(農林水産省)
岐阜県にある養豚場で、豚コレラ(古典的豚コレラ (Classical Swine Fever(CSF)))が、国内では26年ぶりに発生しました。
また、東欧・ロシアでアフリカ豚コレラ (African Swine Fever(ASF))が猛威をふるい、今年8月から中国でも、6つの省の14ヶ所の農場・屠畜場での発生が発表されています(記事公開時点)。
テレビやラジオのニュースを見聞きすると、「アフリカ豚コレラ」「豚コレラ」は「ぶたコレラ」ではなく「トンコレラ」と呼ばれています。
ツイッター・SNSなどで、「トンコレラ」と呼ぶとはじめて知った、語感が可愛いなどのコメントを見かけます。なぜ「ぶたこれら」と呼ばないのか考えてみました。😊
岐阜市の養豚場で豚コレラ|NHK 東海のニュース (2018年09月09日)
豚コレラで死んだ豚を不適切搬出|NHK 東海のニュース (2018年09月09日)
ーー(追記: 2019/02/11)ーーーーーーーーーーーーーーーー
TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』2月8日放送の「感染が拡大する家畜伝染病”豚コレラ”~その脅威と必要な対策とは? 」で、日本獣医生命科学大学・獣医保健看護学科・准教授の青木博史さんから、「とんこれら」の名前について解説がありました。
豚コレラ(Classical Swine Fever(CSF)、古典的豚コレラ)は、1887年に北海道で、アメリカから輸入された豚を起源に発生。 132年前。その時から名前は「とんこれら」だった。
青木博史: 実は、「ぶたこれら」とか、あるいは「とんこれら」、いろいろ言われる方がいますけれども、もともと、「とんこれら」が確認されるまえに、「とんたんどく(豚丹毒)」という病気がありまして、養豚業界の中では、とんだんどくが耳に馴染んでいたというのもあって、それとあわせて「ぶたこれら」ではなく「とんこれら」、というふうに使われた、そう聞いておりますね。
荻上チキ: ということは、最近、メディアが「ぶたこれら」ではなく「とんこれら」と呼びだしたというわけではなく、長い(あいだ使われてきた(管理人による補足))呼び方なのですね。
青木博史: はい、そのとおりです。
(一部を書き出して、カッコや補足説明を付け加え、赤字強調は、管理人による。言い淀みや相槌などは割愛した)
【音声配信】「感染が拡大する家畜伝染病”豚コレラ”~その脅威と必要な対策とは?」青木博史×荻上チキ▼2019年2月8日(金)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」平日22時~)
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーー
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ーー(追記: 2019/02/11)ーーーーーーーーーーーーーーーー
このブログ記事は、「なぜ「ぶたこれら」と呼ばないのか考えてみました。」と書きましたように、追記するまでは、管理人が考えてみた理由を書いたものです。そこで、
「知らなかった」「はじめて知った」というコメントを見かけるたびに、冷や汗をかいています。😅💦
— ぺりかんめも (@pelicanmemo) 2019年2月6日
次からは、管理人が考えてみた理由です。
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーー
1つは、「豚コレラ菌(ブタコレラ菌)」と混同しないためではないでしょうか。
「豚コレラ (CSF)(トンコレラ)」や「アフリカ豚コレラ (ASF)(アフリカトンコレラ)」は"ウィルス"によって豚やいのししが感染する病気で、ヒトには感染しません。
一方、サルモネラのひとつ「ブタコレラ菌(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Choleraesuis)」はヒトとブタの両方に感染性を持つ"菌"で、サルモネラ感染症を起こします。
2つめは、外から入ってきた病気をイメージしているのかもしれません。
漢字の「豚」は、和語(訓読み)で「ぶた」、漢語(音読み)で「トン」と読みます。
漢語は文字通り、中国から入ってきた読み方が元になっています(後に日本国内で作られたものもある)。言葉のイメージから、外から入ってきたウィルスによる感染症という雰囲気が感じられます。
日本での「豚コレラ(古典的豚コレラ (Classical Swine Fever, CSF)」は、1887年(明治20年)に北海道ではじめて発生が記録(同時期に沖縄でも疑い例があった)され、昭和30〜40年代にかけて全国的に拡大しました。
1969年(昭和44年)に生ワクチンの開発に成功。100年以上もの対策と撲滅の歴史を経て、1992年(平成4年)2月の熊本県での発生を最後に、2007年(平成19年)に豚コレラ清浄国宣言が行われました。
2018年(平成30年)9月、岐阜県で26年ぶりの発生を確認。
米国や英国でも撲滅を果たし、英国では再侵入がありましたが短期間で制圧したそうです。
我が国は島国であるため,国境防疫に利があったが, 第二次大戦後の多種多様な家畜伝染病の侵入を思うと, 政治経済情勢と交通手段の大きな変化によって国家間障壁が低くなった現状では国家防疫の比重が大きく増している。
米国では撲滅後現在まで34年間侵入を許していない。
英国は45年前に撲滅を果たし, その後3回再侵入を許したが短時日で制圧し, 現在まで13年間発生がない。