー照準 "... 韓国軍"遭難船舶を探していた" - TV朝鮮(12月21日))
地図に書かれている文字は「노토 헌도 오키 해상 부근」。日本語では「能登 半島 沖の 海上 付近」。(노토 "반도"と同じ?)
TV朝鮮(12月21日番組)は、防衛省の21日の発表を受けて、その発表にある「能登半島沖」という表現を、そのまま単純に、番組映像で使う地図に反映させたようです。
ご存知の通り、防衛省や海上保安庁などが発表する「能登半島沖」は、日本海の真ん中近くの大和堆の海域などでも使われています。
TV朝鮮の番組のスタッフさんは知らなかったのでしょう。
12月20日(木)午後3時頃、能登半島沖において、韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦から、海上自衛隊第4航空群所属P-1(厚木)が、火器管制レーダーを照射された。
(赤字・強調は管理人による)防衛省・自衛隊:韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(平成30年12月21日)
日本のNHKによると、哨戒機がレーダー照射を受けた現場は「日本の排他的経済水域の上空」です。
現場は、日本の排他的経済水域の上空で、当時、哨戒機は通常の警戒監視の任務にあたり、駆逐艦の周囲では韓国海洋警察庁の警備救難艦も航行していたということです。
(赤字・強調は管理人による)自衛隊機が韓国軍からレーダー照射 防衛相が抗議 | NHKニュース (2018年12月21日)
韓国の朝鮮日報によると、 日本海の、韓国が主張する排他的経済水域(EEZ)を越えており、韓国が言うところの「両国のEEZの中間水域内」だったそうです。
朝鮮日報は、レーダーの範囲内に偶然、哨戒機が入ってきたとの韓国側見解を伝えた。日本の排他的経済水域(EEZ)内で発生したと日本側が説明していることに対し「両国のEEZの中間水域内で起きた」とする反論も報じた。
(赤字・強調は管理人による)
これらから、日本海の大和堆近くの、このあたりの海域(地図)と考えられます。
(*)排他的経済水域(EEZ)のイラスト地図は、産経ニュースの記事から引用させていただいた。画像・地図上の赤字や丸・矢印、青い点線は管理人による。(北の違法操業の監視開始 漁期前に先手 - 産経ニュース)
韓国が主張するEEZの線(青い点線)は時事用語事典イミダスの記事を参考にして、管理人がおおざっぱに描いた。
韓国側は、韓国が主張する排他的経済水域(EEZ)を越えていたと言っているが、今回の件での韓国の説明には変な部分が多いので、その信頼性をもとに、話半分として、半分だけ反映させた。
この海域よりももっと南西の、竹島に近い海域なら、「能登半島沖」ではなく「隠岐諸島沖」と発表されるでしょう。岩屋毅防衛相は、竹島の近くの海域ではないと言っていますし。
ーー(追記:12/27)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
韓国国防部によると、海軍の広開土大王級駆逐艦は、大和堆の海域で、北朝鮮漁船が漂流中との通報を受けて捜索の為に向かったそう。
東亜日報の12月22日の記事によると、通報があった海域は「大和堆の北西」だった。(記事の地図の「통신 보고 위치(通信 報告 位置)」)
韓国海軍の駆逐艦は、このあたりにいたと思われます。
[단독]해군, 동해 표류 北어선 구조… 日 “韓 레이더, 우리 초계기 조준”
海軍 '火器관제 레이더 照射' 관련 의문점(海軍「火器管制レーダー照射」関連の疑問点 - 趙甲済ドットコム)
「現場の嫌がらせ」では済まないレーダー事件:日経ビジネスオンライン
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー(追記:12/29)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
防衛省より、現場で撮影された映像(約13分)が公開された。
(漁船は、北朝鮮のイカ釣り漁船とよく似ている。大きさは、警備救難艦「サンボンギョ 5001」の搭載艇と比べてみたところ、全長10数m〜20mくらい)
水平線に、能登半島などの陸地やその影は見えません。
防衛省・自衛隊:韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について
(*)P-1哨戒機は、高度500ft(150m)以上を飛行し、火器管制レーダー照射後の回避行動で1500ft(450m)まで上昇したようだ。この高度から見える水平線までの距離は、ざっくりと計算して約45km(飛行高度150m)と、約76km(飛行高度450m)。陸地があるなら、距離はさらに延びる。
現場海域の天気は良く、雲は少ない。
12月20日12時と15時の気象衛星の写真を調べてみると、能登半島の根元あたりから韓国の鬱陵島を結んだ線よりも西側には、広く雲がかかっている。
能登半島から大和堆の海域には雲は少ない。
(これは、西の空だろうか?)
過去の気象衛星(日本付近)(2018年12月20日) - 日本気象協会(12月20日15時00分の画像)
過去の気象衛星雲画像 | 広島市江波山気象館 (12月20日12時の画像)
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー(追記:2019/01/18)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本と韓国との実務者協議が12月28日と1月14日に行われたが、現場海域について、双方ともまったく触れなかったそうだ。
2019年01月18日、韓国の国会国防委員会のアン・キュベク(안규백、安圭伯)委員長(与党・共に民主党)が、声明を発表。その中で「大和堆付近」で漂流船の救助活動と話している。
우리 광개토대왕함은 2018년 12월 20일 대화퇴 인근에서 표류 중인 조난 어선에 대한 인도주의적 구조 활동을 진행하였고, ...
(赤字強調は管理人による)
안규백 국방위원장,日해상초계기 위협비행 기자회견 - 대한일보 (大韓日報。記者会見、全文)
これまでの韓国メディアの報道で、国防部関係者による情報として、現場海域は竹島の北東100km、北東200km、北東180kmといった、いくつかの距離が伝わっていた。
しかし、竹島から大和堆まで間違いなく300km、400kmもあるので、かなり遠い。(矛盾していたので、このブログ記事で反映はさせなかった)
また、竹島の北東100km〜200kmなら、日本の防衛省からの発表は、能登半島の沖ではなく隠岐諸島の沖になっていただろう。
同じように、大和堆の海域も間違いだった可能性が生まれた。しかし今回の、韓国の国会の国防委員会委員長の声明により「大和堆付近」が確定した。竹島の北東100km〜北東200kmという、現場海域の位置の報道が間違いだったことになった。
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝鮮日報の記事の地図もかなり可笑しい。😊
日韓漁業協定(漁業に関する日本国と大韓民国との間の協定)で定められた暫定水域と、排他的経済水域(EEZ)の線とを勘違いしている。
しかもその暫定水域の面積と位置、なんかおかしくありません?
韓国駆逐艦が日本の哨戒機にレーダー照射、日本の抗議に韓国軍困惑 | 朝鮮日報
これだと、自衛隊のP-1哨戒機が撮影した、韓国海軍の「広開土大王」級駆逐艦の写真は、200〜300kmも離れたところから撮ったことになってしまいますよ。
それで、あの解像度で、軍艦の写真が撮れるのか。すげー🤪
韓国軍による自衛隊機へのレーダー照射 複数回で一定時間続く #nhk_news https://t.co/Z9sbecIl8w
— NHKニュース (@nhk_news) December 22, 2018