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サクラの原産地についてまとめ 中国メディアが引用する『櫻大鑑』を読んでみた(2/5) 日本、ヒマラヤ、中国、それとも韓国? - pelicanmemo
何年か前から、春になると「サクラの原産地はどこだ」というネット記事が出てくるようになりました。
サクラの原産地について、中国メディアがよく引用している『櫻大鑑』(桜大鑑)を紹介しつつ、書いています。
『櫻大鑑』は、「桜の品種(著:佐藤藤右衛門)」「桜の美術(著:岡田譲)」「桜の歴史(著:本田正次)」の主要3章と関連情報、サクラ日本地図、そして巻末の英訳で構成されています。
第一章、第二章
(最初から読む → サクラの原産地についてまとめ 中国メディアが引用する『櫻大鑑』を読んでみた(1/5) 日本、ヒマラヤ、中国、それとも韓国? - pelicanmemo)
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『櫻大鑑』文化出版局編集部刊(1975年)
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第三章「桜の歴史(著:本田正次)」
「さくら」の名前は、古事記の、霊峰富士の浅間大社の御祭神、コノハナサクヤヒメ(木花開耶姫、木花之佐久夜毘売)で、サクヤ(開耶)の字音がそのままサクラの語源になった、と書き始められています。
フジザクラかヤマザクラか、種類はともあれ、サクラが、日本の花であることは、文学的に思想的に、また後世となって科学的に、これが国民に密接な影響を与えたことを考えると、何人も誰もこれを否定することは出来ないだろう。
一口にいってサクラは日本の花である。
奈良時代には、花の概念、花見の対象は主として梅でした。
当時の貴族や文化人たちが唐の文化の影響を受けて、大陸渡来のウメの花に関心を寄せていた。 しかし平安時代になると、前述したようにそれが逆転。『枕草子』などによると、サクラの花がだんだんと貴族趣味から抜け出していって民衆の花としても取り入れられるようになったことが伺えるそうです。
鎌倉時代になると、政治や文化の中心が地理的に西から東に移っていったことで、サクラの種類や品種に影響を与えたでしょう。
江戸時代、本居宣長(1730年〜1801年)による、
敷島の 大和心を 人問わば 朝日に匂う 山桜花
の名歌は、日本におけるヤマザクラの地位を決定的にしてしまった、と紹介しています。
ところが、昭和から平成の現代では、ソメイヨシノが桜の代名詞のように言われています。平成になって地域地域の取り組み方はかなり変わったと思いますが、マスメディアの、春の花見イベントの取り上げ方は相変わらずです。
ソメイヨシノという品種は、江戸から明治時代にかけて、当時の江戸の染井にあった植木屋某から売り出され、近くの小石川の植物園や上野、浅草などに植えられ「ヨシノザクラ」の名前で売り出された。しかし大和吉野山のヤマザクラとは種類が違うため、明治33年になって発祥地の名前をとって「ソメイヨシノ」と命名されたそうです。
従来の日本に無い新種だったことから、伊豆大島の原産説、韓国済州島からの渡来説がでましたが、いずれも決定的ではなく、大正初期になってアーネスト・ヘンリー・ウィルソン氏がエドヒガンとオオシマザクラの交雑予想説を発表し、国立遺伝学研究所の竹中要博士によって交雑種であることが突き止められました(『櫻大鑑』による簡単な説明。実際はもっと複雑)。
伊豆半島でのオオシマザクラの自然交雑種が、江戸染井の植木屋に何かの機会に持ち込まれたことで栽培され、日本全国へ広まったと考えられています。
そして更に、日本文化を象徴する花木としての「桜」が、米国ワシントンD.C.のポトマック川など外国へも広まっていった。ソメイヨシノだけでなく、オーストラリアのキャンベラ市のシダレザクラや、ヨーロッパ各国へのサトザクラなどが、世界33ヶ国(『櫻大鑑』発刊当時)へ贈られたそうです。
さらに、ポトマック川のソメイヨシノから品種改良された"アメリカ"という品種が作られ、日本にも輸入され、新宿御苑などで花開いています。
日本のサクラが外国に贈られて紹介されるように、外国産のサクラの原種なども日本に輸入されてきました。
たとえば、寒中から早春に緋色の花をつける、中国南部や台湾産のヒカンザクラ(ヒガンザクラではない)(カンヒサクラ(寒緋桜)、タイワンザクラ、ヒザクラ)は、観賞用の庭木として輸入されました。
沖縄や奄美諸島では、桜といえばこのカンヒザクラで、開花予想及び開花宣言はこのサクラの開花に対して発表されます。
ヒカンザクラ | おきなわ 緑と花のひろば
カンヒザクラ - Wikipedia
钟花樱花 - 维基百科
伊豆半島、静岡県の河津町のカワヅザクラ(河津桜)は、このカンヒザクラとオオシマザクラとの自然交雑種で、東日本で最も早く花をつける名所として知られています。
河津桜まつり公式サイト◆河津桜まつり実行委員会◆
カワヅザクラ - Wikipedia
(続く)
サクラの原産地についてまとめ 中国メディアが引用する『櫻大鑑』を読んでみた(4/5) 日本、ヒマラヤ、中国、それとも韓国? - pelicanmemo
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