韓国の北西部、北朝鮮と接する京畿道の北部や仁川広域市の一部地域で、養豚場での発生が続くアフリカ豚コレラ(African Swine Fever(ASF))。
9月17日の1例目の発生発表の後、10月5日までに13の養豚場での発生が確認された。
韓国でのASF発生は、養豚場で飼育されている豚だけで、野生のイノシシでは確認されていなかった。
環境部は10月3日、京畿道漣川郡の非武装中立地帯(DMZ)の中で2日に発見された野生イノシシの死体の血液を精密検査した結果、アフリカ豚コレラ(ASF)のウイルスの陽性反応が出たと明らかにした。
韓国の対応は、防疫のためのコントロール・センターが無く、政府や青瓦台、農林畜産食品部、環境部や国防部、自治体の対応がちぐはぐで、防疫の穴が出来ているように感じられる。
野生のイノシシ対策では、国防部と環境部の対応が後手後手に回っていて、ずさんになっているようだ。
韓国で豚コレラ拡大 「完璧な鉄柵」越えて北朝鮮から? https://t.co/kvrafu4428
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) October 6, 2019
[사회]DMZ 내 야생멧돼지 사체서 ASF 바이러스 검출 | YTN
DMZ 멧돼지서 돼지열병 바이러스 첫 확인…감염경로 풀리나 - 중앙일보
【アフリカ豚コレラ】 韓国ではじめて発生 京畿道坡州市 北朝鮮との軍事境界線近く (追記あり) - pelicanmemo
Ads by Google
(韓国、環境部より)
アフリカ豚コレラ(ASF)のウイルス陽性の野生イノシシの死体が見つかったのは、京畿道の北部、漣川郡の一番北に位置する新西面(신서면)の德山里(덕산리)だろう。(この環境部の発表資料の航空写真と、GoogleMap航空写真とで照合した)
非武装中立地帯(DMZ)と民間人出入統制区域との境界である南方限界線(5師団00連隊GOP鉄柵)から1.4km北側、DMZ中間の軍事境界線(MDL)から600m。
死体から半径2kmに川はない。
環境部プレスリリース|(参考)京畿 漣川 非武装地帯(DMZ)内 イノシシ死体で アフリカ豚コレラウイルス検出
(참고)경기 연천 비무장지대(DMZ) 내 멧돼지 폐사체에서 아프리카돼지열병 바이러스 검출
イノシシの死体の外見には、他の動物による損傷は無かった。死んで間もない、ほとんど腐敗が進んでいない状況にあった。
(韓国、環境部より)
イノシシの死体は、血液サンプルを採取した後、発見現場で重機で穴を掘って、穴と周辺に石灰撒いて埋却され、無害化処理が行われたそうだ。
韓国軍によると、9月26日から28日にかけて、国境地帯の全部隊がDMZ一帯で詳しく調査を行ったが異常はなかった。
そうすると、この10月2日に発見されたイノシシ(ASF陽性)は、その後1週間に移動してきて死亡したのだろう。
ただ、一連の対応を見ていると、環境部や国防部など行政の対応は、責任回避とも感じられる説明や対応が多くて、対策が後手後手に回っていると言わざるとえない。
韓国でのASF発生は、ASFウイルスに感染した北朝鮮からの野生のイノシシの南下や、川をイノシシの死体や糞尿や土壌が流れてきて伝播した可能性がずっと指摘されてきた。
それらに対して、環境部は「(坡州市の例は)野生のイノシシによる感染の可能性は薄い」「昨年8月以来、76件を検査し全て陰性」など、一部の事例を全体に当てはめるような発表をしていた。国防部は、「DMZ超えたイノシシやと発砲の事例はない」、DMZの柵やセンサー類をイノシシが突破することは無く、川のゲート柵を通り抜けることは無いと強調し続けている。
