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モーリシャス島の地元NGO "Eco-Sud" から、クラウド・ファンドによる支援が求められています。内容その他、詳しくは次のページをご覧下さい。
”Mauritius Oil Spill Cleaning 2020 - MV WAKASHIO”
NGO "Eco-Sud"の公式サイトはこちら。
Eco-Sud Ile Maurice - azir zordi pou dime
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インド洋のアフリカに近い島国モーリシャスで、ばら積み貨物船「Wakashio(わかしお)」が、7月25日夜(現地時間)にサンゴ礁で座礁し、その後の悪天候とうねりの影響で8月6日に燃料の重油が大量に流出していることが確認された。
船体に残っていた燃料重油は、8月13日までに大部分が安全に抜き出された。間一髪で、8月15日に、うねりと波の影響で船体が2つに分断された。船倉に溜まっていた抜き出し不可能だった100㌧ほどの流出で済んだそうだ。
この話題で、日本メディアの関連ニュースやそのコメントを見ていると、モーリシャス島のすべての海岸に、燃料重油が漂着しているかのような勘違いも見かける。
重油が漂着しているのは島の東海岸の一部で、島全体ではありません。
しかし、多くの人が指摘しているように、極めてまずいところで流出事故が起きてしまった。
座礁地点の近くには、ラムサール条約の登録湿地の2ヶ所がある(モーリシャスには3ヶ所)。マングローブ林での漂着重油への対応は難しく、希少種や絶滅危惧種、生態系への影響は大きい。
モーリシャス島のどの地域で、燃料重油の漂着が確認されているのか、確認されていないのか、地図に記してみた。
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(撮影は燃料重油の流出直後)
ばら積み貨物船「Wakashio」から流出した燃料重油は、サンゴ礁の一部の水路を通ってラグーンに入り込み、海流にのってラグーンの奥へと運ばれていることが分かる。
サンゴ礁は自然の防波堤であり、遠洋からのうねりの影響をやわらげるとともに、外洋へ再び流れ出しにくくしている。
モーリシャス当局、地域住民・NGOによってこれまでに回収された重油の量が、けっこう多いことに気付いた人も多いと思う。1997年の日本海でのナホトカ号重油流出事故とは状況がかなり違っている。
Pravind Jugnauth首相は、8月13日の緊急対応委員会の記者会見で、座礁地点の北約20kmに位置するリゾート地、マンジュニー小島(Ilot Mangénie)やその近くのセルフ島(Ile-aux-Cerfs)では流出重油の痕跡は見られないと明らかにした。さらに、座礁地点のすぐ南に位置するブルーベイ海洋公園(Blue Bay Marine Park)も守られていると述べた。
地図に記した。
白い矢印が、発表で、流出重油の痕跡が無いとされた海岸・島。
Ile-aux-Cerfs(Cerfs島)は、地元メディアで重油の影響があったとの報道を見かけたので、間をとってオレンジ色矢印とした。2つの白い○印はラムサール条約登録湿地。
2つの赤い矢印の間の地域が、報道で重油漂着が確認できた海岸で、影響が大きい。
ラグーンの海流(想定)を赤い点線の矢印で記している。
流出重油対策をしている船舶・オーシャンタグの位置を日々見ていると、北の海岸へ持続的に漂流をしないように、オイルフェンスを張り巡らして”防衛線”としていたようだ。
座礁した後に、オイルフェンスは、ブルーベイ海洋公園と、エグレット島(Ile aux Aigrettes)、ラムサール条約登録湿地のある海岸に設置していた。
海流や風の影響もあり、ブルーベイ海洋公園のある南側へは流れにくかったのだろう。生態系への影響などはこれからの研究を待たなければならないが、不幸中の幸いだったように思う。
The Prime Minister further detailed that there are no traces of fuel oil at sea near the surrounding islands of Ilot Mangénie and Ile-aux-Cerfs, and that the Blue Bay Marine Park has also been well protected.
Republic of Mauritius- MV Wakashio:Only 166 tonnes of fuel oil left to be pumped out, says PM (August 13, 2020)
--(追記:8/20)--------------------
マイクロ波を利用した合成開口レーダー(SAR)を搭載する衛星”センチネル1号(Sentinel-1A/Sentinel-1B)”の撮影画像を解析して、流出油の拡がり方を調べている。
レーダー衛星画像でモーリシャス重油流出 被害の範囲を知る(秋山文野) - 個人 - Yahoo!ニュース (2020/08/18)
--(追記ここまで)------------------
--(追記:8/22)--------------------
ESAが発表した、合成開口レーダー(SAR)を搭載する衛星”センチネル1号による、モーリシャス島での燃料重油の流出の様子。
Emergency Response Coordination Centre (ERCC) – DG ECHO Daily Map | 19/08/2020
Mauritius | Oil Spill
--(追記ここまで)------------------
隊員らによると、船周辺の沖合では油の塊はあまり見られない一方、沿岸部には油がこびりつき、現場から約10キロ北の海岸にも漂着していた。油は海面でキラキラと光り、きつい臭いを放っているという。海岸ではボランティアも加わって油の回収作業が行われているが、外から入るのが難しいマングローブ林では作業ができておらず、大きな課題になっている。
(赤字強調は管理人による)マングローブ林にも油 モーリシャス緊急援助隊が会見 - 毎日新聞 (2020年8月15日)