政府は、軍による「イノシシが軍事境界線の柵を超えることはできない」という言葉だけを聞いて消極的に対応しているようだ。
しかし、DMZの柵では、台風の豪雨による土壌の流出や土台のがけ崩れも見つかっており、これまでの国防部の説明はその場凌ぎのものと批判されている。
国防部の関係者によると、DMZの柵は基本的に3重構造であり、これまで3重の鉄柵すべてが破損した事例はなかったとし、突破されることが無いよう対策を講じていると述べている。
하태경 "전방 13개소 GOP 철책 파손…北 멧돼지 출입 가능" | SBS
北から流れてくる川に設置している水門(格子状)も、3cm動いただけで分かるそうだ。
しかし、北朝鮮に源流がある臨津江やその支流の、韓国側の河岸には、北朝鮮から流れてきた生活ゴミも見つかっている。(では、水門にひっかかった北朝鮮のゴミは、その都度撤去して、適切に消毒して処分しているのだろうか?🤔)
臨津江の支流の河岸で、北朝鮮の女性の遺体が発見されたこともあった(2010年。赤十字を通して北に戻された)。
その臨津江の支流の沙尾川(사미천)は、韓国でのASF発生2例目の養豚場がある地区を流れている。
さらに、9月17日の朝6時頃に、京畿道の江華郡喬桐面仁士里の、喬桐島の海岸の砂浜でイノシシ3頭が発見されたことが確認された。(9月17日は、アフリカ豚コレラが初発生した日)
イノシシは北朝鮮から泳いで海を渡ってきて、海岸に約14時間40分とどまって、午後8時40分ごろ川を渡って北朝鮮へ行ったと推定される。
喬桐島にある韓国軍の監視カメラに捉えられていた。
北 멧돼지 월남 첫 관측…돼지열병 감염원 단서 될까 - 중앙일보(北のイノシシの越南、はじめての観測 ... アフリカ豚コレラ感染源の手がかりになるか - 中央日報)
なお、軍事境界線近くの島では、海岸沿いにフェンスが張り巡らしてある。他に島内に侵入した例があったかは不明だ。
ASF発生直後、DMZを越えてイノシシが入り込むことは無いと公式の見解が続いていた。 いまは、イノシシは、北側の(充分に整備されていない)フェンスを越えたとみられている。DMZの中を闊歩している。
鳥や、ハエ、野ネコ、ダニなど他の動物が、ASFウイルス感染したイノシシの死体や排泄物と接触した場合も、鉄柵を越えてウイルスを伝播させる可能性がある。
ASF陽性のイノシシが発見されたことで、非武装中立地帯(DMZ)の中にウイルスが存在していることは間違いない。
そこで、国防部は、農林畜産食品部や山林庁など関係機関と協力して、ASF発症地域である京畿道漣川中部一帯や、DMZを含む民統線北側の全国の境界地域で、ヘリコプターを使って、約7日間の航空防除を実施している。
ヘリでの農薬散布のように、消毒薬を散布している。
(SBSより)
アフリカ豚コレラ(ASF)のウイルスに対して、消毒薬の空中散布が効果があるものか分からないが、それでも、DMZの韓国に近い側での野生イノシシの射殺も発表されており、国防部の対応も少しは変わったようだ。
(DMZでのイノシシの駆除のための発砲は、国連を通して北朝鮮に対して連絡が行われた)
韓国 アフリカ豚コレラ 非武装地帯でヘリで薬剤散布 | NHKニュース
DMZ内での作戦後に戻る人員の消毒も行われている。
DMZとのゲート76ヶ所に、防疫装置の設置を推進している(46ヶ所完了。10月8日までに22ヶ所が完了予定)。未設置のゲートには簡易防疫警戒所を設置し、噴霧器でゲートを出入りする人や車両に対して防疫を実施している。
ただ困ったことに、今年に入ってから、文在寅政権が推進していた「DMZ平和周回道」が3ヶ所ではじまっていた。まず日本海沿岸の江原道の高城郡、続いて江原道の鉄原郡、そして京畿道の坡州市で始められた。
行政安全部によると、江原道鉄原郡と京畿道坡州市の「DMZ平和周回道」では、鉄柵を越えてDMZ内の撤去監視警戒所(GP)までバスで移動した後に、DMZ内の道を1km〜数kmを参加者が歩くコースだったそうだ。
江原道の鉄原郡は6月1日、京畿道の坡州市では8月10日にオープンした。
その京畿道の坡州市は、韓国ではじめてアフリカ豚コレラ(ASF)の発生が起こった養豚場がある自治体だ。
いずれも9月17日のASF発生後に閉鎖されたが、閉鎖前の参加者の靴やバスのタイヤ・車体が、ウイルスの伝播経路になった可能性は否定できない。畜産関係者がいなかったか調査が行われている。
[단독] 북한 ASF 유입될 수 있는 ‘DMZ 통로’, 파주에 뚫려 있었다-국민일보
非武装中立地帯(DMZ)の中で、ASF陽性のイノシシが発見された。
北朝鮮の(少なくとも)南西部では、韓国との境界近い地域にまでASFウイルスに汚染されている可能性が非常に高い。
脱北者でもとは畜産公務員だったジョ・チュンヒ(?)(조충희)研究員(北朝鮮支援団体「グッド・ファーマーズ(사단법인 굿파머스)」)によると、北朝鮮では、アフリカ豚コレラの発生後に殺処分は行われていない
[사회]北 방역 공무원 출신 "아프리카돼지열병, 북한 토착화되면 남쪽 농가 큰 일" | YTN
制度的には殺処分をするようになっているが、実質的にまだ殺処分を行った事例がないそうだ。(管理人注:さすがに全ての例でではなく、管理していない農家や家でのことだろう)
北朝鮮では、牛や豚など家畜は国家管理される場合とされない場合があるそうだ。個人が育てる頭数を規定する制度が無いため、統計に現れず、防疫当局の対応も受けられない。
個人が生活の為に1~2頭を育てる豚が北朝鮮全体の飼育頭数の60%を占めており、屠殺場ではなく、家や川などで屠殺するので、ASFウイルスが全国の土壌を汚染している可能性が大きいと考えている。
【アフリカ豚コレラ】 「北朝鮮で ASFが 発生したことを100%確信」北朝鮮の畜産の専門家 | 平壌市の北で流行か?(追記あり x4) - pelicanmemo (2019-04-18)
【アフリカ豚コレラ】 北朝鮮で発生 国際獣疫事務局(OIE)から公式発表 (追記あり 9/25) - pelicanmemo (2019-05-31)
【アフリカ豚コレラ】 北朝鮮、発生している可能性が高い地域 【地図】 | (追記あり) - pelicanmemo
中国やベトナムの例では、ASF感染して死亡した豚を川に捨てることで、下流の岸や堰や、対岸の海岸で見つかることがあった。
また、ベトナムでは雨期や台風の大雨によって、感染拡大したと考えられる発生例も発表されている。
アフリカ豚コレラ カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
[사회]DMZ 내 야생멧돼지 사체서 ASF 바이러스 검출 | YTN
DMZ 멧돼지서 돼지열병 바이러스 첫 확인…감염경로 풀리나 - 중앙일보
韓国でアフリカ豚コレラ拡大 軍事境界線越えて北から?:朝日新聞デジタル
하태경 "전방 13개소 GOP 철책 파손…北 멧돼지 출입 가능" | SBS 뉴스
軍, DMZ철책 뚫고 내려오는 멧돼지 '즉시사살'지침 하달(종합) | 연합뉴스
軍 "DMZ·민통선이북 헬기동원 7일간 돼지열병 방역…北에 통보"(종합) | 연합뉴스
"민간 엽사 재투입"…소 잃고 외양간 고치나 - OBS경인TV